駿台学園vs早稲田
まだまだ梅雨明けしていない、7月の初旬、最初の週末なのだが、東京都は早くも夏の選手権大会が始まった。
朝から蒸すような暑さの神宮球場は人工芝でもあり、グラウンドレベルでの暑さ、体感の不快度は非常に高いのではないだろうか。そんな悪コンディションで始まった試合。何度か、選手が軽い脱水症状になって足が攣るなどと言うシーンもあって中断もあったけれども、とりあえず大事なく試合は終わったことは何よりよかったのではないだろうか。
駿台学園は最も安定していると信じて、川口 将司監督は背番号6の望月君を先発マウンドに送り出した。その期待に応えて、望月君は8回を3安打無失点で抑えていった。そして、9回には本来のエース番号をつけている伊藤 智大君を送り出し、伊藤君も1安打は浴びたものの、終わってみれば完封継投となった。
とはいえ、力では一枚上かと思われた駿台学園としては、必ずしも痛快な試合ではなかったようだ。というのも、1〜3回まで走者を出しながらも早稲田の瀬下君の緩いカーブにタイミングが合わず、突っ込んだ形になってしまって、打ち切れないでいた。
それでも、4回には一死で二塁に内野安打の望月君を置いて、7番吉川君の中越二塁打で先制。続く堀越君も三遊間を破ってつないで、小松君の中犠飛で2点目を奪った。
さらに6回には吉川君が中前打すると後逸もあって三塁まで進み、堀越君の中犠飛で追加。7回にも四球の走者が望月君の二塁打などで三塁へ進むと、暴投で生還して、駿台学園はじわじわと得点差を広げていっていた。
しかし、あと一本出ていれば、ビッグイニングを作れて一気に突き放せるという場面が何度かあったが、結局はそこまで至らなかった。そういう意味では駿台学園ベンチとしては歯がゆい部分の方が多かったのではないだろうか。
8回は失策絡みと犠飛で、9回も小松君の三塁打や3番菅君の左中間二塁打などでダメ押しのダメ押しともいえる2点を追加して、そのまま逃げ切った。終わってみたら、スコアとしては大きく開いてはいたものの、何となく、そんな気はしない試合展開だったのではないだろうか。
一方、早稲田はコールドゲームを阻止して抵抗を示したところは評価されていいだろう。あと一つで崩れなかったところにも、瀬下君の粘りが感じられた。早稲田系列、系属校の中では野球環境としては最も恵まれていないが、早稲田デザインのユニホームを着ているプライドは示せたのではないだろうか。
(文=手束 仁)
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