Google人事管理部のSVPラズロ・ボック氏がNew York Timesのインタビューで、Googleに就職するために必要な要素を語っています。「大学を卒業していること」は必須ではなく、通常の企業とは違った視点で人事採用を行っているようです。

How to Get a Job at Google - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2014/02/23/opinion/sunday/friedman-how-to-get-a-job-at-google.html


Googleでは大学を卒業していない社員の割合は増加しており、非大卒社員が14%に達するチームも出てきているとのこと。ボック氏は「GPAは雇用基準や学業成績と同じくらい無益です」と、これまで学歴や成績を基準にした人事採用を行っても、有能な才能を見つけ出す指針にはなっていないことを語りました。

Googleの多くのセクションで、数学・コンピューター・コーディングといった技術的スキルが要求されます。ボック氏によると、高いコーディング能力を持つ人材は評価されるものの、会社が必要とする技術的スキルの割合は半分ほど。Googleで働くにあたっては技術的スキル以外に必要とされる5つ要素が存在するとのこと。

まずはじめに必要とされるのは「高度な認識能力」。これはIQの数値の高さではなく、学習能力であり、迅速な処理能力であり、異なる情報の断片をまとめる能力のこと。高度な認識能力を持っているかどうかは面接によって確かめられ、未来を予測する能力のある人物であるかを有効的に確認している、とボック氏は話しています。

By PNNL - Pacific Northwest National Laboratory

2つ目に必要な要素はリーダーシップですが、「一般的なリーダーシップとは対立したものとしての特別なリーダーシップ」だとのこと。一般的なリーダーシップを確かめるには、「チェス・クラブの代表を務めたことはありますか?販売担当の副社長になったことは?その役職に就くまでにどれぐらいかかりましたか?」といったことを質問するとわかりますが、Googleはそういった能力を気にしません。ボック氏は「問題に直面した時にあなたがチームの一員だった場合、適切なタイミングで足を踏み入れてリードできるか?」ということに重点を置きます。批判的に言うと、「その時に後ずさりをするか?リードしないのか?他の人にやってもらうのか?」ということで、有能なリーダーはチームが問題に直面した時に、進んで全ての力を行使する必要がある、とGoogleは考えています。

By Olivier Carré-Delisle

また、3つ目の要素として問題に足を踏み入れるための「責任感」、4つ目の要素として他人のより良いアイデアが出た時に認めて一歩引き下がることができる「知的謙遜」が求められます。ボック氏は、「謙虚がなくては学習はできません。ある研究では、頭がよく成功した人々はめったに失敗を経験せず、その失敗から学習する方法を学習できないという研究結果も出ています」と話します。

By Giulia Forsythe

5つ目に必要な要素として挙げられているのが「専門的知識」。一方で、5つの中で最も必要性の低い要素であるとのこと。人事担当や財務担当としての採用を考えたときに、高い認識能力・強い好奇心・自発的な学習意欲・特別なリーダーシップを持っているけれど専門知識を持っていない人と、1つの分野のことしかできないけれどその分野においては世界一の専門家という人がいた場合、普通は専門家を採用します。その上でボック氏は、「私たちが求める人は時に、知識不足からめちゃくちゃな失敗を犯すかもしれませんが、彼らは時に『誰も思いつかない新しい答え』を導き出すことができるでしょう」と話しています。

By anchylosaurus

最後にボック氏は、大卒という経歴はGoogleにとってはそれほど意味はないものの、それでも多くの人たちにとっては大学に行って学ぶということはキャリアの中で必要になる技術を得る最良の手法であると語りました。しかし一方では、大卒という経歴は能力の代用品にはなり得ず、技術革新が集団作業で行われるようになっていく中では、どんな職場であっても『リーダーシップ』『知的謙遜』『順応力』『学習・復習能力』といったソフトスキルが問われるようになると述べています。