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●ついに上陸、「YouTube Music」詳細レポート!

Googleが提供する音楽配信サービス「YouTube Music」がアメリカなど22の国・地域に続いて日本でも11月14日にスタートしました。同日にGoogleが開催した発表会でサービスの詳しい内容が明らかになりました。

YouTube Musicは洋楽・邦楽、様々なジャンルの音楽をモバイル端末やパソコンを使って楽しめるインターネット経由の音楽ストリーミングサービスです。YouTubeに公開されているミュージックビデオやライブ映像、リミックス・カバーなど動画コンテンツと親和性が高いことも大きな特徴です。

○YouTube Musicは無料プランと980円/月の有料プラン

広告表示が挟まれたり、利用にいくつかの制限があるYouTube Musicは毎月無料で使うことができますが、月額固定の有料音楽配信サービス「YouTube Music Premium」も14日に提供が始まります。

有料版は広告表示なし。モバイルアプリも用意され、有料版ではアプリのバックグラウンド再生に対応するほか、端末に聴きたい・見たいコンテンツをダウンロードしてオフライン再生も楽しむことができます。価格はWeb/Android版が980円(税込)、iOS版が300円高い1,280円(税込)です。

なお、現在Googleが提供している音楽配信サービス「Google Play Music」を定期購入している場合はYouTube Music Premiumが同時に無料で利用できるようになります。

今後GoogleはGoogle Play Musicのサービスを徐々に収束させて、音楽配信サービスをYouTube Musicに統一していくそうです。その際にGoogle Play Musicのユーザーが作成したプレイリストやお気に入りアーティストのデータ、および機械学習エンジンによってパーソナライズされたユーザーの楽曲の好みは自動的にYouTube Musicに引き継がれるそうです。

○音質は3段階。位置情報を使ったレコメンド機能も

特徴のひとつは位置情報の活用です。アプリの「プライバシーと位置情報」から音楽の再生履歴とロケーション履歴の記録を許可すると(デフォルトが「許可」に設定)、ユーザーが現在いる場所に合わせてアプリの「ホーム」画面に場所やシーンに合わせて、例えば「ショッピング中に時間を忘れて集中」「エクササイズの前に」といった内容の、おすすめプレイリストが表示されるようになります。

「マイミックス」はユーザーのリスニング履歴に基づいて自動作成されるプレイリストですが、このほかにユーザーの再生・評価の履歴を元に、オフラインで楽しめるプレイリスト「オフラインミックス」を自動的に作るユニークな機能も用意されました。こちらはアプリの設定から最大100曲までプレイリストに収録する楽曲数が変更できます。

楽曲レコメンデーションに使用しているエンジンはGoogle Play Musicに使われているものと基本仕様は同じのようです。「J-Pop」「J-Rock」のヒットチューンを集めたトレンドチャンネルのプレイリストも用意されていますが、ファウラ氏は「特に各地域にキュレーションに携わるスタッフは置いていない」と語っていました。つまりレコメンデーションはすべて独自の機械学習によるアルゴリズムによって行なっているそうです。

●音楽/動画の切り替えや楽曲検索が使いやすい

YouTube Musicのサービスを日本市場に最適化するための取り組みは、Google合同会社 日本音楽ビジネス開発統括の鬼頭武也氏が壇上で説明しました。

アプリのトップ画面のグローバルメニューには「ホーム」「ホットリスト」「ライブラリ」の3つが並んでいます。「ホットリスト」については、日本国内で流行っている楽曲のリスト、これから上昇しそうなアーティストや楽曲・ミュージックビデオがタイムリーに並ぶようにアルゴリズムをチューニングしているそうです。

鬼頭氏がYouTube Musicならではの機能として紹介していたのが、再生画面からの音楽・動画コンテンツの切り替え機能でした。例えばあるアーティストの作品が音楽と動画の両方ともにYouTubeのプラットフォームに公開されている場合は、プレーヤー画面の左下に表示される「音楽のみ」「動画のみ」アイコンをタップすると、それぞれをスムーズに切り替えながら楽しむことができます。アーティストの公式ミュージッククリップの中には楽曲の再生位置まで同期できるものもあるそうです。

○歌詞検索やカタカナ検索、CM曲検索もOK

鬼頭氏はまた、楽曲の検索機能の使いやすさもアピールしていました。アーティスト・楽曲の名前によるサーチはもちろん、歌い出しの歌詞検索、洋楽の場合はカタカナ読みでの曖昧な発音による検索が可能です。

作品によっては「Google CM曲」「車 CM 曲」というキーワード検索でもヒットする場合があるので、目当ての作品に出会える機会が増えるのでは。鬼頭氏は「動画については公式タイトルだけでなく、カバーやリミックス、踊ってみた・歌ってみた系の投稿動画もしっかりヒットする。これがあることがYouTube Musicの強み」とアピールしていました。

さらに著作管理の仕組みについてはYouTube本体でも採用している著作権管理システム「Content ID」を採用しながら適切に管理できる環境を整えたとしていました。

○無料トライアルは最大3カ月間。Google Homeとも連携

YouTube Music Premiumの無料お試し期間は通常1カ月間ですが、本日から2週間(11月28日)以内に登録すると3カ月間まで無料で試すことができます。さらにGoogle Pixel 3/3 XLのユーザーは6カ月間まで無料お試し期間が延長されます。

さらにYouTube Musicのローンチキャンペーンとして、Google Home/Google Home Miniを購入すると2019年4月8日までYouTube Music Premiumが無料で試せる特典も用意されています。Googleアシスタントを搭載するスマートスピーカーなら「OK Google, YouTube Musicで〜の曲をかけて」と音声コントロールによる楽曲再生を楽しむことができます。筆者が試してみたところ、ボーズのGoogleアシスタントを内蔵するヘッドホン「QuietComfort 35 II」でも同様にYouTube Musicの音声操作ができました。

●広告なしの「YouTube Premium」もスタート!

YouTubeが提供する音楽以外のサービスも楽しめるサブスクリプション型のコンテンツサービス「YouTube Premium」も11月14日から始まりました。

YouTubeの動画が広告を挟むことなく視聴できたり、モバイル版ではバックグラウンド再生、オフライン再生も可能です。またYouTubeが制作する独自コンテンツ「YouTube Originals」の視聴にも対応しています。

YouTube Premiumの提供価格はWeb/Android版が1,180円(税込)、iOS版が400円高い1,550円(税込)です。YouTube Music Premiumともに、家族6人まで1アカウントから同時にアクセスして楽しめるファミリープランも用意されます。価格はYouTube Premiumが2,400円(税込)、YouTube Music Premiumが1,950円(税込)。

○独自コンテンツ「YouTube Originals」とは

YouTubeの独自映像コンテンツである「YouTube Originals」に関する取り組みについては、Google合同会社 YouTube Originals アジア太平洋地域マネージャーの朝倉耕太氏が紹介を担当しました。

朝倉氏は「現在30の地域・国で展開するYouTube Originalsは、今後も視聴者のためにオリジナルの動画や番組を圧倒的なスケールで提供していく」と宣言。日本でもはじめてのYouTube Originalsが提供する番組製作がスタートしました。

第1弾となる作品群の中にはマーベルとSEKAI NO OWARIが共同制作した音楽ドキュメンターリ「Re Imagine」や、ホラーコメディ「隙間男 STALKING VAMPIRE」、YouTuberのはじめしゃちょーが出演するドラマ「The Fake Show」の公開が予定されています。

○YouTube MusicはChromecastやサードパーティ対応も予定

発表会に出席したGoogle本社の音楽部門プロダクトマネージメント責任者であるT. ジェイ・ファウラ氏は、YouTube Musicのグローバル展開の戦略を壇上で次のように語りました。

「動画サービスのYouTubeで音楽を楽しんでいるという方の声を受けて、音楽再生専用のより便利なストリーミングサービスを提供したいという思いからYouTube Musicを立ち上げた。

今から約2年前にGoogle Play MusicとYouTube Musicのチームを統合して、Googleが発信する最高の音楽体験をデザインしてきた。豊富なミュージックカタログから、ユーザーの音楽の好み、リスニング中の環境に合わせてベストな楽曲をレコメンデーションする独自機能もある。

高精度なアルゴリズムにはGoogleアシスタントから培ったノウハウが投入されている。ユーザーの志向性と深くマッチする音楽体験がYouTube Musicの強み。今後様々なデバイスで体験できるように、プラットフォーム整備を強化していきたい。」

Andorid/iOS、Webアプリのプラットフォームを広くカバーしながら満を持してスタートしたYouTube Musicですが、今後はChromecastやサードパーティーの製品にも対応の輪を広げていくそうです。

○「YouTubeの音楽配信」で巻き返しなるか

ファウラ氏は、秋に日本でもGoogleアシスタントをビルトインする形でアップデートされたソニーのAndroid TV搭載のスマートテレビにも近々の対応を検討していると述べています。

また大画面テレビでの体験を最大化するため「4K高画質のYouTubeオリジナルコンテンツの制作にも意欲的にチャレンジしたい」とコメントしていました。現在もYouTubeでいくつかの4K映像が公開されていますが、YouTube Originalsのプラットフォームから発信する4Kミュージックビデオなどが、今後YouTube Music PremiumやYouTube Premiumから手軽に楽しめるようになるかもしれません。

日本国内でも既にSpotifyやApple Musicをはじめとする音楽配信サービスの展開が先行する中で、GoogleはGoogle Play Musicを早い段階から投入していたものの、Androidデバイスとの親和性の高さなど魅力を十分に打ち出せているとは言えない状況が続いていました。

広い認知を獲得している“YouTube”の名前を冠する音楽サービスに衣替えを図ることで、会心の巻き返しは成功するのでしょうか。ユーザーにとってはコンテンツが豊富で使いやすく、何よりコスパのよいコンテンツサービスであることが第一です。まずは無料トライアル期間中にプレミアムサービスの実力から試してみることにしましょう。