未来の日本も気になるけれど、昔からある伝統もこれからの日本にしっかりと残していきたい！　というわけで今週は「東京老舗街歩き」と題して、いろいろな老舗と未来に残したい商品をご紹介しています。2回目の今回は、人形町から、美味しいスイーツのお話です。


「西洋風茶碗蒸し菓子」って何？



皆さんはどんなスイーツが好きですか？
アイスクリームやゼリー、ケーキ、プリンもいいですね。
どのスイーツも西洋から入ってきたものですが、実は江戸時代から存在したものもあります。
プリンも、そのひとつです。

プリンが日本に入ってきたのは江戸末期。
「西洋料理通」という文献に初めて登場しました。
「プディング」という料理は日本人に「ポッディング」「プッジング」と聞こえ、やがて「プリン」に変化したと言われています。

当時のプリンは、とってもシンプル。
材料は卵と牛乳、砂糖のみ。
この江戸のプリンの味を、現在でも食べられるお店があるのをご存知でしょうか。
人形町にある、創業明治10年の老舗「水天宮つくし」です。
なんと平成に入ってから、つくしの初代であった鷺谷米蔵が記した「秘伝の書」が偶然発見されたのです。

「西洋風茶碗蒸し菓子」……秘伝書にはそう書かれていました。
確かに、プリンは西洋風の茶碗蒸しです。
5代目となる現在のご主人は、このレシピを現代に蘇らせ、「人形町風鈴（にんぎょうちょうプリン）」と名づけました。
「プリン」は「風鈴（ふうりん）」と書いてプリンと読ませる当て字。
名前の付け方も江戸風で粋ですね。

シンプルなレシピだからこそ、
卵は季節によって産地を変えるなど素材選びにはこだわったプリン。
やや固めの食感と、濃厚な卵の味がポイントです。
つくしの店内には先代が集めた錦絵が多数飾られていて、「水天宮の錦絵」のある席で赤飯を食べた人は、安産になるという逸話も。

江戸と西洋の不思議なコラボ。
人形町に行ったら、ぜひ味わってみてくださいね。

文／岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「つくしの『西洋風茶碗蒸菓子』」として、6月14日に放送しました。

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＜番組概要＞
番組名：「シンクロのシティ」
放送日時 ：毎週月〜木曜15：00〜16：50
パーソナリティ：堀内貴之、MIO
番組Webサイト：http://www.tfm.co.jp/city/