【戸塚啓コラム】スキを見せなかったインテル
日本時間の18日深夜に行なわれたクラブ・ワールドカップ決勝は、インテル・ミラノがマゼンベを３−０で退けた。欧州勢の世界一就任は４年連続となる。
インテルらしい勝利である。
ボール支配率で56対44と上回ったのは、ポゼッションを追求しないチーム同士の対戦だったことと無関係でない。序盤のインテルはボールを持たされている印象が強く、コルドバとルッシオの両センターバックのボールタッチ数が非常に多かった。自陣でのボールタッチ数を準決勝と比較すると、最終ラインとボランチで頻繁にボールが動いていたことがうかがえる。
特徴的なのはカンビアッソだ。城南一和戦での彼は、周りの選手を動かしながら攻守のバランスを整えていた。
彼自身がビルドアップに絡んだり、ボール奪取を試みることよりも、オフザボールでの貢献度が高かったのだが、マゼンベ戦では準決勝の倍以上のボールタッチ数を記録している。チーム全体として、それだけボールを持たされていたということだ。
ただ、それも前半だけである。13分、17分と立て続けにゴールネットを揺らすと、インテルはいつもの姿を取り戻していく。守備ブロックをしいて相手の侵入を許さず、マゼンベをいなすようにゆったりとボールを動かした。
マゼンベは16本のシュートを記録しているが、枠内シュートは５本である。序盤から中長距離のシュートが多く、ペナルティエリア内から放たれたシュートは、手元の集計でわずか4本にとどまっている。運やツキに見放されたために得点機を逃した、というシーンもなかった。
インテルは対照的だ。６本のうち５本がペナルティエリア内からで、唯一の例外はエトーがあげた２点目のゴールである。ボールポゼッションで圧倒するサッカーではないが、彼らが繰り出す攻撃はいつものように実効性に優れていた。
前線はミリートの１トップで、左にエトー、トップ下にパンデフ、エトーよりやや後方の右サイドにサネッティという組み合わせで、敵陣でのボールタッチ数はアタッカー陣が上位を占める。サネッティはモッタとマイコンに次ぐ６番目だが、右サイドバックのマイコンとふたりでタッチライン際のイニシアチブを掌握した。２点目のきっかけとなる突破とクロスも、サネッティによるものだ。
スタメンの平均年齢が31歳のチームに、爆発的な破壊力はない。スペクタクルを感じさせることもない。それでも、フットボーラーとしてのインテリジェンス豊かなこのチームは自らが得意とするシナリオをきっちりと書き上げた。
過密日程のなかでここまでスキのない試合を見せられると、彼らのタフネスぶりを痛感せずにいられない。南アＷ杯で優勝したスペインもそうだったが、世界のトップクラスで戦うプレーヤーは、言い訳の許されない環境でしっかりと結果を残している。フィジカル的にもメンタル的にも圧倒的にタフなのだ。甘えがないのである。
大会そのもののレベルはいまひとつでも、インテルが見せた強さは「ワールドカップ」のスケールにふさわしい。
●自陣でのボールタッチ数
★城南一和戦
１）モッタ／41回
２）ルッシオ／36回
３）キブ／34回
４）サネッティ／31回
５）コルドバ／30回
６）カンビアッソ／22回
７）エトー／19回
８）パンデフ／15回
９）スタンコビッチ／14回
10）Ｊ・セーザル／10回
11）サントン／７回
12）ムンタリ／４回
13）ミリート／３回
14）スナイデル／０回
★マゼンベ戦
１）ルッシオ／54回
１）コルドバ／54回
３）モッタ／47回
４）カンビアッソ／47回
５）キブ／29回
６）エトー／28回
７）サネッティ／24回
８）マイコン／22回
９）パンデフ／20回
10）Ｊ・セーザル／16回
11）ミリート／８回
11）スタンコビッチ／８回
13）マリガ／３回
14）ビアビアニー／２回
●敵陣でのボールタッチ数
★城南一和戦
１）パンデフ／33回
２）スタンコビッチ／31回
３）エトー／29回
４）ミリート／26回
５）モッタ／23回
６）サネッティ／18回
６）カンビアッソ／18回
８）キブ／５回
８）ムンタリ／５回
10）ルッシオ／２回
10）サントン／２回
12）コルドバ／１回
12）スナイデル／１回
14）Ｊ・セーザル／０回
★マゼンベ戦
１）パンデフ／32回
２）エトー／30回
３）ミリート／29回
４）モッタ／20回
４）マイコン／20回
６）サネッティ／14回
７）カンビアッソ／11回
８）ルッシオ／８回
８）スタンコビッチ／８回
８）ビアビアニー／８回
11）キブ／３回
11）マリガ／３回
13）コルドバ／２回
14）ジュリオ・セーザル／０回
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・非ポゼッションの方法論
・バルセロナ、その強さの裏にあるもの
・２強撃破の原動力となった永井謙佑
・結果優先は正しい
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インテルらしい勝利である。
ボール支配率で56対44と上回ったのは、ポゼッションを追求しないチーム同士の対戦だったことと無関係でない。序盤のインテルはボールを持たされている印象が強く、コルドバとルッシオの両センターバックのボールタッチ数が非常に多かった。自陣でのボールタッチ数を準決勝と比較すると、最終ラインとボランチで頻繁にボールが動いていたことがうかがえる。
彼自身がビルドアップに絡んだり、ボール奪取を試みることよりも、オフザボールでの貢献度が高かったのだが、マゼンベ戦では準決勝の倍以上のボールタッチ数を記録している。チーム全体として、それだけボールを持たされていたということだ。
ただ、それも前半だけである。13分、17分と立て続けにゴールネットを揺らすと、インテルはいつもの姿を取り戻していく。守備ブロックをしいて相手の侵入を許さず、マゼンベをいなすようにゆったりとボールを動かした。
マゼンベは16本のシュートを記録しているが、枠内シュートは５本である。序盤から中長距離のシュートが多く、ペナルティエリア内から放たれたシュートは、手元の集計でわずか4本にとどまっている。運やツキに見放されたために得点機を逃した、というシーンもなかった。
インテルは対照的だ。６本のうち５本がペナルティエリア内からで、唯一の例外はエトーがあげた２点目のゴールである。ボールポゼッションで圧倒するサッカーではないが、彼らが繰り出す攻撃はいつものように実効性に優れていた。
前線はミリートの１トップで、左にエトー、トップ下にパンデフ、エトーよりやや後方の右サイドにサネッティという組み合わせで、敵陣でのボールタッチ数はアタッカー陣が上位を占める。サネッティはモッタとマイコンに次ぐ６番目だが、右サイドバックのマイコンとふたりでタッチライン際のイニシアチブを掌握した。２点目のきっかけとなる突破とクロスも、サネッティによるものだ。
スタメンの平均年齢が31歳のチームに、爆発的な破壊力はない。スペクタクルを感じさせることもない。それでも、フットボーラーとしてのインテリジェンス豊かなこのチームは自らが得意とするシナリオをきっちりと書き上げた。
過密日程のなかでここまでスキのない試合を見せられると、彼らのタフネスぶりを痛感せずにいられない。南アＷ杯で優勝したスペインもそうだったが、世界のトップクラスで戦うプレーヤーは、言い訳の許されない環境でしっかりと結果を残している。フィジカル的にもメンタル的にも圧倒的にタフなのだ。甘えがないのである。
大会そのもののレベルはいまひとつでも、インテルが見せた強さは「ワールドカップ」のスケールにふさわしい。
●自陣でのボールタッチ数
★城南一和戦
１）モッタ／41回
２）ルッシオ／36回
３）キブ／34回
４）サネッティ／31回
５）コルドバ／30回
６）カンビアッソ／22回
７）エトー／19回
８）パンデフ／15回
９）スタンコビッチ／14回
10）Ｊ・セーザル／10回
11）サントン／７回
12）ムンタリ／４回
13）ミリート／３回
14）スナイデル／０回
★マゼンベ戦
１）ルッシオ／54回
１）コルドバ／54回
３）モッタ／47回
４）カンビアッソ／47回
５）キブ／29回
６）エトー／28回
７）サネッティ／24回
８）マイコン／22回
９）パンデフ／20回
10）Ｊ・セーザル／16回
11）ミリート／８回
11）スタンコビッチ／８回
13）マリガ／３回
14）ビアビアニー／２回
●敵陣でのボールタッチ数
★城南一和戦
１）パンデフ／33回
２）スタンコビッチ／31回
３）エトー／29回
４）ミリート／26回
５）モッタ／23回
６）サネッティ／18回
６）カンビアッソ／18回
８）キブ／５回
８）ムンタリ／５回
10）ルッシオ／２回
10）サントン／２回
12）コルドバ／１回
12）スナイデル／１回
14）Ｊ・セーザル／０回
★マゼンベ戦
１）パンデフ／32回
２）エトー／30回
３）ミリート／29回
４）モッタ／20回
４）マイコン／20回
６）サネッティ／14回
７）カンビアッソ／11回
８）ルッシオ／８回
８）スタンコビッチ／８回
８）ビアビアニー／８回
11）キブ／３回
11）マリガ／３回
13）コルドバ／２回
14）ジュリオ・セーザル／０回
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1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している
