日大二vs筑波大駒場
7月に入るとともに、夏の暑さがやって来た。そして、東京では例年より少し早く、高校野球の夏が始まった。神宮球場を埋めた高校球児のうち、甲子園に行けるのはたったの2チーム。長く厳しい戦いの始まりである。
開幕戦は、強豪・日大二に筑波大駒場が挑む一戦になった。開幕戦は、1年ごとに東西交互に試合をするが、日大二は2年前も開幕戦を戦った。昨年の開幕戦は東東京だったので、実質的に2回連続で開幕戦を戦うことになる。主将の捕手の林 健太は、2年前は1年生ながら、スタメンでマスクをかぶった。開幕戦の経験でも、日大二が上回っていたが、開幕戦でノビノビと試合をしたのは、筑波大駒場の方だった。
1回表、日大二が1番の相澤 成輝がセンターオーバーの三塁打で出塁し、2番野田 崇大の遊ゴロで生還した時は、日大二のペースと思われた。しかし、日大二の先発、背番号20の小貫 泰一は硬くなったのか、制球が定まらない。
1回裏筑波大駒場の1番滝澤 光太郎が四球で出塁すると、二盗と2番仲井 達弥の左前安打で無死一、三塁となり、3番中原 空の左犠飛で同点に追いつく。その後も、4番で先発投手である壇 宏樹の内野安打などで筑波大駒場のチャンスが続いたが、後続を抑えたことが大きかった。
筑波大駒場の反撃に受け身になった日大二であるが、2回の猛攻で、勝負を決する。まず7番大山 寛生の左前適時打で1点を挙げると、9番小貫のレフト線の二塁打、1番相澤の左前安打、2番野田の右翼手の前に落ちる二塁打で、それぞれ1点ずつを入れ、続く3番今川 大輔は初球を叩くと、打球はライトスタンドに入る、今大会第1号となる2ラン本塁打。日大二はこの回6点を挙げた。
それでも日大二は、先発の小貫、2番手の小長井 裕太、3番手の岩田 一真がいずれも回の先頭打者を四球で出し、大量リードしていても、どうもピリッとしない。
日大二は4回表にも安打4本などで4点、5回表には本塁打の今川の右前安打などで1点を挙げ、12対1、5回コールドで日大二が開幕戦を飾った。
筑波大駒場は、スコアの上では惨敗であるが、盗塁を3個決めるなど、ハツラツとしたプレーには、さわやかさを感じた。筆者は、秋季大会の1次予選で立教池袋に0対10の5回コールドで負けた試合も観ているが、その時に比べれば、攻守ともに成長を感じる。超進学校ではあるが、1、2年生が多いチームだけに、開幕戦を戦った経験を、次につなげてほしい。
一方日大二は、開幕戦で本来の力を出せなかった部分もあるが、1試合戦った意味は大きい。次の都立拝島戦に勝つと、第1シードの東海大菅生と対戦することになる。昨年の夏、秋と大接戦を演じた因縁の相手だ。これから期末試験もあるが、今後コンディションを上げていき、好試合を期待したい。
(文=大島 裕史)
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