重戦機エルガイム」のキャラクターデザインとメカデザイン、「ブレンパワード」のデザインなどを担当し、月刊Newtypeで連載されている漫画「ファイブスター物語」の著者としても知られる永野護さんが全力を注ぎ作り上げている劇場長編アニメーション「花の詩女 ゴティックメード」のイベントが、「キャラホビ2011」にて開催されました。イベントでは永野さんと角川書店の井上伸一郎社長、主題歌を担当する川村万梨阿さんが作品についてトークを行ったほか、メインキャストの発表が行われました。

「花の詩女 ゴティックメード」公式サイト
http://gothicmade.com/

キービジュアルはこんな感じ。


イベント開始前の静かなステージ……。


イベントの司会進行を行ったのは角川書店社長の井上伸一郎さん。まずは川村万梨阿さんによる主題歌「空の皇子 花の詩女」ライブからスタート。一般の人の前で歌うのは初だということでかなり緊張の面持ちだった川村さんは、作詞にあたっては絵コンテをもらって読み込み、作品のテーマである「種をまいて花を咲かせる」ということ、また、ボーイ・ミーツ・ガールの物語なので、皇子様と巫女様が出会って成長しながら花を育てていき、思いも広がっていくというところを歌詞に込めたと語りました。

「花の詩女 ゴティックメード」は角川書店65周年記念作品として製作中。井上さんは「もうすぐ65周年が過ぎてしまいそうですが」と笑いを交えつつも、作品ができつつあるということで今回の発表会を実施したと語りました。

本作の原作者である永野護さんは、原作、監督だけではなくキャラクターデザイン、原画など八面六臂の活躍をしています。以前のイベントではセーラー戦士の格好で登場し場を沸かせたことがありますが「今日は普通に」と、ファイブスター物語のフィルモア帝国柄の浴衣で登場。この浴衣はどうやら川村さんお手製だそうで結構なお値段がかかったそうですが、もしも需要があるようであれば量産してコストが下がるかも……とのことでした。

左から角川書店の井上伸一郎社長、永野護監督、川村万梨阿さん。


和やかなムードで、話は本編のことへ。「本作を一言で言うと?」という質問に、永野さんは「ロボットものです。可愛い女の子と格好いい男の子が出てきて、訳の分からないロボットが出てきて、どんがらがっしゃんで終わるといういつものパターン」だと即答。現在制作が進行中ですが、スタッフはかなり平均年齢が高いそうで、「最近、あのアニメーターさん名前を聞かないけれどどうしているんだろう?」と死亡説すら流れるほど有名な人も参加して作業を進めているとのこと。ロボットアニメを見て育ちアニメの仕事に就いたという世界のスタッフが結集し、理想のロボットアニメをここで世の中にぶちかまそうじゃないかという意気込みで作っていて、「ザ・ロボットアニメ」みたいなものが表現できればいいなと思っている、と非常に楽しみなコメントも。

「ファイブスター物語」は一人で描いている永野さんですが、アニメでのスタッフとの共同作業について、違いなどはほとんどなく基本的に同じだと回答。これは、もともと永野さんがアニメ畑出身で、むしろ漫画をアニメの作り方で描いているからだそうです。

そして、これまで明かされていなかったキャスト発表。「来ている人に、すごく白々しいですけれど……」と前置きしつつ、ヒロインのベリン役が川村万梨阿さんであることが発表されました。


川村さんはこの物語を作り始めたときから関わっていて、ずっと絵コンテを見ながら作詞にかかりきりだったため「やらせてもらえるんだ、私でいいんだ」という気持ちだったとのこと。「最初から関わっているので、すべてのスタッフの気持ちをセリフにのせたいと思います」というコメントには、永野さんから「重いコメントですね」とツッコミが入り、「そのあたりは軽やかに」と切り返す場面も。

もう一人のキャストは予想できないと思います……と、ドナウ帝国のトリハロン役が佐々木望さんであると発表されたときには会場からは「キャー」よりは「おおっ」というどよめきにも似た反応がありました。


永野さんによると「花の詩女 ゴティックメード」はこの業界の中でも特に贅沢、あるいは卑怯な作り方をしていて、制作しながら声のイメージが固まっている当て書き(誰が演じるか決めた上で台本が書かれる)状態で、キャラクターの仕草や雰囲気は演じる声優さんのイメージにあわせて作っているシーンが多いとのこと。そんなベリンとトリハロンはそれぞれ永野さんの考える女性の代弁、男の代弁になっているそうです。

ちなみに、この他にも決まっているキャストがあるそうですが、今日は発表はここまでということで、井上さんもその隠された内容が気になる様子でした。

この後、特報フィルムの上映が行われました。このフィルムはだいたい1週間前に完成したものだそうで、カイゼリンが少し動いているところなどが見られましたが、永野さんいわく「いろんなものが隠されていて、それについては映画の公開まで隠しておこうかと思っています」。これまで永野さんはガンダムのモビルスーツやエルガイムのヘビーメタルなど、いろいろと作ってきましたが、ロボットに関する膨大なアイデアがまだまだあって、それがカイゼリンやGTM(ゴティックメード)に入っているとのこと。動きはまだ一部一部しか見えず、すべてを見るときは映画館で観てください、とのこと。

わずか30分のイベントということであっという間に時間が過ぎ去り、最後に登壇者から一言メッセージ。

川村万梨阿さんは「ずっとお待たせしていますが、20数年間描いてきてやっと今年度、我々の悲願そのものでもある、永野護のロボットが皆さんの前で立ち上がって動くところを劇場で観ていただけたらと思います。どうぞ、よろしくお願いします」とコメント。

永野さんは「まずは、連載を止めていてすいません」と切り出し、会場を沸かせました。これに続いての発言は「もちろん、ゴティックメードが終わり次第、連載にかかります」という、ファン待望のもので、思わず井上さんは「言いましたね?」と確認を取っていました。「終わり次第、ファイブスター物語の連載にかかります」と断言した永野さんは、カイゼリンが動く世界を皆さんにみていただけたらとメッセージを締めました。


公開は何月とはまだ発表されていませんが「2012年春」とのことなので、新たなロボットアニメの誕生をお楽しみに。また、ファイブスター物語の連載再開も遠くないようなので、ファンの人はこちらも楽しみに待っていてください。

©EDIT

劇場長編アニメーション「花の詩女 ゴティックメード」2012年春公開予定

◆スタッフ
原作・脚本・絵コンテ・原画・監督:永野護
作画監督:名倉靖康
美術監督:小倉宏昌
音響監督:若林和弘
音楽:長岡成貢

主題歌「空の皇子 花の詩女」
(作詞:川村万梨阿/作曲:長岡成貢/歌:川村万梨阿)

上映時間:70分(予定)
制作:オートマチック・フラワーズ/角川書店

◆キャスト
トリハロン:佐々木望
ベリン:川村万梨阿

「花の詩女 ゴティックメード」公式サイト
http://gothicmade.com/

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