エロとメディアの規格とは、切っても切り離せない関連性がある、っていうのはみなさんご存知の通り。古くは家庭用ビデオレコーダー。ソニーの「ベータマックス」とVHS規格のシェア争いは、VHS規格が勝利を収めた。それは、アダルトビデオ業界がVHS側についたためだと言われている。

 近年ではDVD。「シーンスキップ」機能のおかげで、私たちは「早送り」という中途半端にイライラする作業をスキップし、目的の場所へとイクことができるようになった。もちろん、DVD規格がアダルトソフトから多大なる恩恵を受けているのは言うまでもない。

 そういえば、「プレイステーション2」は発売当初、安価なDVDプレーヤーとして、もてはやされたっけ。PS2が現在、圧倒的にゲーム機のシェアを独占したのは、『ファイナルファンタジー』に代表されるキラーソフトのおかげだけれども、それだけではない。アダルト業界によって持ち込まれた、別の「ファンタジー」にも感謝する必要があるのである。

 ビデオレコーダーの規格争いで負けたソニーが、そこから何を学んだかは定かではないが、SCE(Sony Computer Entertainment)が満を持して昨年末に発売した「PSP」でアダルト映像が見られることだけは確かだ。

 7月8日、PSPのオリジナルメディア「UMD」で世界初のアダルトソフトが発売された。発売したのはアダルトビデオメーカーのグレイズ。ちなみにタイトルは『巨乳ナース 天衣みつ』『極・本番 立花里子』『金城アンナ〜高級ソープ嬢〜』『ロリナンパ すぺしゃる。5 おもらし中〇生中出し編』『美BODY〜エロテロリスト〜乃亜』と、代表的なジャンルを網羅した5タイトルだ。

「いやあ、私たちもビックリです。DVDに比べてはるかに規模が小さいのに、こんなにも売れるとは」と、グレイズの広報担当は言う。さすがにDVDほどではないが、かなりの売り上げを記録しているそうだ。同社はこれからもドンドンとリリースしていく予定だとか。

この現象に対し、SCEは困惑気味なようだ。なんでも、「UMDビデオは、ゲームとは異なり、DVDビデオのような汎用ビデオメディアだと考えています。そのため、ゲームの様にコンテンツ内容に関しての管理はしていません。発売されるUMDビデオの内容について、把握する立場にありません」とか。

でもここで、もうひとつの事実をお知らせしよう。UMDディスクは、SCEが生産を一手に引き受けているのだ。しかも発売当初、パッケージにはPSPのロゴがついていたのだ(今はない)。う〜ん、公認? 非公認? それとも黙認?

もうひとつ面白い話がある。エロを味方につけたメディアは伸びていくが、逆にエロを取り入れた「ゲーム機」は結果として衰退していくのだ。セガサターンしかり、PCエンジンしかり・・・。

PSPはゲーム機か、そうじゃないのか? それはキラーコンテンツにかかっている。(文/verb)