【沿線調査】埼玉・東京・神奈川を走り抜けるJR京浜東北・根岸線の住み心地
大船駅(神奈川)と大宮駅(埼玉)を結ぶJR京浜東北・根岸線。大宮駅から東京駅を経由して横浜駅までを走るのがJR京浜東北線、横浜駅から大船駅間はJR根岸線と一体の運行形態となっており、JR京浜東北・根岸線と呼ばれている。実際に沿線で暮らす人々は、その住み心地をどう感じているのだろう? そこで、JR京浜東北・根岸線沿線に住むユーザー150人を対象に、アンケート調査を行った。
交通利便性だけでなく、好きな駅やスポットがたくさんある
JR京浜東北・根岸線は、今回SUUMOジャーナルで調査を行った全15路線中、停車駅が46駅と最も多く、埼玉・東京・神奈川の3都県をつないでいる。だとすれば、ユーザーの住み心地もバラつきが出そうな気もするが……。まずは、沿線の好きなところから聞いた。
●好きなところ(複数回答)
1位:どこに行くにも便利(84.4%)
2位:運行本数が多い(57.8%)
3位:ほかの沿線に乗り換えしやすい(49.7%)
4位:都心のターミナル駅に出なくても沿線上に栄えた駅があって便利(19.0%)
4位:終電が遅いもしくは始発が早い(19.0%)
6位:好きな駅やスポットがたくさんある(18.4%)
7位:乗車運賃が安い(15.6%)
8位:家賃や物価が安い(15.0%)
9位:遅延が少ない(11.6%)
10位:電車内がきれい(10.9%)
見事1位となった「どこに行くにも便利」は84.4%と、かなりの高ポイントに思えるが、今回SUUMOジャーナルで調査を行った全15路線で比較すると、全体で4番目。2位「運行本数が多い」は山手線の64.6%に次いで2番目だった。
コメントでも、「(大宮駅や上野駅、東京駅、品川駅、横浜駅など)ターミナル駅が多い」(42歳・男性)や「時刻表を見なくても、数分間隔で次の電車が来る」(50歳・女性)、「新幹線や乗り換え拠点駅が多いので、都内にも遠いところにも簡単に行けて便利」(30歳・女性)との意見が散見され、埼玉・東京・神奈川どの都県に住んでいる人も、みな交通利便性の高さを実感しているよう。
「終電が遅いもしくは始発が早い」を好きなところに挙げるユーザーも多く、JR山手線(29.9%)、JR総武線(23.8%)に続いて全体で3番目。それぞれの始発時間を調べてみると、大宮駅発大船方面行きは4時30分、一方の大船駅発大宮方面行きは4時43分と、たしかに始発は早い。終電時間も、東京駅を乗車駅とし両端の駅まで帰ると仮定しても、23時59分の電車に乗れば大船駅に1時9分、0時22分の電車に乗れば1時16分に大宮駅に到着するので、残業したときやちょっと飲みすぎたときにも安心だろう。
また、交通利便性だけでなく、「好きな駅やスポットがたくさんある」と感じるユーザーも少なくないようで、「みなとみらい21や總持寺(そうじじ)など、沿線には魅力的なスポットが多い」(64歳・男性)「横浜、桜木町、関内、石川町、山手など、歴史あふれた町と近代化された町を多種多様に楽しめる」(66歳・男性)といった声も散見された。
満足度は高いが、人身事故や設備に不満も……
一方で、改善してほしいと感じるところはないものだろうか? 調査の結果、以下のようなランキングになった。
●改善してほしいところ(複数回答)
1位:通勤ラッシュ時の混雑が激しい(39.3%)
2位:あてはまるものはない(33.3%)
3位:悪天候時や事故など、遅延が多い(29.3%)
4位:駅やホーム、トイレが清潔ではない(15.3%)
5位:乗車運賃が高い(12.7%)
6位:駅のエレベーターやエスカレーターが少ない(12.0%)
7位:乗客のマナーが悪い(10.0%)
8位:ほかの線との乗り換えが不便・面倒(8.0%)
9位:運行本数が少ない(2.7%)
9位:終電が早いもしくは始発が遅い(2.7%)
9位:車両内が汚い(2.7%)
1位は「通勤ラッシュ時の混雑が激しい」の項目で、「車内がぎゅうぎゅう」(26歳・女性)、「ラッシュ時には、ホームから人が落ちるのではないかというほど混む。危ない」(66歳・男性)などの意見が挙がった。全15路線で比較すると、全体で8番目となりそこまでポイントが高いわけではないが、国土交通省が発表している「東京圏における主要区間の混雑率」(2015年度)※1によると、JR京浜東北線・川口駅〜赤羽駅間の混雑率は177%。これは、折りたたむなど無理をすれば新聞を読めるくらいの混雑率なので、通勤時や通学時に毎朝続くというのは、相当のストレスだろう。
※1 混雑率……国土交通省では以下のように定義している。
・混雑率150% ……広げて楽に新聞を読める
・混雑率180% ……折りたたむなど無理をすれば新聞を読める
・混雑率200% ……体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める
・混雑率250% ……電車が揺れる度にからだが斜めになって身動きができず、手も動かせない
3位「悪天候時や事故など、遅延が多い」は、「人身事故が多い」(42歳・男性)、「人身事故や線路内立ち入りといった、安全確認での遅延が多すぎる」(66歳・男性)と、コメントでは人身事故の多さを懸念する声が多数。
また、4位の「駅やホーム、トイレが清潔ではない」と回答したユーザーは全体で2番目に多く、「設備が古いものが多い」(44歳・男性)、「キレイなトイレのほうが気分がいいので、使用するか迷うときがある」(36歳・女性)など、設備への不満が漏れ聞こえた。JR京浜東北・根岸線は1914年に開業しており、さすがに当時のままではないだろうが、まだまだ最新の設備が整っていないといったところか。
とはいえ、先述のとおり1位の項目でも全体で8番目、2位の「あてはまるものはない」は、京王井の頭線(34.7%)に次いで2番目ということを鑑みると、不満をもつユーザーはあまり多くないのかもしれない。
約75%がJR京浜東北・根岸線沿線が「好き」!
次に、「今住んでいる沿線は好きですか?」質問してみたところ、「とても好き」19.3%、「好き」56.0%で75.3%。「あまり好きではない」1.3%、「嫌い」は0.7%。7割以上が「好き」と回答していて、総じて満足度は高いようだが、こちらは全体で5番目だった。
ここで、JR京浜東北・根岸線沿線に住むことを検討している人たちに、オススメポイントを聞いてみたところ、「神奈川・東京・埼玉を通るので、色々なところに行けて便利」(42歳・男性)、「都会と郊外に乗り入れているので、ビジネスもレジャーもアクセスがいい」(50歳・男性)といった交通利便性の高さを挙げる声が多かった。ほかにも、いくつか紹介しよう。
「沿線の再開発がたくさんあり、若い世代がたくさん集まってくると思う」(48歳・男性)
「とにかく郊外の駅は閑静な場所が多く、物価も安く住みやすいと思う」(35歳・男性)
「緑と公園がたくさんあり、住みやすい」(42歳・女性)
「歴史ある名所や資料館が各所にあり、勉強や参考になる」(53歳・男性)
「沿線にはいろいろなお店があり、ずっと飽きないと思う」(41歳・女性)
続いて、「デート」「子連れ」「穴場」それぞれのオススメも聞いてみた。
●デートするなら?
・大宮駅/氷川神社参道「話しながらゆっくり散歩できるのがいい」(44歳・女性)、「有名な神社で境内も広い」(59歳・男性)
・さいたま新都心駅/コクーンシティさいたま新都心「映画館もあるし、ショッピングもできるし、食事もできる。駅も近い」(39歳・男性)
・王子駅/飛鳥山公園「日本有数の桜の名所」(53歳・男性)、「桜がとてもキレイで、駅から公園まで無料のロープウェイ(あすかパークレール)で行けるのも魅力」(42歳・女性)
・関内駅/横浜スタジアム「野球観戦して盛り上がりたい」(37歳・女性)
●子連れでおでかけするなら?
・川崎駅、さいたま新都心駅/あそびのせかい(ボーネルンド キドキド)「子どもが体を使って思いきり遊べるのがいい」(42歳・女性)、「コクーンシティにボーネルンドがあり、子どもと過ごすのに楽しい場所」(30歳・女性)
・桜木町駅/野毛山動物園「入園料が無料で、その割に内容は充実。花見もできる」(55歳・男性)
・蒲田駅/西六郷公園「タイヤを積んでつくったゴジラがあり、いつでも多くの子どもたちが楽しそうに遊んでいる」(68歳・男性)
●穴場スポットは?
・南浦和駅/Burgers Cafe I-FIVE「月ごとに、オーナー考案のユニークなバーガーが食べられる」(47歳・男性)
・西川口駅/SKIPシティ「プラネタリウムやNHKアーカイブスなどがあり、見学できる」(53歳・男性)
・関内駅/横浜港大さん橋国際客船ターミナル「晴天時は、視界を遮るものがなくて気持ちいい。みなとみらいの景色や海をのんびり眺めて落ち着ける」(34歳・女性)
・根岸駅と横浜駅からバス/三渓園「入場料がかかるが、小京都気分を味わえる」(52歳・男性)
今回調査して分かったが、通勤や通学はもちろん、レジャーにピッタリのスポットもたくさんあるようだ。現在、JR京浜東北・根岸線沿線を住まいの選択肢に入れている人は、一度足を運んでみてはいかがだろうか? 実際に沿線の雰囲気を味わうことで、決断を後押ししてくれるかもしれない。
●調査概要[沿線に関する調査]より
・調査期間:2017年2月23日〜2017年2月27日
・調査方法:インターネット調査(ネオマーケティング)
・対象:JR京浜東北・根岸線沿線に現在住んでいる、20~60代の男女
・有効回答数:150名
(明日 陽樹 (考務店))