【米国はこう見ている】地元紙がマリナーズの岩隈放出に警鐘 「深刻な先発投手不足に直面」
レッドソックスへのトレードが浮上している岩隈
レッドソックスへのトレードの可能性が浮上しているマリナーズの岩隈久志投手に関して地元メディアが岩隈放出に警鐘を鳴らしている。地元紙「シアトル・タイムズ」が報じている。
岩隈がマリナーズと2012年オフに2年契約を結んだ際、投球回数が2013、14年シーズンで計350イニングに達した場合に契約が自動更新される項目が盛り込まれており、結果、2年間で計398回2/3に登板。これにより、すでに年俸700万ドル(約8億2600万円)で2015年シーズンの契約が自動更新された。
その日本人右腕に関しては、先発投手の補強を急務とするレッドソックスが熱い視線を注いでおり、昨季途中にアスレチックスとのトレードで獲得したキューバ人の大砲、ヨニエス・セスペデスとの交換で岩隈を獲得する可能性が浮上している。
これに関して地元紙は「セスペデスと岩隈久志のトレードの噂は数か月前から流れている。契約最終年を残した選手同士のトレードとなる。レッドソックスにはピッチャーが必要で、マリナーズには外野手が必要。このトレードは有効なのか? いやそうとは限らない。シアトルは深刻な先発投手不足に直面する」と指摘している。
現時点での来季マリナーズの先発ローテーションは強烈だ。1番手は今季のサイ・ヤング賞候補で2位に選出された「キング」ことフェリックス・ヘルナンデス投手。2番手は今季自身メジャー最多の15勝(9敗)を挙げた岩隈。また、今年6勝4敗ながら防御率3・04という成績を残した左腕のジェームズ・パクストン投手、10勝12敗で防御率3・85だった左腕ローニス・エリアス投手、期待のプロスペクトで今季2勝3敗ながら防御率2・61と好投したタイジュワン・ウォーカー投手らが候補となっている。
一方、今季12勝9敗で防御率3・65と好投したクリス・ヤング投手は契約満了でフリーエージェントとなり、移籍の可能性が高まっている。
記事ではキング、岩隈ら先発ローテーション候補の5投手以外に、現在のロースター40人で先発候補がわずか2人しかいない点に言及。今季1勝6敗で防御率5・26と散々だったエラスモ・ラミレス投手と、トミー・ジョン手術の影響でいまだメジャーでの登板機会のないアンソニー・フェルナンデス投手で、「エラスモの実験は失敗。フェルナンデスはケガをする前、契約打ち切り候補だった」と報じている。
「岩隈レベルの先発投手獲得はチームの予算規模を超える」
またマイナーにも先発投手の即戦力や期待のプロスペクトが見当たらないことにも触れ、先発投手の層の薄さを指摘している。
「もしも、マリナーズがセスペデス獲得のために岩隈を諦めるというなら、チームは先発を1人か2人獲得しなければいけないことを意味する。今年のフリーエージェント市場はバッターよりもピッチャーが多い。だが、マリナーズが岩隈レベルの先発投手を獲得するには、たとえ今年終盤の低調を加味したとしても、チームの予算規模を超えることになるだろう」
記事ではそう分析している。
今年のマリナーズの総得点が634点だった一方、総失点はメジャー最小の554とピッチャー陣の奮闘が光った。シーズンではヘルナンデスや岩隈の好投を打線が見殺しにする試合が多く、ア・リーグ西地区のライバル、アスレチックスに1勝及ばず、プレーオフ進出を逃した。
主砲セスペデスの獲得で打線は強化されるかもしれないが、肝心な先発陣は岩隈放出時に大きなダメージを受けるリスクがあると分析する地元メディア。その岩隈放出への警鐘からも、日本人右腕への高い評価がうかがえる。