「社歌」という書籍が人気を集めている

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   学校に「校歌」があるように会社には「社歌」がある。その社歌が俄然注目されている。有名企業の社歌を扱った単行本が売れ、社歌が歌えるカラオケ店も登場するのだという。

「社員の結束が強まった」といった感想が寄せられる

   社歌が俄然注目を集めるきっかけになったとされるのが、文芸春秋が2006年11月に出した単行本、そのタイトルもズバリ「社歌」だ。なぜいま社歌なのか。文芸春秋はJ-CASTニュースの取材に対しこう答えた。

「会社が元気になってきたので、何か会社をヨコに切れるような企画はないものかと考えていた。社歌、社員章などの企画が上がり、社歌がおもしろい、となった」

   初版の8,000部が売りきれそうな状況で、近く増刷を行う。この本に書かれているのは、キヤノン資生堂TOTO吉本興業など大企業の社歌。目次には「川崎重工業―歌詞のスケールも『重厚長大』」、「JASRAC―音楽業界の『お目付役』の会歌」などが並んでいて面白そうだ。文芸春秋は、

「本に登場する社歌を、その会社の社員が読んで、『うちにも社歌があったのか』『社員の結束が強まった』などといった感想が寄せられています」

   と話した。どうやら、社歌があるというのは嬉しいことらしい。

   「社歌が歌えるカラオケ店」なるものも登場する。カラオケ店運営の鉄人化計画が、自社店舗に企業の社歌を配信するサービスを始めるのだ。既存の社歌をカラオケ用にアレンジし、社歌に合った画像を撮影。それを店舗に配信することで、社員はいつでも社歌が歌えるという仕組みだ。最初は東京の新宿店、銀座店でスタートし全国に現在約30ある店舗に順次拡大していく。

カラオケで最初に社歌を歌えば賑やか?

   この事業の企画・運営に関わる同社の子会社エクセルシアの森本克明社長は、J-CASTニュースにこう話す。

「法人の顧客を増やしたいというのが企画のきっかけ。会社の仲間でルームに入った時に、最初に誰が歌うのか、何を歌うのか、と迷うじゃないですか。だから最初に社歌を歌えば賑やかしのフックになるんじゃないかと。社歌がない会社だったら、オプションで当社が制作するサービスもあります」

   価格はアレンジ、撮影、配信まで1曲50万円。オプションで社歌の制作を依頼した場合、1曲10万円〜15万円になる予定だという。早くも社歌のカラオケ配信に対する問い合わせが来ているようで既に1社と契約が成立しているという。「会社の福利厚生的なものと考えていただければ…」と社長は話す。

   こうなると、社歌を持たない会社も興味を持つはずだ。社歌の制作を請け負う東京の会社に問い合わせてみると、

「今のところ直接の問い合わせが増えたということはないのですが、ここ1月半でホームページにある社歌のページのアクセスが急に伸びていて、いろんな人が興味を持って見に来ているんだろうなということはわかります」

という。社歌を制作しているI企画の井上しんじさんはJ-CASTニュースの取材に答え、

「ここ2〜3年は不況の影響で依頼の数が減っていたが、企業の合併や、社歌の内容が時代に合わなくなったなどの理由から、制作依頼数が回復傾向にある。『応援歌』のようなものを希望されることが多い」

と話した。社歌ブームは本当に来るのかもしれない。