2011年03月09日配信のメルマガより抜粋

 日本時間の9日早朝に終わったチャンピオンズリーグベスト16バルセロナ対アーセナルの第2戦。ロビン・ファン・ペルシーの退場(2枚目のイエローカード)シーンなどアーセナルにとって不運では済まされない判定があったものの、内容はバルセロナの圧勝。ボール支配率は68パーセント対32パーセント、シュート数に至っては17対0(枠内シュートは10対0)という数字が出ている。この試合の分析は締切りの都合上詳しくできないが、180分を通してみるとバルセロナの強さが際立っていた。


 バルセロナの強さをどう定義するについてだが、私は「攻撃から守備への切り替えの速さ」と「複数人でボールホルダーを囲い込む守備」に尽きると考えている。そして、この守備の仕方については、Jクラブから育成年代のチームまで日本サッカー界で模倣すべきではないかと感じている。


 ここで興味深いデータを紹介したい。福岡大学サッカー部の乾眞寛監督の担当ゼミの卒業論文集で、「FCバルセロナの組織的ディフェンスに関する考察」をテーマに攻から守への切り替えの局面を抽出したデータが掲載されていた。調査対象となったのは昨季のリーガ4試合になるが、ボールを失ってから奪い返すまでの時間を測ると、「1〜3秒」が「4〜6秒」、「7〜9秒」、「10秒以上」とある項目の中で最も多く、全体の51パーセントを占めていた。つまり、バルセロナはボールを失うと2回に1回は3秒以内に奪い返しているということ。アーセナルの第2戦は、3秒以内に取り返した割合が6、7割を占めていた印象だ。


 バルセロナの場合は、圧倒的なボール支配率を武器にボールと同時に相手を走らせ、相手陣内でサッカーを展開する。ボールロスのみならずエネルギーロスも少ないため、ボールを失った瞬間の切り替えの速さを長時間持続することができる。またショートパスで選手の距離感も程良く詰まっているので、複数人で囲い込むプレスも可能となる。そのデータでは、ボールを失った地点から奪い返した地点までの直線距離についての調査結果も掲載されていて、予想通り「0〜10メートル以内」が全体の54パーセントを占めていた。3秒以内にボールロス地点から10メートル以内で取り戻すのが、バルセロナの平均的な守備と定義できるだろう。


 しかし、常にそうした守備をしているかというと決してそうではない。

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