【特集】第33回ラジー賞 最高の「サイテー主演男優＆女優」候補たち、その他注目の作品
【最低主演男優賞】
演技派からドル箱スター、巻き返しを図る大スターまで、ビッグネームが勢ぞろい
ニコラス・ケイジ
『ゴーストライダー2』『ハングリー・ラビット』
トワイライターVSバトルシッパーVSアダム・サンドラー、苛烈な三つ巴の戦いに割って入ったのは、我らが兄貴、ニコラス・ケイジである。アカデミー賞受賞経験もあるニコラス・ケイジだが、カルト映画好きやアメコミ好きとして知られている。近年は自らの趣味を優先した作品に出演する傾向が強いため、従来の演技派とはテイストの違う作品に出ることも多い。
彼のアメコミ好きが如実にあらわれたヒット作品としては『キック・アス』が有名で、同作品のビッグ・ダディ役の影のあるヒーローぶりを覚えている方も多いだろう。そんな彼が最も熱望した役が『ゴーストライダー』のジョニー・ブレイズ役だ。ゴーストライダーをかたどった、髑髏の刺青を腕に入れてしまうほどの入れ込みぶりを見せるケイジは、『ゴーストライダー2』では自らスタントをこなし、さらに変幻自在の顔面七変化を披露、とんでもないところでアカデミー賞レベルの演技を見せている。
この入れ込みっぷりが見事評価され、見事主演男優賞ノミネート。全米のボンクラ映画ファンの声援を受け、初のラジー賞獲得なるか。
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エディ・マーフィ
『ジャックはしゃべれま1,000（せん）』
日本では主演作の劇場公開作がかなり減ってきている、“元”コメディの帝王”エディ・マーフィ。経済誌の「コストパフォーマンスの悪いスターランキング」の常連にもなっており、一時の人気からは考えられない低迷ぶりである。しかし近年は『ドリームガールズ』でアカデミー賞候補になったり、助演と製作を兼ねた『ペントハウス』がスマッシュヒットしたりと、活躍にも復活の兆しが見え始めた。そんな彼が3年ぶりの主演作でラジー賞にノミネート。
実はノミネート対象となった『ジャックはしゃべれま1,000（せん）』は、『ペントハウス』より先の公開を予定していたが、“大人の事情”によりに遅れてしまった作品。その影響か、本編の大部分でエディ・マーフィが沈黙しているという、異色のハートフルコメディに仕上がっている。残念ながら、米の有力批評サイトなどでは、軒並み低評価を受け、興行成績も低調で、日本でもDVDのみのリリースとなった。しゃべらないエディ・マーフィを、アメリカ人は求めていなかったのか…。
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アダム・サンドラー
『That's My Boy（原題）』
もはや説明不要の“現”コメディの帝王。毎年のように経済誌が選ぶ「最も稼いだ俳優ランキング」上位に登場し、いまだに様々な長者番付・人気ランキングの常連であるアダム・サンドラーが、今年も主演男優賞にノミネート。
しかしながら、エディ・マーフィーと同じく「コストパフォーマンスの悪いスターランキング」に顔を出すようになり、徐々にその人気に陰りが見えてきている。今回候補となった『That's My Boy（原題）』も大ヒットとはならず…過激すぎる下ネタに観客もやや食傷ぎみで、『テッド』のような過激ながらとっつきやすいコメディが人気となり始め、苦戦をしいられている。
前人未到の『ジャックとジル』のような全部門制覇とはいかずとも、最低主演賞受賞でその人気を示すことができるか。
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ロバート・パティンソン
『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』
『トワイライト』シリーズで一躍スターとなり、昨年度は世界一セクシーな俳優にも選ばれた色男。ただし、良くも悪くも『トワイライト』シリーズ自体の評価と、プレイベートでの恋人・クリステン・スチュアートとの数々の“事件”が彼の評価となってしまっているのも事実だ。当然ながら今回の主演男優賞もそのためのノミネートと思われる。
パティンソンは、『トワイライト』シリーズのような商業作品だけでなく、まもなく公開となる鬼才・デヴィッド・クローネンバーグ監督の『コズモポリス』にも主演、幅広い活躍を見せ始めている。同作は、カンヌ国際映画祭のパルムドール（最高賞）にノミネートされた作品で、日本でも注目を浴びている。確実に方向転換を始めたパティンソンにとって、今回がラジー賞を受賞の最後のチャンスになるかもしれない。
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タイラー・ペリー
『バーニング・クロス』『Good Deeds』日本では、まったくと言っていいほど知名度のない俳優ながら、本国アメリカでは『プレシャス』を筆頭に、製作・主演・監督作でヒットを連発する才人。今回のノミネート作品では、昨年のアダム・サンドラー同様、主演女優・男優にWノミネートとなっている。
【最低主演女優賞】
我が道を行く女優たちの戦い
ミラ・ジョボビッチ
『バイオハザードV リトリビューション』
もはや『バイオハザード』シリーズ＝ミラ・ジョボビッチと言っていいほど作品と一体化してしまった、ミラ様が貫禄のノミネート。
ただし、この主演女優賞ノミネートは彼女の魅力もさることながら、その夫であるポール・W・S・アンダーソン監督による「俺の奥さん可愛いだろ」演出が評価されたとみるのが妥当だろう。『バイオハザード』は世界的ゲームの映画化ながら、シリーズを重ねるごとに元ネタから乖離していき、映画オリジナルキャラのアリス＝ジョボビッチが超人化、『バイオハザードV』では、ほとんど彼女の魅力を前面に押し出した、プロモーションムービーの様相を呈している。
そんなミラ様の魅力もあってか、同作の日本での興行収入は全世界で1位となっている。見事ラジー賞主演女優賞を受賞し、アメリカでもボンクラ男子たちの女神となることができるか。
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キャサリン・ハイグル
『ラブ＆マネー』
『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』『幸せになるための27のドレス』など、ロマコメの女王として名高い彼女が初のラジー賞ノミネート。
その名に恥じぬロマコメ女王ぶりで、これまで目立った大コケ作品もないハイグルだが、本作で初めて出演作が低い評価を受けている。失業した下着専門店のバイヤーがバウンティハンターになるという、彼女にぴったりなドタバタコメディのはずが、アメリカの批評サイトRotten Tomatoesでは2％の評価、興行収入も回収できない成績に終わった。
昨年度はエディ・マーフィーが1位に輝いた「コストパフォーマンスの悪いスターランキング」でまさかの2位にランクイン。寡作なだけにそのダメージは大きかったのだろう。これまでの評価と、今回の成績のギャップから、まさかの主演女優賞もありえる。
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クリステン・スチュワート
『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』『スノーホワイト』
最低主演男優賞候補でもあるロバート・パティンソンの恋人、クリステン・スチュワートが安定のノミネート。
実のところ、ノミネート対象となった彼女の代名詞でもある『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』は批評家サイトRotten Tomatoesで支持率48%と、とんでもなく低い評価を受けているわけではない。さらに、過去のラジー賞でも同シリーズの『エクリプス』でジャクソン･ラスボーンが助演男優賞を受賞しているが、彼の受賞は『エアベンダー』への出演が主な原因。
つまり『トワイライト』シリーズは、いまだ単独でラジー賞を受賞したことがないのである。今回もノミネートで終わる可能性があるものの、シリーズの有終の美を飾るべく、サイテー映画の称号を与えられることも考えられる。シリーズのヒットで注目され、スキャンダルにまみれた印象もある彼女だが、ラジー賞受賞を弾みに、パティンソンとの関係を安定させることができるのか、注目である。
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その他のノミネート
タイラー・ペリーが「Madea's Witness Protection（原題）」の女装で候補に、歌手であり女優のバーブラ・ストライサンドも「The Guilt Trip（原題）」でノミネートされている「ラジー賞だけど、悪くない」 ちょっぴりオススメの作品
「サイテー映画」といいながらも、それぞれの作品は駄作というわけではない。単純にタイミングが悪かったり、俳優とのイメージのギャップが大きかったり、様々な理由で受け入れらず、今回のノミネートに至ったものも多いのである。その一つがエディ・マーフィ主演『ジャックはしゃべれま1000（せん）』である。【ストーリー】
口八丁で多数の作家と契約をまとめ、成功を収めた代理人のジャックは、ある時怪しげな導師と知り合う。それが彼の運の尽きだった。自宅に帰ると庭に突如大木が生え、彼が一つ言葉を発するするたび、その木から葉っぱが散っていく。導師いわく、1,000枚の葉がすべて地面に落ちたその時、ジャックの命も終わりを迎えるという。言葉だけで生きてきた男が、口を封じられたらどうなるのか。やがて彼は、相手のことを想って、心をこめた言葉を使うことの大切さに気づく。
マシンガントークが売りのマーフィがしゃべれなくなるという、かなりのリスクを冒した作品だが、近年のアメリカンコメディに多いお下劣なギャグや、生々しい描写が少ない王道コメディ。突然しゃべれなくなったエディ・マーフィが、懸命にコミュニケーションをとろうとする姿はなかなかにハラハラさせてくれる。
彼の新たな一面を見られるという点でもオススメだが、単純に家族や人生といった普遍的なものがテーマでもあり、「あのエディ・マーフィが」と期待値を上げなければ素直に楽しめる作品である。
ただし、設定にツッコミどころも多く、主人公の行動にある致命的な疑問点もある、かなり粗いつくりの作品でもあるので、やさしい気持ちで見てあげて欲しい。
吹き替えはもちろん山ちゃんこと山寺宏一。ただし、いつものエディ・マーフィ作品よりセリフは少ないが…。
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【特集】最高の「サイテー映画」が決定！第33回ゴールデンラズベリー賞
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