「バイプレイヤーズ」10話。無邪気に老眼トークで盛り上がるおじさんたちがタマラナク愛おしい
10年前、遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研という名バイプレイヤーたちが集まって撮影していたものの、途中で頓挫してしまった映画のラストシーンを撮り直し、完成させることが最終目標なのだろう……ということが見えてきたドラマ『バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら』(テレビ東京・金曜24:12〜)。
仲間内に裏切り者がいないというのも分かったし、行方不明だった鬼屋敷監督も見つかった。あとは何者かに盗まれた映画『バイプレイヤーズ』のフィルムを探し出すだけ。
そのフィルムが、映画でマドンナを演じていた夏川結衣の家にあるらしいという情報が。
この6人の主演映画のマドンナが夏川結衣って……なんと「ちょうどいい」キャスティング!
しかし、夏川の家にフィルムを探しに行くのにはひとつ問題が。
10年前、恋人役を演じていた光石研が夏川にほれて、夢中になりすぎた挙げ句「ほぼストーカー」状態となり、ラブシーンの撮影をドタキャン。
そのせいで夏川は降板し、『バイプレイヤーズ』撮影中止の決定打となったというのだ。
とにかく夏川に謝らなければならないが、素で謝罪するのはキツイ……ということで、『感動謝罪ドキュメント〜謝りたい人がいる〜』なるドキュメンタリー番組の企画に乗っかって謝罪することに。
ところがその番組は、低視聴率のせいで『謝罪バラエティ・おうちでごめんなちゃ〜い』という過剰なエンタメ路線にテコ入れされていたのだ。
おかげで、誠意大将軍(羽賀研二!)のコスプレをさせられたり、マラソンをさせられたりと、どう考えても必要のない、体を張った謝罪をさせられる光石。
困り顔の似合う光石が、ムチャぶり謝罪をイヤイヤやらされている感もグッとくるのだが、それ以上に、完全に冷め切った目でその企画に付き合っている夏川結衣がタマラナイ。
周りがバラエティノリで謝罪を盛り上げる中、怒って家に帰ってしまったり、本気のグーパンチ(奥歯が折れるほど)を食らわせたりとガチすぎる反応を見せる夏川。
というのも実は、先にほれたのは夏川の方だったのに、「彼女が、妻子持ちを好きになったなんて知れたら……」と気遣った光石が、「自分が一方的に夢中になった」と言い張っていたというのが真相だったのだ。
夏川は、光石がひとりで泥をかぶって、ラブシーンをドタキャンしたことに腹を立てていたようだ。
最終的に、どろんこプールに飛び込んで文字通り「泥をかぶって」謝罪をした光石を、夏川が「ホント、泥かぶるのが好きなんだね」とほほえんで許す……というオチは、さすがにキレイにまとめすぎという感じはしたが。
しかし、第3話での山口紗弥加との不倫エピソードといい、夏川結衣にガチでほれられていたエピソードといい、バイプレイヤーズ6人の中で一番地味なイメージのある光石に、モテモテ&女癖が悪い(しかも愛妻家らしい)というキャラクターをなぜつけた!
それだけでこのドラマ、勝ちだよ。
光石研が、やたらとモテて戸惑っていたり、かわいい女の子を見てニヤケている姿だけで、見ているこっちもニヤニヤしちゃうんだもん。
今回、光石&夏川のラブストーリー以上に、心を奪われてしまったのが、「謝罪応援団」として光石のロケについてきた遠藤憲一、松重豊の無邪気っぷり。
他人の撮影の付き添いだし、仕事でもないからね……という感じで、テキトーにポンポンを振り、撮影の合間にふたりで「ドナドナ」を歌ったり、サッカーボールを蹴りあったり……時間を持て余した小学生かよ。
さらにいうと、本番中に夏川の家に上がり込んで、フィルム捜索のために家捜しをしてしまう無邪気さもヤバイ。完全に犯罪ですよ!
そんな、本編のストーリーとはあまり関係ない部分で自由に振る舞っている(ように見える)ふたりが愛おしくてならないのだ。
「無邪気感」でいうと、ドラマ終了後の「バイプレトーク」でも、おじさんたちがみんなではしゃいでいてサイコーだった。
今回は、カメラに向かってフリートークをするという形式ではなく、翌日の撮影スケジュールが配布される様子を遠目に撮しているだけなのだが、だからこそ見られる素(?)の姿に身悶えしてしまう。
老眼のため、細かい文字が見えないと大騒ぎ。
真面目に演出プランを語っている大杉漣の話を聞かず、寿司を盗み食いする光石研&じゃれつく遠藤憲一。
そして、口が回らなくて『バグダッド・カフェ』も「アキ・カウリスマキ」も言えなくなっちゃっている田口トモロヲ。
……なんだよ、このおじさんたち。ずっと見ていられるよ!
それだけに、ドラマ本編の脚本が出演者の魅力に追いついていない感があるのが残念なところなのだが。
とにかく最終回まであと2話!
ドキュメンタリーではないけれど、完全なフィクションとも言い切れない、この不思議なドラマの結末はどうなるのか?
最終回となる第12話のゲストが天海祐希と発表されたこともあり、期待せずにはいられないのだ!
(イラストと文/北村ヂン)
仲間内に裏切り者がいないというのも分かったし、行方不明だった鬼屋敷監督も見つかった。あとは何者かに盗まれた映画『バイプレイヤーズ』のフィルムを探し出すだけ。
この6人の主演映画のマドンナが夏川結衣って……なんと「ちょうどいい」キャスティング!
しかし、夏川の家にフィルムを探しに行くのにはひとつ問題が。
10年前、恋人役を演じていた光石研が夏川にほれて、夢中になりすぎた挙げ句「ほぼストーカー」状態となり、ラブシーンの撮影をドタキャン。
そのせいで夏川は降板し、『バイプレイヤーズ』撮影中止の決定打となったというのだ。
光石研にモテキャラ設定をつけたのは誰だ!
とにかく夏川に謝らなければならないが、素で謝罪するのはキツイ……ということで、『感動謝罪ドキュメント〜謝りたい人がいる〜』なるドキュメンタリー番組の企画に乗っかって謝罪することに。
ところがその番組は、低視聴率のせいで『謝罪バラエティ・おうちでごめんなちゃ〜い』という過剰なエンタメ路線にテコ入れされていたのだ。
おかげで、誠意大将軍(羽賀研二!)のコスプレをさせられたり、マラソンをさせられたりと、どう考えても必要のない、体を張った謝罪をさせられる光石。
困り顔の似合う光石が、ムチャぶり謝罪をイヤイヤやらされている感もグッとくるのだが、それ以上に、完全に冷め切った目でその企画に付き合っている夏川結衣がタマラナイ。
周りがバラエティノリで謝罪を盛り上げる中、怒って家に帰ってしまったり、本気のグーパンチ(奥歯が折れるほど)を食らわせたりとガチすぎる反応を見せる夏川。
というのも実は、先にほれたのは夏川の方だったのに、「彼女が、妻子持ちを好きになったなんて知れたら……」と気遣った光石が、「自分が一方的に夢中になった」と言い張っていたというのが真相だったのだ。
夏川は、光石がひとりで泥をかぶって、ラブシーンをドタキャンしたことに腹を立てていたようだ。
最終的に、どろんこプールに飛び込んで文字通り「泥をかぶって」謝罪をした光石を、夏川が「ホント、泥かぶるのが好きなんだね」とほほえんで許す……というオチは、さすがにキレイにまとめすぎという感じはしたが。
しかし、第3話での山口紗弥加との不倫エピソードといい、夏川結衣にガチでほれられていたエピソードといい、バイプレイヤーズ6人の中で一番地味なイメージのある光石に、モテモテ&女癖が悪い(しかも愛妻家らしい)というキャラクターをなぜつけた!
それだけでこのドラマ、勝ちだよ。
光石研が、やたらとモテて戸惑っていたり、かわいい女の子を見てニヤケている姿だけで、見ているこっちもニヤニヤしちゃうんだもん。
老眼でこれだけ盛り上がるおじさんたちがタマラナイ
今回、光石&夏川のラブストーリー以上に、心を奪われてしまったのが、「謝罪応援団」として光石のロケについてきた遠藤憲一、松重豊の無邪気っぷり。
他人の撮影の付き添いだし、仕事でもないからね……という感じで、テキトーにポンポンを振り、撮影の合間にふたりで「ドナドナ」を歌ったり、サッカーボールを蹴りあったり……時間を持て余した小学生かよ。
さらにいうと、本番中に夏川の家に上がり込んで、フィルム捜索のために家捜しをしてしまう無邪気さもヤバイ。完全に犯罪ですよ!
そんな、本編のストーリーとはあまり関係ない部分で自由に振る舞っている(ように見える)ふたりが愛おしくてならないのだ。
「無邪気感」でいうと、ドラマ終了後の「バイプレトーク」でも、おじさんたちがみんなではしゃいでいてサイコーだった。
今回は、カメラに向かってフリートークをするという形式ではなく、翌日の撮影スケジュールが配布される様子を遠目に撮しているだけなのだが、だからこそ見られる素(?)の姿に身悶えしてしまう。
老眼のため、細かい文字が見えないと大騒ぎ。
真面目に演出プランを語っている大杉漣の話を聞かず、寿司を盗み食いする光石研&じゃれつく遠藤憲一。
そして、口が回らなくて『バグダッド・カフェ』も「アキ・カウリスマキ」も言えなくなっちゃっている田口トモロヲ。
……なんだよ、このおじさんたち。ずっと見ていられるよ!
それだけに、ドラマ本編の脚本が出演者の魅力に追いついていない感があるのが残念なところなのだが。
とにかく最終回まであと2話!
ドキュメンタリーではないけれど、完全なフィクションとも言い切れない、この不思議なドラマの結末はどうなるのか?
最終回となる第12話のゲストが天海祐希と発表されたこともあり、期待せずにはいられないのだ!
(イラストと文/北村ヂン)