都立小岩vs東京電機大高
都立小岩・桐生
一昨年夏よりは昨年夏、そして昨年夏よりもこの春と、都立小岩は確実にチーム力を上げてきているということを如実に示してくれる試合ぶりだった。それは、シートノックの時から十分に伝わってきていた。
都立永山から異動してきて4年目となった、都立小岩の西悠介監督も、「今年のチームには、手ごたえを感じています。ある程度はやれるのではないかと思っています。選手たちも、素直でいい子たちなんですよ。こっちが叱っても、自分のために叱ってくれているのだということを受け止めてくれています。保護者の方たちも、いい意味で下町気質で協力してくださっているので助かります」と、いろいろな面で好感触を得ているという。
その都立小岩、初回は東京電機大高の先発直本君の丁寧な投球に対して安打は奪えなかったものの、四球と盗塁、バントで進め、ゴロGO戦術で足を生かして先制。そして3回には、1番からの好打順を生かして一気に打線が爆発した。
先頭の石川君が三塁線へバント安打すると、すかさず二塁盗塁後に戸村君がしっかりと送って暴投で生還。さらに、3番角石君が右中間に三塁打を放つと、内野ゴロ野選で追加点。またしてもゴロGO戦術が功を奏した。すぐに二塁盗塁で一死二塁とすると、関君の中前タイムリーで清水君を帰して4点目。ここに失策なども絡んでこの回5点のビッグイニングとなった。
そして、4回にも2人目荒木君から、またしても一死三塁で内野ゴロの間に得点。そして、6回には石川君の三塁打に清水君の中前タイムリーでコールドゲームとした。
機動力を生かした積極的な攻めていこうという姿勢の野球は、相手に対しても、「何かやってくるのではないか」と警戒させるに十分だった。また、投手陣も、昨年から一冬越えて大きく成長したという右横手投げの桐生君が安定した投球で5回を1四球のみに抑えた。低めにコントロールされ、スライダーの曲がりも鋭く、スーッと沈んでいく感じだ。リリーフした合六君も小柄な体ながら小気味のいい投球でストレートでぐいぐいと押してきて、きっちり3人で抑えた。こうして、都立小岩は2人で東京電機大高打線を6回参考ながらノーヒットノーランに抑えた。
桐生君は冬のトレーニングとして、よく走ったという。長距離を走るというよりも、200mのインターバル走を何本も行うという鍛え方だったという。それが功を奏して、下半身も一回り大きくなり、安定感も出てきたという。また、守りもしっかりと鍛えられているなという印象だった。それでも、ほぼ完敗だったが、東京電機大高も、それ程大きな守りの破たんがあったというものでもなかった。直本君と荒木君と2人の投手も、ここまでやってきたことはしっかりと出せたのではないだろうか。
ただ、パワーとスピード、それに試合運びでそれぞれ都立小岩が1枚上回っていたのは否めない。6イニングで1四球のみでは、攻撃としては如何ともしがたかった。
(取材・写真=手束 仁)
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