学生の窓口編集部

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突然ですが。映画『海街diary』、いいですよね。

鎌倉を舞台にした四姉妹の物語なんですが、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずといったそうそうたる顔ぶれの美女4人が姉妹役を演じることで話題になっております。

ただ、映画版はいかんせんキャストの華やかさばかりに目がいきがちですが、いいんですよ、ストーリーも。四姉妹の絆を中心に、それぞれの恋愛、仕事、友情なんかが丁寧に描かれていて、吉田秋生先生、さすがだなと。

原作マンガは現在6巻まで発売中で、リリースペースは遅いものの、まだ物語は続いております。

●『海街』とキャラがリンクしまくり

で、ここで本題。

そんな『海街diary』ですが、何と、もう“続編"が描かれているんですよ! てか、描かれていたんですよ!! しかも約20年も前に!!

そうです、今回ご紹介する『ラヴァーズ・キス』です。

もういきなり種明かししますが、吉田先生が1995年から1996年にかけて連載していた同作は、『海街diary』と同じ世界観で描かれ、時系列で言うと『海街diary』(1巻、2巻)以後の鎌倉を舞台にした物語なのです。

両方の作品に共通して登場するキャラもいれば、双方の作品の主要キャラが兄弟だったり姉弟だったり、かなり関連性が強い作品同士となっております。

なので、映画『海街diary』を観て泣きましたという人も、マンガ『海街diary』を見てクソ泣きましたという人も、『ラヴァーズ・キス』は絶対に手に取って間違いないのです。

さて、話すと長くなるんで『ラヴァーズ・キス』がどんなお話なのかをザッとご説明させていただくと、DK(男子高校生)とJK(女子高校生)のラブストーリーを中心に、あとはDKからDKへの片思い(ガチなやつ)とか、JKからJKへの片思い(ガチなやつ)とか、6人の男女の複雑に入り乱れたピュアラブを描いたハートフルな作品です。

本当です。

●ナゾキャラ、藤井朋章という男

そして、注目はメインカップルの男側、藤井朋章君。入水自殺をした過去がある、影のあるイケメン超絶モテ男系サーファーです。

実はこの藤井君、『海街diary』でも四姉妹の次女・佳乃(映画版キャストは長澤まさみ)の彼氏役として登場しています。

ただ、マンガ『海街diary』では第1話のしょっぱなから登場し、てゆーか年上彼女の佳乃とベッドで真っ裸で寝てるシーンで物語は始まり、序盤はかなり絡んでくるんですが、もろもろの事情があって佳乃とはサクッと別れてしまい、2巻までしか登場しないというちょっとナゾなクールキャラだったんですよ。

あんまり語るとネタバレになるので自主規制しますが、藤井君本人が『ラヴァーズ・キス』で、

「母親を殺すか、母親と寝るか。どちらかを選べと言われたら…どうしますか?」

と語るシーンがあるんです。まぁ、要するにそういう家庭環境が彼の言動に影を落としていたわけですが、『海街diary』だけ読んでも“藤井朋章のナゾ"は解明しきれないのです。でも『ラヴァーズ・キス』も読むと“藤井朋章の全貌"が明らかになる、と。

映画『海街diary』を観て、マンガ『海街diary』を読んで、“藤井朋章のナゾ"を究明したくなった方は、ぜひ『ラヴァーズ・キス』を読んでみてください。

『海街diary』の次女・佳乃と別れた後の藤井君の真のラブストーリーが描かれておりますので。

じゃあ佳乃との関係はなんだったんだよ、佳乃とは遊びだったんかよ、と思う方もいるかもしれないですが、まぁある意味そうなんですけど(笑)。

でも筆者はそんな刹那的な恋模様もめちゃ好きで、あとついでに言うと『海街diary』四姉妹の中での推しは完全に佳乃なので、佳乃の一瞬の恋のお相手だった藤井君の後日談が、まさか20年前に描かれていたとは……と衝撃が走ったんです。

ちなみに筆者は男で、同性愛の気は全くなく、フツーにむちゃくちゃ女が好きなんですが、なぜか藤井君がおもくそ気になってしょうがなかったんで、こんなコラムを書いた次第。

なので、男子も女子も、少女マンガ好きもそうじゃない人も、『海街diary』好きもそうじゃない人も、必読の一作であります。

(文・A4studio昌谷大介)