みなさんこんにちは。殖栗 正登です。今回は、僕が実際に徳島インディゴソックスで行ったピリオダイゼーションについてお話ししようと思います。

野球のトレーニングプログラムを計画する際の実践例とメニュー内容について

 独立リーグの場合は、シーズンは2月〜10月。約8ヶ月の過酷なシーズン、選手たちに対してストレングスとコンディショニングの調整を行っていく。しかも、シーズン中はコンディショニングをいつもピークに持っていかなくてはならないという、特殊なリーグでもある。

 どの選手も、筋力・心肺機能・モビリティ(運動性)・スタビリティ(安定性)などの身体機能・スピード・パワー・アジリティ(敏捷性)・ローテーションストレングスなど、トレーニング内容は多岐に渡る。僕はまず、12月、1月の段階でシーズンのプログラムを立てていき、あとは臨機応変に対応していく。プログラムを立てるときは、途中変更もできる柔軟性と絶対的なコアになる部分を明確に適応と調整を繰り返していく。

 ■基本モデル

オフシーズン〜春季キャンプのプログラムメニュー

 独立リーグの場合、10月までのリーグ戦プラス、ポストシーズンに宮崎でのフェニックリーグが入って来る。なので、11月は完全オフになり、12月〜2月はオフシーズンとなり自主トレがメインになり、我々トレーニングコーチがメニューを作成して実施してもらっている。そのプログラム内容は、

(1) 解剖学的適応期 4〜5週(2) 400メートル×6〜8本 (VO2MAX 60パーセント)(3) ストレングス期 4〜5週(4) スピード&アジリティ期 3〜4週(5) 爆発的パワー期 3〜4週

 オフシーズンは2〜3時間のトレーニングメニューの内容として、ストレングストレーニングは週に4日、月・木は上半身のトレーニング、火・金は下半身のトレーニングとする。基礎的な有酸素プログラムは週6で、後の各プログラム(パワー&アジリティ&モビリティ&コア)は週に3〜4日行う。それは、各期に合わせて行っていく。

【トレーニングプログラム】実際、どのようなプログラムを立てるかというと、

(A)上半身胸部腰背部肩上腕前腕・手首・指ショルダースローイング

(B)下半身大腿四頭筋ふくらはぎ体幹ハムストリングス回旋ムーヴメント

(C)スペシャルエクササイズバランスボールエクササイズバランスムーヴメントモビリティエクササイズ

解剖学的適応期 20-15-12-10回 4〜5セットストレングス期 8-6-4 6-4-3回 4〜5セット転換期 6-5-4回 3〜4セットパワー期 4-3-2回 4〜5セット

【上半身のトレーニングメニュー例】(1)ベンチプレス(2)インクラインベンチプレス(3)ベントオーバーローイング(4)チンニング(5)フロントラットプルダウン(6)ディップス(7)ショルダープレス(8)アップライトロウ(9)アームカール(10)リストローラー(11)ラテラルショルダーレイズ(12)スローイング

【下半身のトレーニングメニュー例】(1)スクワット(2)デッドリフト(3)レッグプレス(4)ランジ(5)サイトラウンジ(6)ステップアップ(7)ツイストスクワット(8)レッグエクステンション(9)レッグカール(10)ヒップ(アブダクション・アダクション)(11)ダンベルシットアップ(12)トランクツイスト

春季キャンプ

 2〜3月(6〜8週)にかけては、トレーニング内容がインシーズンに向けて野球に対する基礎と技術の準備をする期間である。この時期はストレングス&コンディショニングトレーニングコーチは、選手がオーバートレーニングにならないようにプログラムを組むことが大切である。その為、週に1、2回はアクティヴレストを入れるのが良い。

 春季トレーニングのポイントは、ウエイトトレーニングを週に2回、全体的なコンディショニング、モビリティ、アジリティ&スピードを週に2〜3回行う。そして野球の技術・戦術練習を毎日行って行く為、トレーニング時間は40〜60分になる。

【プログラム例】月 上半身のウエイトトレーニング火 コンディショニングとスプリント水 アジリティ木 下半身のウエイトトレーニング金 オフ土 アジリティ+スピードトレーニング日 コンディショニング(プール)

インシーズン〜ポストシーズンのプログラムメニュー

 4月に開幕を迎えて、10月までシーズン中は緩く、インシーズンでは連日のゲームに必要なストレングスの維持と、ゲーム後の素早いプログラムを設定する。プログラムの良悪は、プレーヤーがどれだけ強いかの判定ではなく、シーズン後半とプレーオフにおいてどれだけ良いコンディショニングにおいてプレーできるかで判定する。

 独立リーグは、毎日移動してゲームを重ねるため(デーゲームとナイターも毎日入れ代わる)、プレーヤーの身体、精神のストレスを軽減させてゲームに集中できるように調整をさせる必要があり、プログラムには柔軟性が必要である。また、プレーヤーのハートに火をつけることも大切である。インシーズンのトレーニングプログラムは、トレーニング時間30〜50分間、ウエイトトレーニングを週に2回、コンディショニング2〜3回、モビリティ、アジリティを1〜2回行う。

【先発ピッチャーのプログラム例】ゲーム日 ゲーム後のリカバリーと肩甲帯、ショルダーエクササイズ、15分の有酸素など1日目 ウエイトトレーニング+45分のコンディショニング2日目 ブルペン+PP間走(心拍数85〜95パーセント)3日目 高重量のウエイトトレーニング+PC間走(心拍数75〜85パーセント)4日目 モビリティ&アジリティ&スピード(軽め)5日目 ゲーム

【中継ぎピッチャーのプログラム例】月 1イニングゲーム登板(ゲーム後ウエイトトレーニング上半身)火 30〜45分間の持久走トレーニング(心拍数80〜85パーセント)水 トレーニングオフ木 1イニング登板(ゲーム後ウエイトトレーニング下半身)金 トレーニングオフ土 30〜45分間の持久走トレーニング(心拍数80〜85パーセント)日 トレーニングオフ※トレーニングオフの日に、アジリティ&モビリティを行っても良い(週1回)

【インシーズンのトレーニングプログラム】下半身・大腿四頭筋 8-6-4-4-4・カーフレイブ 3×8〜10・ハムストリング 4×8〜10・腰部 3×8〜10・ステップアップ 3×6〜8

上半身・胸部 8-6-4-4・背部 6×3〜4・肩 6×3〜4・上腕三頭筋 6×3〜4・上腕二頭筋 6×3〜4

【野手のプログラム例】月 ゲーム後ウエイトトレーニング(上半身)火 アジリティ(ゲーム前後)水 コンディショニング木 トレーニングオフ金 ウエイトトレーニング(下半身)土 トレーニングオフ日 トレーニングオフ※野手は毎日プレーするので、身体的ストレスを考えなくてはいけない。ウエイトトレーニングに前腕のメニューが必要になる。

ポストシーズン

 この時期は、20秒のエクササイズと30秒のレストを入れたサーキットトレーニングを10〜12種目で行っていく。

■まとめ

 今回は2014年の徳島インディゴソックスが日本一になった時のシーズンプログラムメニューを紹介しました。是非年間プログラムを計画する際の参考にしてみて下さい。

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