台湾鉄道の架線  500キロメートルで老朽化  30年間未更新の区間も

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(台北 2日 中央社)桃園県内を走る台湾鉄道で先月28日午前、架線トラブルにより列車138本、乗客約6万人に影響が出た事故で、問題が発生した電車線は約30年間交換されていなかったことがわかった。西部幹線には耐久年数を超過して架線を使用している箇所が約500キロメートルにわたって存在しているという。

この事故は28日午前8時37分ごろ、桃園県埔心駅を通過した特急列車、太魯閣(タロコ)号のパンタグラフが架線を切断し、約1.5キロメートルにわたって全面的な張り換えが必要となった。現場周辺では午後8時ごろまで単線での運行を余儀なくされ、3連休初日の足に大きな影響を与えた。

一般的に架線は16〜20年を目途に更新する必要があるとされており、長期間使用し続けると電力供給異常などのトラブルにより、列車の遅延や運休の原因になるといわれている。ところが台鉄によると、西部幹線の架線は476キロメートルの区間でこの耐久年数を超えており、1979年の電化以来34年以上にわたって交換されていないものもあるという。

台鉄ではすでに基隆−竹南(苗栗県)間の178キロメートルで新しい架線に更新したほか、今年中には嘉義県内の南靖−後壁、高雄市内の路竹−岡山間など22キロメートルでの交換を予定している。ただ、関係者によると老朽化した全ての電車線を取り換えるためには5年間で21億台湾元(約70億円)の費用がかかる試算で、立法院の了承を得る必要があるとしている。

この事故を受けて交通部台湾鉄道管理局の范植谷局長(=写真)は1日午前の記者会見で深々と頭を下げ利用者に謝罪、列車の大幅な遅延に関して「私1人に責任がある」とした一方で、架線メンテナンスの不備については関係部署に責任追及を行うとの考えを示した。

(蔡和穎/編集:齊藤啓介)