学生の窓口編集部

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「頼まれてた資料、準備しておいたよ」
「あっ、すみません!」
なんてやりとりは、日常生活では珍しくありません。席を譲ってもらったら「すみません」、お菓子をもらっても「すみません」。海外の人からは「日本人は謝りすぎ!」なんて揶揄されることもあります。心理学的に見れば、この「すみません」は言わないほうがベターかもしれません。

■「すみません」って、そもそも何?
「すみません」は、軽い謝罪の言葉として使われることがよくあります。ビジネスの場では軽すぎてNGとされていますね。もともとは「澄む」からきた言葉で、「気持ちが晴れない」という意味合い。つまり、迷惑をかけたことに対し「申し訳なくて私の気持ちが晴れません」という意味なのです。

心理学的にみた「すみません」
感謝の気持ちで用いられることもあります。たとえば「このお菓子、おすそ分けです」「すみません、いただきます」といった場合です。謝る必要はまったくないのですが、この場合は「済む」と考えてみるとわかりやすいでしょう。「私の気持ちがおさまりません」という意味合いから口にされるのです。

ただ、仕事など、負担が大きなものをしてくれた人への感謝を「すみません」と言ってしまうのは考えものです。負担が大きければ大きいほど、相手は「自分が苦労してやってあげた」感が強くなります。知らず知らずのうちに心理的な負担を感じ「ストレスのある関係」と認識しやすくなるのです。あまり、良い人間関係となりえないことは明白です。

■良い人間関係を築くためのコツは「感謝」
できれば、会社でも学校でも、友だち関係でも、良い人間関係を築いていきたいもの。そのためにはどうしたら良いのでしょうか。ひとつ意識してみたいのが、感謝の意味で「すみません」を使う代わりに、「ありがとう」と言うことです。本来ならそういう意味合いのことを伝えたいのですから、抵抗なく置き換えられるでしょう。

心理学ではビジネスを始めとした対峙関係の心理について、さまざまな研究が行われています。「説得」や「協調」などさまざまな研究分野がありますが、「感謝」に関する研究も多数行われています。そして、人に対して感謝を表明することは、相手だけでなく自分にもポジティブな気分をもたらすことがわかっています。さらにいえば、感謝の気持ちを口にすると、自分の幸福感が長続きするという説もあります。同じ意味を伝えるなら「ありがとう」は良いことづくめなわけですね。
■感謝が逆効果になるケースは?
ただ、いつもいつも感謝ばかりしていれば良いというわけではありません。たとえば、言い過ぎれば「ホントにそう思っているのか?」と疑われるでしょう。また、よくある謙遜心から「これができたのは全部◯◯さんのおかげです!」と自分を卑下するのも、自分にとってのストレスを高めます。良い人間関係にもなりえません。適切なタイミングで、正しく「すみません」を「ありがとう」に変えていくと良いでしょう。

(文/赤木麻里)