2015年7月1日に始まったApple Music。日本でのサービス開始は直前までアナウンスされなかったため、嬉しいサプライズとなった。

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Appleの定額制音楽配信サービス「Apple Music」。
7月1日の開始から早いもので1週間が経った。

全世界約3,000万曲が定額制で聴き放題。
24時間生放送のラジオ「Beats 1」。
アーティストと交流できる「Connect」。

目玉は多い。筆者もここしばらくずっとApple Musicを聞いている。でも、どれだけ触っても全然飽きない。その理由は「プレイリスト」と「For You」にある。

Apple Musicには、アーティストの曲やアルバムの他に、いくつかの曲をまとめた「プレイリスト」が作られている。
同じジャンルや同年代の曲をまとめるだけなら、ある程度自動でできるはず。ヒットチャートをまとめたり、よく聞かれている曲をリストにするなどわけないだろう。

ところが、Apple Musicは全てのプレイリストを人の手で作っているのだ。
音楽に精通したキュレーターが世界中におり、それぞれの得意なジャンルでプレイリストを1つ1つ作っている。曲の並び順までこだわって。

例えばU2なら、入門用の「はじめてのU2」、コアファン向けの「U2:隠れた名曲」「U2:ライブ」「U2:B面」、さらに「U2が影響をうけたサウンド」や「U2に影響をうけたサウンド」まである。

バンドやジャンルのバックストーリーまで理解していないと、これらのプレイリストは作ることができない。

Apple Musicにはユーザの好みを学習して曲をオススメする「For You」機能があり、プレイリストの情報も学習に使われている。おかげで「なんでこの曲が好きだとわかった!?」と驚くこともしばしば。聞けば聞くほど好みの音楽がザクザク出てくる。

手間を惜しまず、人力で曲と曲のあいだの線をつなぐ。
現在と過去の曲がつながり、新しい発見を生む。
他の定額制音楽配信サービスと大きく異なるポイントだ。

大喜利状態のプレイリストたち


プレイリストは検索やジャンル、アーティストを起点として見つけることができる。
マニアックなプレイリストがたくさんあって飽きない。
しかし中には、ちょっと毛色が変わったプレイリストもある。

様々なシチュエーション別にプレイリストが作られている、「アクティビティ」をのぞいてみてほしい。

例えば『ドライブ』のシチュエーションなら、陽気な曲が集まっているんだろうなぁ、ぐらいは想像がつく。
そこは音楽のプロたち、ただでは済まない。「車好きのためのオルタナ・ロック」「トラックでドライブ」「ファルセットが好きなあなたに」なんていうプレイリストが揃っている。

キュレーターたちが自分の得意ジャンルに寄せたプレイリストを作っている。プロがお題に沿って選曲する、”プレイリスト大喜利”状態になっているのだ。

『クッキング』には、「朝までクッキング!」「お菓子作りが趣味なあなたへ」などポップなものもあれば、「料理のためのオルガントリオ」という渋めのジャズ、そしてなぜか荘厳な「ロシア民謡 クラシック音楽」が並ぶ。どんな料理を作る気なのか。

『アウトドア』はBBQが多すぎる。「バックヤード:BBQ」「ロックンロールBBQ」「BBQポップヒッツ」「午後のBBQミックス」「BBQスタイル:カントリー」まで、各ジャンル揃って肉を焼きまくり。

『モチベーション』はやる気をアップさせるプレイリスト集。「掃除がはかどるメタル」「暑すぎる夏にやる気を出すレゲエ」などが並ぶが、ライターとしてどうしても気になるのが「締切直前にやる気を出す」。激しいラップバトルが中心のヒップホップ・プレイリストでした。どうしても間に合わない時に聞いてみます。

他にも「暗記用テクノ」「家族みんなのパンクミュージック」「君が悪い」「人間って愚か者?」など、気になるタイトルがたくさん。
掘っても掘っても新しいプレイリストが出てくる。
それを聞くと「For You」に新しい曲が出てくる。
終わらないループ。人の力、恐るべし。
(井上マサキ)