世の中には辞書を調べても、いまいちよくわからない言葉がある。その一例が「シャベル」と「スコップ」だ。

『広辞苑(第六版)』によると、シャベルは英語(shovel)で、「砂・砂利・粘土など軟らかい土質掘削し、すくうのに用いる道具。匙型鉄製で、木柄をつけたもの。シャブル。ショベル。スコップ」を指す。一方のスコップはオランダ語(schop)で、「粉・土砂などをすくい上げ、また混和するのに使う、大きな匙型の道具。シャベル。掬鋤(すくいぐわ)」を意味している。

どちらにも「すくう」用途で使うことが示されており、説明には互いの名称が出てくる始末。

そこでJタウン研究所では、「『シャベル』と『スコップ』、どう呼び分ける?」というテーマで都道府県別にアンケート調査を行った(総投票数422票、2016年9月27日〜11月8日)。

果たして結果は――。

「大きさ」で呼び分け

調査では、「大きいほうがシャベル/スコップ」「平らな形がシャベル/スコップ」「すべてシャベル/スコップ」「特に区別はしない」「その他」と選択肢を8項目用意した。

項目別に投票分布をみてみると、「シャベル」派・「スコップ」派に関わらず、「大きさ」に着目して呼び分けをしている人が多いことが分かった。


「シャベル」と「スコップ」呼び分けのグラフ(Jタウンネット調べ)

そこで全回答(422票)のうち、「シャベル」と「スコップ」を「大きさ」で呼び分けるという回答(333票)の都道府県別分布を調べたところ、下のような図になった。


「シャベル」と「スコップ」呼び分けの都道府県別投票分布(Jタウンネット調べ)

「大きいほうがスコップ」の得票は全国で127票(30.1%)あったものの、最多得票を得た都道府県は少ない。しかし、北海道と神奈川、富山では「スコップ」派が大差をつける結果に。また、西日本では「スコップ」派がみられないこと、中部・関西地方を中心に「シャベル」の呼称が根付いていることが明らかとなった。

一般的には、東日本では「大きいほう」を「スコップ」、西日本では「シャベル」と呼ぶ傾向があるというのが「定説」として紹介されている。もっとも今回の調査では、はっきりと裏付ける結果は得られなかった。「大きさ」が区別の基準としては意識されているようだが、どっちがどっちとなると――広辞苑の定義同様、やはりあやふやなようだ。