佐藤優氏(左)と原口一博氏

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 作家で元外交官の佐藤優氏と民主党の原口一博元総務相は2011年10月20日、ニコニコ生放送「平和〜子どもたちの澄んだ瞳を守るために」で対談し、例外品目を作らない自由貿易協定であるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)締結への動きに関して、両者とも「いま世界は帝国主義的な体制に戻ろうとしている」と語った。

 北朝鮮の金正日総書記は19日、ロシア国営通信であるイタル・タス通信のインタビューに応じた。佐藤氏によると、「日本との国交正常化に向けては、日本が過去に起こしてきた犯罪に対して完全な総括をすること。その総括に向けて日本が歩みを始め、北朝鮮に対する敵視政策をやめるならば、関係の正常化を行う」という"かつてないほどのゆるいメッセージ"だという。佐藤氏は、金総書記がこのようなメッセージを発した背景について「大きな与件が変化している」と語る。

「TPPの動きが始まった。TPPで日本とアメリカの提携が強化するということは、中国をにらんだ動きだと(北朝鮮は考えている)。そうすると北朝鮮は中国と一緒に包囲されたら困るということで、逃げ出す道(ロシアへの接近)を考えている」

 TPP締結の動きが、北朝鮮に焦燥感を生んでいるという。原口氏も、このTPP締結の動きは「よその国に対して恐怖感を生み出している」と話す。

「TPPはよく日本の中では自由経済・農業と工業の問題だと言われていますが、実はそうじゃない。ブロック化なんです。ブロックの中において、今すごく帝国主義的な動き。リーダーが変わる時はどちらかというとナショナリスティックに動く。そして自分の国さえ良ければいいという形になっていく。そこでアメリカと日本を中心としたブロックを作って、囲い込んでいこうと。よその国から見ると、自分たちの国がはじかれるという恐怖感をそこに生んでいる」

と、日本が太平洋戦争に突入するキッカケともされる、1929年の世界恐慌以降の欧米先進諸国による帝国主義・ブロック経済と同じような動きが現代にもあると述べた。

 佐藤氏も、「自由貿易ならばWTO(世界貿易機関)という体制を強化していけば良いのに、なぜ一種の関税同盟でありブロックであるTPPを結ぶのか」と疑問を呈し、EU(欧州連合)やロシアのプーチン首相がユーラシア同盟創設を提唱していることを挙げ、

「着実にいま世界はブロック経済化している。1930年代の帝国主義的な体制に戻ろうとしている」

と原口氏に同意した。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]原口氏の「TPPはブロック化」から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv67857795?po=newslivedoor&ref=news#06:03

(中村真里江)