9日に行なわれたフランス対ブラジルの親善試合で、もっとも評価が高かったのは決勝ゴールをあげたカリム・ベンゼマ(レアル・マドリー)だった。専門家の見方の中でも、注目したいのはジネディーヌ・ジダン氏とエマニュエル・プティ氏の評価。奇しくも98年W杯決勝でブラジルを相手にゴールを奪った2人だ。

 プティ氏はレキップ紙上で「ベンゼマに強烈な印象を受けた。あのひどいピッチの状態で、テクニック的にいい試合をするのは非常にむずかしい。しかしベンゼマは、ボールの使い方やタッチ、流れの中での動き、どれをとっても見事で、チームのプレーを決定する上で不可欠となるテクニック・リーダーとなった」と激賞した。

 もうひとりのジダン氏は、レアル・マドリーの一員(ペレス会長付き顧問)として、ベンゼマに対してさらに思い入れが強い。マドリーでも「くどくどと」ベンゼマにアドバイスを送っているというジダン氏は、フランスサッカー連盟のサイトで、「この試合では、彼の決勝ゴールばかりが話題になるが、もっと注目すべきはその他のプレー。攻撃をリセットするパス、プレーの加速、ポジショニング、何もかも見事というほかない」と絶賛した。

 今シーズンに入って、マドリーでのベンゼマのプレー時間は、国内カップ、チャンピオンズリーグを含めて1635分。全体のおよそ半分にすぎない。ライバルのイグアインがケガで長期離脱を強いられ、チャンスは広がったかに見えたが、アデバヨールという新たなライバルが加入した。

 ベンゼマ本人がブラジル戦の試合後に語ったように、フランス代表での活躍はブラン監督から受ける信頼が自信につながっているのが大きい。それ以前は、ドメネク監督から起用してもらえず、代表でのプレーに落ち着きも意欲も感じられなかった。今回のジダン氏の発言は、ベンゼマに対する評価がいまひとつ低く、要求の高さで萎縮させている感のあるモウリーニョ監督に対する間接的なメッセージともとれる。