ふだん聞いたことや行ったことがある場所でも、意外とその街のことをよく知らなかったということ、ありませんか。ということで、今回は「東京の街の歴史」に注目してみました。今回の街は、駒込。今も昔も江戸っ子に愛される場所「駒込」は、どんな歴史を持つのでしょうか？


“縁起のいい街”東京「駒込」は何の発祥地？



池袋駅まで山手線で7分、新宿駅まで15分、東京駅まで17分。
どこへ向かうのも便利な東京の街、駒込。
今でもたくさんの人で賑わっていますが、それは昔から同じ。
江戸時代には多くの武家屋敷が建ち並び、明治時代以降は「旧山の手」と呼ばれる、由緒ある住宅地として発展してきました。

そんな駒込、実はいろいろなものの「発祥の地」であることをご存知でしょうか。
そのひとつが、日本のお花見の代表格である「ソメイヨシノ（染井吉野）」。
現在の駒込にあった「駒込染井村」が発祥の桜なんです。
江戸時代、園芸の町として栄えていた駒込染井村では、それぞれの屋敷が互いに競いあうように造園を行っていました。
そんな中、染井村の植木屋が最初に売り出したとされる桜の品種が「ソメイヨシノ」。
日本人が愛する桜が生み出された場所なんですね。

ほかにも、駒込が発祥となっているものがあります。
それは、誰しもが一度は聞いたことのある、この言葉。
「一富士二鷹三茄子（いちふじ・にたか・さんなすび）」です。
縁起の良い物の代表で、初夢に見ると良い一年になるとされているこの言葉。
もともとは、「駒込は一富士二鷹三茄子」という江戸川柳からきたものでした。

富士は「駒込富士神社」、通称「お富士さん」のこと。
鷹は現在の駒込病院付近にあった、徳川吉宗が設置したという「鷹匠屋敷」。
そして茄子は、この辺りが茄子の産地だったことに由来しています。
「駒込茄子」はとても質がいいと当時の人々に評判で、江戸のセレブ達の御用達だったようです。

将軍が日光東照宮へと向かう、日光御成道であった本郷通りがあるため、たくさんの神社仏閣がある駒込。
商店街や自然もあり住みやすい一方、南北には高級住宅地も。
桜もあって、茄子もある。
江戸っ子に愛されてきた、縁起のいい街です。

文／岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「縁起のいい街、駒込」として、6月23日に放送しました。

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