就任後の初会見に臨んだソニーのストリンガー会長兼CEO(手前)と中鉢社長(撮影:吉川忠行)

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昨日正式に新体制を発足させたソニー<6758>は23日、東京都港区のホテルオークラで、ハワード・ストリンガー会長兼最高経営責任者(CEO)と中鉢良治社長の就任記者会見を開いた。

 ストリンガー会長は「私のやるべき最優先課題は、エレクトロニクス部門の復活」と強調し、ソニーの遺伝子を守りながら利益率と株主価値の向上を重視する観点で◆成長領域への資源集中◆本社の組織改革◆事業間の連携向上─などを軸とした経営方針を9月末に示すことを明らかにした。

 中鉢社長は、リストラや事業間連携を盛り込んだ中期経営計画「トランスフォーメーション60(TR60)」を支柱とした出井体制ついて「(他社との)競争戦略に焦点が定められ固定費削減など成果はあったが、残念ながら成長戦略は十分でなかった」と総括。技術畑出身の現場視点から「技術に固執する余り、お客様への視点を逸らしたことが、勝ちパターンを展開できなくなった原因」と分析し、◆一貫性の維持◆事業の選択と集中の徹底◆現場と経営側の対話─の3点をモットーに、商品・技術・業務執行の強化を推進する展望を示した。また、テレビ・次世代DVD・ウォークマンの3部門を強化領域として挙げ、「R&D(研究開発)部門で、極めて多くの撤退領域を定めてやっているのは事実」と述べた。

 ストリンガー会長は、自分の仕事のスタイルについて「私は基本的に共同指向型」と協調姿勢を強調。「妻より中鉢さんと夕食を一緒にとることが多くなると思う」と中鉢社長とのパートナーシップの強さもアピールした。また、日産自動車のカルロス・ゴーン社長と比較して、「破綻の瀬戸際にあった日産自動車とは違う」と否定。「ソニーは、多くの製品があって優先順位を決めなくてはいけない。コストカットや大ナタを振るうことは、全ての問題の解決策とはならない」と述べ、“ゴーン流”と一線を画した。【了】

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