新華網、中国経済網など中国の主要ネットメディアは12日、「最近になり、インターネット上で偽かつ違法な金取り引きサイトが多数出現している」と報じた。正規の取引所である上海黄金交易所(上海金取引所)も、利用しないように呼びかけていると紹介した。(イメージ写真提供:123RF)

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 新華網、中国経済網など中国の主要ネットメディアは12日、「最近になり、インターネット上で偽かつ違法な金取り引きサイトが多数出現している」と報じた。正規の取引所である上海黄金交易所(上海金取引所)も、利用しないように呼びかけていると紹介した。

 上海黄金交易所は2日に、同取引所の正式名称や略称である「金交所」を使った違法な偽サイトが出現しているとして、「利用した場合は、投資家は違法な金取引に参加することになる」と、注意を呼びかけた。

 12日の各社報道では、「違法な偽サイト」が出現した背景を、国際的な金価格の回復傾向や、春節(旧正月)期前後には金取引が活発になる季節性にあると解釈。違法サイトの数については「台頭」と表現し、増加していることを示唆した。

 記事はさらに、「上海黄金交易所は政府が許可した中国における唯一の金の取引所であり、「国内のその他のいかなる場所も、機関も、個人も、金取引所や金取引のプラットフォームを設けることはできない」と強調。

 12日発表の記事によると、上海黄金交易所の関係者は一般投資家向けに、「正規の商業銀行や取り扱い資格を持つ金融業者が販売する金関連の金融商品を購入してほしい。違法な商品の場合、レバレッジ率が高く、投資家に大きな損失をもたらす恐れがある」と呼びかけたという。

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◆解説◆
 上海黄金交易所の1日の発表と、12日に始まったメディアの報道には、微妙な違いがある。上海黄金交易所はあくまでも「だまされないように」との注意喚起だったが、12日の報道では「違法な業者を利用するな」に力点が置かれている。

 12日の報道は、「金商品を違法に扱っている業者」と勘付きつつも、ハイリターンを期待して購入する投資家の多いことを示唆していると言える。

 日本でも、資金繰りで追い詰められた事業主などが「違法な金融業者(ヤミ金融)」を利用することは、時おり伝えられている。しかし、資産を増やすことが目的の投資家が、「政府の権威よりも目の前の利益」を重視するようになれば、金融市場の秩序維持にとっては「由々しき事態」と言える。

 中国には海外との違法な送金業務を行う「地下銀行」の問題があるが、地下銀行が隆盛になったのは、正規の銀行よりもサービスや利用料金で有利だったからだ。中国経済では、「政府の規制をかいくぐる」事例の多発が問題を複雑化することが珍しくない。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)