また、各種委員会の大幅削減(現行26から9へ)についても疑問の声が挙がっている。なかでも競技の専門性が求められるフットボール委員会が他委員会と吸収合併する形になり、新たな仕組みで機能するのかが懸念されている。
 
 FIFA理事を務める日本サッカー協会の田嶋幸三副会長は「カラール委員長からの説明を受けて、理事会全体が『改革は待ったなしだ』という雰囲気になった。18年ワールドカップまでに信頼を回復するために改革案という指標を示した。今後は改革計画が進んでいることを見せることが我々の役目」と厳しい表情で話した。
 一方、来年2月の臨時総会での会長選挙を前に、出馬に意欲を見せ、現在の仮処分を受けるまでは最有力候補と見られていたプラティニ氏に、新たな動きが出てきた。
 
 12月7日、CAS(スポーツ仲裁裁判所)がプラティニ氏とFIFAに対して8日に事情聴取を行なうと発表。今年10月、プラティニ氏はブラッター会長からの不正受給疑惑で同会長とともに90日間のサッカー活動停止処分を受けたが、CASに処分不当の申し出をしていたのだ。
 
 その前日の6日にはフランス紙が同氏の無実を証明する文書の存在を報じたばかり。この文書はUEFA(欧州サッカー連盟)理事会にて、プラティニ氏へのFIFAからの支払いが議題になったことを示すものだという。これが認められれば仮処分解除となる可能性もあり、UEFA会長のプラティニ氏がFIFA会長選へ復帰する道も開けるかもしれない。
 
 しかしメディアの間では、1998〜2002年の同氏の業務への支払いが、2011年のFIFA会長選直前という不自然さを問う指摘もある。CASは12月11日までに結論を出す予定だ。
 
 一方、ブラッター会長に関わる文書の存在が12月7日、英国国営放送『BBC』によって報じられた。ジョアン・アベランジェ前FIFA会長時代の1990年代に、スポーツマーケティング会社『ISL』がテレビ放映権などの商業権を得るために総額1億米ドルの賄賂を前会長に渡し、その事実を当時は事務総長だったブラッター氏が認識していたとするもので、文書はアベランジェ前会長自身の書簡だという。
 
 98年の会長就任以来、幹部の贈収賄の存在は知らなかったと主張しているブラッター会長にとって、新たな疑惑の浮上がマイナスにしかならないのは明らかだ。
 
 FIFA倫理委員会によるブラッター、プラティニ両氏の最終処分決定は12月末までに下される予定になっている。まだまだ目が離せない状況が続きそうだ。
 
文:木ノ原句望(スポーツジャーナリスト)