エフゲニア・メドベージェワ【写真:Getty Images】

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国家ぐるみの不正が波及…各国の選手、指導者が声「ロシアなき五輪は塩コショウのない肉」

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズがロシアで開幕し、世界選手権2連覇中の女王、エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)が圧勝。平昌五輪へ向け、地元で順調に第一歩を記した一方、ロシアは国家ぐるみのドーピング問題で選手団の五輪参加禁止の可能性が取りざたされている。そんな中、金メダル最有力のメドベージェワ陣営は「本当にアンフェア。4年を奪い去るなんて、それは人生を奪うのと同じ」と反発の声を上げているという。カナダメディアが報じている。

「ロシア抜きでのオリンピックはIOCにとってリスキージャンプだ」と報じたのは、カナダ紙「トロント・スター」だ。

 記事では「国家ぐるみのドーピング問題でロシアに対する制裁がどのようなものになるのか、という不安が特にフィギュア界で高まっている」と指摘。理由として「ロシアのスケーターたちが、ここ10年に渡って支配的であるからだ」と記し、フィギュア界を牽引してきたことを挙げている。

 実際に、特集ではフィギュア界の関係者たちの声を紹介。トリノ五輪金メダルのプルシェンコ(ロシア)ら多くの名選手を育て上げた名コーチ、アレクセイ・ミーシン氏は「ロシアチーム無しのオリンピックは塩コショウのかかっていない肉のようなものだ」と話している。

 そして、選手の立場からもGPシリーズ初戦で羽生結弦(ANA)を抑えて優勝したネイサン・チェン(米国)の意見を紹介している。

チェンは対戦を熱望「ぜひ出場して」、メド陣営は「彼女はドーピングと何の関係もない」

「僕が大切にしているのはフェアなスポーツ、クリーンなスポーツだ」と話した上で「今もぜひ出場してほしいと思っているよ、彼らがいないのは変だからね」とロシアのライバルたちと五輪で戦うことを望んでいる。

 なかでも、フィギュア界で大きな注目されるのが、メドベージェワだ。記事によると、これまでもドーピング検査はほかの選手同様に行われてきたといい、陣営の話では大会ごとに加え、それ以外に年5、6回、つい先週も実施されたという。

 他競技の不正がフィギュア界も含めたロシア全体に議論が及んでいることについて、コーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏は「本当にアンフェアだわ。彼女はドーピングと何の関係もない」と力説し、「4年を奪い去るなんて、それは人生を奪うのと同じよ」と声を上げたという。

 また、羽生らを指導しているブライアン・オーサー氏は憤っているという。「それについては怒っているんだ。どんな世界イベントも、全国参加じゃなければ、同じとは思えない。ロシアを参加させよう、クリーンである限り。ともに生きなければならないんだ、オリンピックの後もずっとね」と話したことを紹介している。

 強国ロシアとともに平昌五輪のリンクでフェアな戦いを――。自国のみならず、他国も含めた多くの関係者が、そう願っている。