14安打14点の5回コールド、駒場学園 都立光丘を圧倒

 試合開始30分ほど前から、八王子地方は強い雨が降りはじめ、予定より1時間16分遅れの、午前11時16分に試合が始まった。好調な駒場学園打線を、都立光丘がどう抑えるかが焦点であった。都立光丘の先発は背番号11の左腕・吉田 諒平。足を高く上げ、打者から背番号が見えるぐらい体をひねる、独特のフォームで投げる。

 しかし1回表、2つの四球と駒場学園の4番荻原 大二朗の左前安打で一死満塁。先発投手でもある5番の林 虎之介の中犠飛で駒場学園が1点を先取した。それでも二死。1点止まりなら、それほどダメージは大きくない。ところが、6番二井 涼太の平凡な中飛を、都立光丘の中堅手が落球して2人が生還した。これで駒場学園が完全に主導権を握った。

 2回表には、二塁打の川崎 慶太を1番山口 塁の中前安打で還し1点。3回表には、都立光丘の2番手・高柳 龍生から荻原の左中間を破る二塁打、林の右中間の三塁打で1点。さらに7番中田 峻矢の左前安打、9番川崎への右翼手の横をすり抜ける三塁打でこの回3点。

 4回からは都立光丘はエースの齋 直樹をマウンドに送る。都立光丘の3人の投手の中では齋が、一番球威があった。4回は代打・島田 健の左前適時打で1点を失ったが、試合が締まるかにみえた。

 しかしながら5回表には、この回の途中から再登板した高柳と合わせて8個の四球を出すなどして、6点を失った。

 投げてはエースの林が4回を無失点。5回には背番号11の2年生左腕・山口 啓吾も1回を抑え、14対0で、駒場学園が5回コールドで勝った。都立光丘にすれば、いいところなく敗れた形にはなったが、4回裏には、6番本間 竜人が、バント安打を決めるなど、グラウンドが雨で湿る中、ゴロを転がして安打3本を固め、満塁のチャンスを作るなど、大量にリードを許す中でも、気持ちを切らせず向かっていく姿勢は、高校野球らしかった。

 一方駒場学園は打線が好調。初戦で大当たりした樋山 航生は、この日は打てなかったが、その代わり、4番荻原、5番林、8番川崎が打つなど、攻撃に厚みがある。林も大量点に守られ、力を抜いた投球ができただけに、今後の戦いが楽しみである。

(文=大島 裕史)

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