2009年のパーティで

 2018年7月に入院した「ミスター」こと長嶋茂雄は、退院まで5カ月かかった。8月の時点で、「現在は快方に向かっている」と発表したのに長引いたこともあり、ほかの病名を勘繰る向きも多かった。

 そこに、2月20日付「スポーツ報知」で、次女・三奈がこう説明をした。

《父は見事に自分で自分の体を治しちゃった。内視鏡を入れて手術を始めようとした、その時です。こんなうれしい “ドタキャン” はない。夏頃に予定していた残りの石の内視鏡除去手術もなくなりました。みんなで笑い、喜びました。「メークミラクルだ〜」って》

 2月初めに内視鏡検査をすると、胆石、そして体内に入れたステント(消化管を広げる管)まで消えていたというのだ。同紙は喜んで報じているが、人工物のステントが自然に消えるなんて、そんなミラクルが、本当にあるのか? 

 内視鏡手術に詳しい田島クリニックの田島秀則院長が解説する。

「肉や脂っこいものを食べたことにより、胆汁がたくさん出て胆石が流れ出すことはあります。それだけでなく、胆管に入れたステントが、脱落して消えることも、頻繁ではないがあります。

 私は胆管ステントより大きい、食道ステントが脱落し、便とともに体外に排出されたのを見たこともあります。もともとステントは、消化管の中にいれるため、体にやさしい材質で出来ている。

 胆汁が多ければ、ステントが脱落し、小腸、大腸を通じて、気づかないうちに体外に排出されることがありえるのです」

 三奈は、父から「胃もたれ」という言葉を聞いたことがない、とも語っていた。恐るべき83歳だ。

(週刊FLASH 2019年4月9日号)