絶対にモノにしたい初戦のコートジボワール戦。後半勝負に持ち込むなら、香川の温存もありとセルジ氏は言う

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ブラジルW杯の組み合わせ抽選会が行なわれ、日本はコートジボワール、ギリシャ、コロンビアと一緒のC組に入った。

組み合わせについてはあれこれいわれているけど、一番多いのは「“死の組”を避けられてよかった」「比較的ラクな組」という楽観的な声だ。

でも、僕にはそう思えない。カメルーン、オランダ、デンマークと一緒だった前回の南アフリカW杯より厳しい相手だなというのが率直な感想だ。

コートジボワールはアフリカで一、二を争う実力国。高い身体能力ばかり注目されるけど、欧州のトップクラブでプレーする選手が多く、技術も高い。ギリシャは堅守からのカウンターとセットプレーを得意にする、まさに日本が苦手なタイプ。そして、コロンビアは「世界最高のストライカー」と呼び声の高いファルカオを擁し、この組では明らかに力が突出している。

しかも、困ったことに、昔と違って、今は各国とも日本をなめてかかることはない。11月にオランダに引き分け、ベルギーに勝ったことも当然知っている。「日本は侮れない」と気持ちを引き締めて向かってくるはずだ。

ズバリ、日本のグループリーグ突破の可能性は40パーセントくらい。コロンビアとの力の差は大きいから、2位での決勝トーナメント進出というのが現実的な目標になるね。

その目標を達成するために、初戦のコートジボワール戦は絶対に落とせない。いや、初戦の勝敗がすべてを決めると言っても過言じゃないよ。そこで勝ち点3、最低でも勝ち点1を手にして、2戦目のギリシャ戦につなげられるか。

W杯は短期決戦。初戦に勝てば勢いに乗れるけど、負けたらチームを立て直す時間がない。相手との力関係を考えても、今回は初戦で負けたら、そこでジ・エンド。日本はグループリーグ3試合をトータルで考えるのではなく、負けたら終わりのトーナメントだと思って臨むくらいでちょうどいい。

そして、初戦をモノにするために、何よりも重要になるのは選手のコンディションだ。報道によれば、日本はブラジル南東部、サンパウロ郊外のイトゥという街に拠点を置くそうだ。ただ、初戦を行なうレシフェ、2戦目を行なうナタルはともに高温多湿な北東部にある。

いくらイトゥの環境がよくても、移動距離が長く、気候もまるで異なることを考えれば、イトゥのほかにもうひとつ北東部にベースキャンプを設けることも検討すべきだろう。お金はたくさんかかるけど、本気で決勝トーナメント進出を狙うなら、それくらいの贅沢はしていい。

また、当然だけど、しっかりとした分析に基づいた綿密なゲームプランも必要だ。W杯の1試合の選手交代枠は3人。5人も6人も交代できる親善試合とは戦い方がまったく違うんだ。日本は11月のオランダ戦とベルギー戦でいいプレーを見せたけど、それも5人の選手交代があってこそ。

あのときと同じように試合開始から飛ばしたら、後半途中で足が止まるだろう。それを避けるために、まず前半はしっかり守るサッカーで我慢し、後半に入ってから勝負を仕掛けるべきだ。

個人的には、香川をスーパーサブにしたい。前半は守備の得意な選手を起用し、後半になってから彼を投入する。試合終盤の苦しい時間帯になって、香川ほどキレとスピードのある選手が出てきたら、相手にとって本当に厄介だと思うんだけどね。

(構成/渡辺達也、写真/益田佑一)