ブンデスリーガ33節、ドルトムントはボルフスブルクに1−2で敗れた。

 ドルトムントがクロップ監督とともに戦う日々も終わりが近くなってきた。リーグ戦はこの日のボルフスブルク戦含めてあと2試合、そしてドイツ杯の決勝と計3試合しかない。だが、クロップ退任というカンフル剤が効いたかに見えたドルトムントもどうやら息切れの様子だ。前節のホッフェンハイム戦に引き分けたのに続いて、この日は5戦ぶりの黒星を喫した。先発して70分までプレイした香川真司は嘆いた。

「こういう相手にああいう失点の仕方は絶対避けなきゃいけないです。今年はこういう形が多いなと思っていますけど」

「こういう相手」とは、カウンター主体の戦術を取るチームという意味。今季のボルフスブルクはリーグ2位と好調だが、戦い方はいたってシンプル。後ろを固め、前線は手数をかけずに攻める。2列目左サイドのデブライネのスピードとテクニック、16得点のCFドストの決定力が光るチームだ。1点を取れば守りきる方法を知っている相手に先制点を献上してしまうのは、もっともやってはいけないことだろう。

 そして「ああいう失点の仕方」というのはミス絡みということ。香川の言うとおり、今季はミスから失点し、引かれた相手を崩せないことが少なくなかった。

 とはいえこの日は失点から10分後には同点に追いつき、そこから前半はドルトムントがペースを握った。だがペースを握ってはいても、決定的なチャンスにはならない。香川に関して言えば、動き出しを狙っても、そのタイミングでボールは来ず、リズムが合わなかった。

「なかなかボールが出てこない場面もあったし、シュートを選択するのは良いですけど、もう一個(別の選択肢を)っていう場面もあったと思います。結果論ですけどね」

 結局、最後のところで単調になり防がれてしまう。相手が引いているからこそ、余計にひと工夫が必要だったのではないかと香川は感じていたようだ。シュート数は前後半合計17対12と上回りながら、後半立ち上がりに失点したドルトムントはそこから立て直すことができず、試合は終了した。

 ボルフスブルクとは2週間後、ドイツ杯決勝で再びあいまみえる。クロップを華々しく送り出すためにも、苦しんだシーズンをどうにか格好を付けて締めくくるためにも、優勝を果たしたいところだ。

 この日の黒星は、2週間後にどのような影響を及ぼすだろうか。香川は語る。 

「これが良い戦いになったと言えるようにしなきゃいけないですし、しっかりとまた準備をしたいと思います」

 クロップ監督も記者会見で2週間後の対戦について問われている。

「ボルフスブルクとは勝ち点でおよそ25、離れている。簡単な決勝ではないだろうが、チャンスがないわけではないだろう。素晴らしい決勝になると思う。ボルフスブルクはとても強く、今年は素晴らしい結果を残したチームだ」

 多分にリップサービスを含んでいるとはいえ、相手をここまで称えるというのは、少しエクスキューズめいている感じがしないでもなかった。

 リーグ戦は残り1試合。王者バイエルンはここに来て5連敗と覇気がない。一方で残留争いは、最下位パーダーボルンにもまだチャンスがあり盛り上がりを見せている。

 現在7位のドルトムントは、勝ち点43で並ぶブレーメンとの最終節をホームで迎える。順位争いは大きなモチベーションになりにくいが、ジグナルイドゥナパークでクロップがドルトムントの指揮官として迎える最後の試合となる。

了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko