今月12日から、ETC取り付け1台に対し、5250円の助成金が支払われることとなった。そして一部を除くが、高速道路の料金が、一律千円になると発表され、日本中のカーユーザーが同じことを考えている。
そう、自分の車にETCをつけようと。しかしありえない現象が日本各地で起きている。

それは永田町が原因である。
そもそも、この二つの法案は景気対策の一環として永田町で審議され可決された。これによって喜ぶのは、まず消費者は当然、次に観光地であろう。そして、ETCを販売する量販店や自動車の電装業者である。
しかし、ETCを販売する側から意外な恨み節が聞こえてきた。
儲かるはずなのにどうして?と思うかもしれない。

ここ最近は、民主党の小沢氏の問題で鳴りを潜めているが、一時期の首相降ろしの勢いは大変なものであった。毎日のようにニュースでバッシングが続いていたのが1月、2月であった。ついには支持率が一桁台にまで下がり、本当に政権交代するのではないかという雰囲気さえあった。
問題はここである。
高速道路料金1000円という法案は、マスコミによってお茶の間に放送され消費者の期待は高まっていた。
この時点で、この法案は間違いなく可決されるだろうと簡単に予測ができればよかったのだが・・・。その予測が立たなかった。なぜなら、いつ麻生政権が転ぶかわからない状況だったからである。その上、民主党が政権をとった暁には、高速道路を無料化するとまで豪語していたからである。もしそうなったら無料なのだからETCなんていらないのである。
だから、日本中のETCの販売店は大量に在庫を持つことに二の足を踏まざるを得なかったのである。

法案が可決されることなり、一般に公表されるまでの間、業界では確実にETCが不足すると言われていた。そこにはもう一つの理由があった。それは、ETC1台に対する5250円の助成金の交付である。これによって消費者の購買意欲は一気にヒートアップする。しかし、大量に在庫はない。
これが現実である。
12日に助成金の期間が始まり、販売店にETCの注文が殺到したのは言うまでもない。すでにほぼ完売状態である。
まだ開始から数日しか経過していないのにこの有様である。これにより、ETCの購入を希望しても、期間中に間に合わなければ助成金の対象外となってしまう。こんなことでいいのだろうか・・・。
消費者からの不満が湧き上がるのは確実で、期間の延長などの修正案がありそうな気はするが、一国のすることが、国家議員のドタバタ劇のおかげで、ETC販売店や消費者までもドタバタする結果となったのである。

日本中のETC販売店から、「本来ならドタバタせずに、もっとたくさん売れて儲けることができたのに・・。」と嘆き節が聞こえてきそうである。

(編集部:”自動車魂世界一”car journalist 木下)

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