本田圭佑が「教育」に励む理由 メキシコ誌に明かした「サッカー」と「夢」の関係性
サッカーにとどまらない貢献…「教育者ホンダ」の哲学、「教育に最も重要なもの」とは
サッカーのクラブ・ワールドカップ(W杯)に出場し、注目を集めているパチューカFW本田圭佑。今や世界で最も有名な日本人フットボーラーの一人となっているが、貢献はピッチ内にとどまらない。その一つが「教育」だ。地元のメキシコメディアのインタビューに応え、「教育者・ホンダ」の哲学を明かし、「サッカー」と「夢」の関係性について持論を展開している。
「ケイスケ・ホンダ、それは世界で教育に励むことを望むサッカー選手」と特集したのはメキシコ情報誌「EL UNIVERSAL」だ。
本田といえば、国連財団の「グローバル・アドボケート・フォー・ユース(青少年の国際支援者)」に任命され、アフリカ諸国を訪問。子供たちとサッカーをして触れ合うなど、フットボーラーの枠にとどまらない領域で、数々の慈善活動を行っていることで知られる。
記事では「日本のフットボールスターは現在、パチューカに在籍している中で、子供の教育面にも注力している」と紹介。そうしたビジネス観点も経営学に長けたパチューカを選んだ理由の一つと言及した上で「ケイスケは休暇中の自身に対するイメージがSNSで溢れること、アスリートのレベルを象徴する豪華な車を乗り回すにことに一切の関心を示さない」とつづっている。
本田らしい“流儀”を前置きした上で、記事では敢行したインタビューを紹介。「自身をサッカー選手だけでなく、起業家、さらには教育者に定義づけた」とつづり、本人のコメントを伝えている。
「教育にとって最も重要なのは、モラルと倫理。ひたむきに教えていく立場の人間として、人生の道徳的な面を示していきたい」
このように「教育者」としての信念を明かした本田。記事では教育者としての第一歩を踏み出したのは10年前としている。Jリーグの名古屋グランパスから欧州に挑戦した頃だ。本田にとって、それが一つのターニングポイントになったようだ。
本田が想う「サッカーと夢」の関係性「僕にできることはサッカーだけではない」
「僕が母国を去る時、アフリカと南アメリカ出身のビジネスパートナーを持った。その際、彼らが給料の半分を自分の国に寄付していることを知った。そこで、僕が育ってきた環境への感謝と疑問を抱くようになった。自分たちにとって何が当然で、他国の人々にとっては何が当然でないのかを考えるようになった」
さらに、発展途上国の子供たちが貧困で苦しむ姿を目の当たりにした時、社会貢献について思考を深めたという。
「自分はどうやって社会に貢献できるのだろうということを真剣に考え始めた。僕にできることは、サッカーだけではない、と。子供たちがもっと夢を見ることのできる機会を与えるために何かしてあげたいと思った」
サッカー選手としてできることはサッカーに限ったことではない。子供に影響を与えられる立場だからこそ、「教育」に貢献できることがあると信じているようだ。記事では「ケイスケの哲学はこうだ」と記し、本田は熱い想いを明かしている。
「サッカーを通して夢を見させる重要性を表現すること。僕は、夢を持たせることだけは叶う立場にあるから。サッカーに生きる人間として、スポーツは本当に素晴らしい存在であると思う。全世界の人間の心を動かせるのだから」
記事では「彼は基本的に表情がシリアスだ。しかし、ある共通点がある。日本、あるいは他の国、またはヨーロッパでこの話を語る時だけ、彼は終始笑顔だ」と記している。いかに教育に対して真摯な想いを抱いているかが伺い知れる。
日本代表も長く経験し、世界の注目を浴びるクラブW杯でピッチに立つ本田。その姿から夢を与えることができると信じて、駆け抜ける。