雑菌が便座の18倍以上のスマートフォン 雑菌から身を守る正しい清掃法

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先日、ちょっとショッキングなできごとがあった。公園にて母親が自分の子供に中華まんを分け与えていた。誰の目にも微笑ましいと映る光景なのだが、母親はその直前までスマートフォンを操作していたのだ。「手を拭きましょう」と伝えたかったが、 さすがに見ず知らずの人なので言えなかった。

スマートフォンなどのデジタルデバイスは、実は雑菌まみれ。その母親は、きっと自分のスマートフォンが雑菌まみれということを知らなかったのだろう。スマートフォン時代の現在、よく見かける光景だが、実はここに隠れた危険が潜んでいる。

普段持ち歩くスマートフォンは非常に便利なものだ。その便利さゆえに、どこにでも持ち込まれる。時にはトイレまで持ち込む人がいる。Googleの調査によると、米国スマートフォンユーザーのうち実に33%がトイレでスマートフォンを使ったことがあると回答している。33%といえば、スマートフォン利用者の3人に1人がトイレで利用していると判断できる。

2014年初頭に猛威を振るったノロウィルスを始め、トイレには目には見えない飛沫が多く飛んでいる場合がある。そうした狭い空間の中でスマートフォンを利用すれば、ウイルスや細菌がスマートフォンに付着する可能性も大きい。自分のスマートフォンが、ウイルスや細菌の乗り物となっているかもしれないのだ。

米国の大学が調べたスマートフォンディスプレイ表面からは、「トイレの便座と比較して18倍以上の雑菌」が検出されたという報告もある。一般に知られていないだけで、スマートフォンは“雑菌まみれ”なのである。

スマートフォンはなぜ雑菌まみれになるのだろう


ぬるぬるべたべたのスマートフォンは雑菌が繁殖するのに絶好の環境


それではなぜ、スマートフォンの表面は雑菌が付着、増えやすいのだろう。それは温度と湿度が関係している。雑菌のもっとも繁殖しやすい条件は、20℃〜35℃、さらに湿度50%前後という説が一般的である。

スマートフォンの利用シーンを思い出していただきたい。スマートフォンを使う際は素手で持つ、通話すればほおに接触する。スマートフォンには、定期的に水分や皮脂などの栄養分が供給されている。さらに、使用中や充電中には発熱し、常に持ち歩いてポケットなどに収納して保温されている。雑菌にとっては予想以上に良い環境なのかもしれない。

つまり、スマートフォンを使った手で食事をするということは、トイレの便座より雑菌の多いものに触った手で食べ物を口にいれているということになる。こうした行為が、必ずしも食中毒や深刻な影響を与えるとは言えないが、想像すると少し背筋に冷たいものを感じるのは筆者だけではないだろう。

●正しい清掃方法を身につけて清潔に使おう
雑菌が繁殖しやすいスマートフォンは、どうすれば良いだろうか?
答えは、簡単だ。清掃して綺麗にすれば良いのだ。

では、ディスプレイ表面や本体についた皮脂などを拭き取る正しい方法をチェックしよう。
まず拭き取るものだが、これは液晶用のクリーニングクロスが良いが、無い場合は眼鏡ふきでも代用できる。


クリーニングクロスを使い、雑菌の「栄養」と「水分」を拭き取るだけでも効果的


次にふき方だが、力を入れずに優しく拭き取るようにしよう。注意して欲しいのは、力任せにゴシゴシとふき取らないこと。強くふき取ると、ディスプレイ表面に細かいすり傷をつけてしまう可能性がある。傷が付いたディスプレイ表面は皮脂が固まりやすくなるからだ。もし、ふき取っても落ちない場合は、布を少し湿らせてふくと良いだろう。

なお、気を付けて欲しいのがティシュを使う場合だ。実はティシュとディスプレイのガラス面はあまり相性が良くない。ティシュでのふき取りは、一見綺麗になったように見えるのだが、ふき取れているのでなく、薄く引き伸ばしている状態に近い。

また、スマートフォンの清掃で忘れやすいのが卓上充電台などの端子部分。いつのまにか手垢などの汚れがたまっており不潔になっている場合がある。ここも定期的に清掃し、綺麗にしておこう。端子部の清掃には綿棒を使うと良い。


細かい部分は綿棒で清掃するのがもっとも効果的だ


●防水スマートフォンなら丸洗いはOK?アルコールならは除菌ができて良い?
最近ではXperiaをはじめ防水スマートフォンも増えてきた。防水なのでスマートフォンを丸洗いしたほうが手っ取り早いと考える人もいるだろう。しかしながら精密機器であるスマートフォンを丸洗いするには、さまざまな条件が必要なので、ちゃんと確認して行って欲しい。防水スマートフォンを洗う場合、まずは充電端子などのキャップがしっかりと閉まっているのかを確認する。ここから浸水して壊れてしまっては元も子もない。

次に注意して欲しいのは、温度や洗剤の利用だ。防水スマートフォンは常温(5℃から35℃)の真水や水道水を想定して防水性が保証されている。汚れを早く、簡単に落とそうとして、お湯(40℃以上)や、洗剤を使うのは故障の原因ともなるので行わないようにしよう。


電源はオフにして、流水でやさしく洗ってあげるのがベター
(写真は記事のため電源をいれたままで撮影しているが真似はしないようにしよう)


ではスマートフォンを洗いたい際は、どうすれば良いか。
やり方は意外に簡単なのだ。スマートフォンの電源を切り、水の中にいれないようにして、水道水を流しながらスマートフォンの汚れを手で洗い流せばよい。ブラシなどは、スマートフォンにキズを付ける可能性があるので使わないほうがよいだろう。洗い終わったらタオルなどで水分を丹念に拭き取り、自然乾燥させ、水分が十分になくなるまで電源はいれないようにする。また、ディスプレイ表面を清潔にするためアルコールを使うという方法もある。事実アルコールを含んだ布やクリーニングペーパーでふき取るのは除菌効果もある。

しかし、注意しなければいけない点もある。ディスプレイ以外のスマートフォン本体をアルコールやアルコールをふんだものを使用すると、塗装がはがれやすくなる可能性がある。また充電端子やイヤホン端子などのゴムキャップのゴム部分を劣化させてしてしまう可能性もあるので注意しよう。


アルコール成分の入ったウェットティシュは効果が高いが注意も必要


また、アルコールが含まれたティシュなどを利用したい場合は、OA機器用やスマートフォン用、またはメガネ用など、香料や不純物を含まないものをディスプレイ面のみで利用するようにしよう。清掃後、拭いた跡が残るようであれば、乾いた布で軽くふき取るとよい。

スマートフォンを清潔に保つことや、スマートフォン使用後に食品に触れないなどの習慣は、自分や家族の健康を守るためにも身につけたい。特に小さいお子さんがいる家庭では、注意してほしい。

スマートフォンは、いつでもどこで使える便利な道具だからこそ、安全な使い方にも気遣いを忘れないようにしたい。ちょっとした清掃知識を覚えておくだけで、病気リスクの低減が期待できるので、覚えておこう。

布施 繁樹