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text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

もくじ

ー はじめに 新型Aクラスとは?
ー 新型AクラスのMBUX
ー 新型Aクラスのエクステリア
ー 新型Aクラスのインテリア
ー 新型Aクラスのシャシー
ー 新型Aクラスのパワートレイン
ー 新型Aクラスの装備
ー 新型Aクラスの価格/スペック

はじめに 新型Aクラスとは?

10月18日、メルセデス・ベンツ日本は新型Aクラスを発表し、注文受け付けを開始した。デリバリーは12月以降を予定しているという。

Aクラスは、今回のフルモデルチェンジで4世代目となる。1997年にデビュー(日本導入は98年)した初代と、2004年に発表(日本では05年)された2代目は、モノスペース風のトールワゴンスタイルだった。だが、2012年に発表された3代目はスタイルを一新。全長を拡大して全高を下げ、Cセグメントのスポーティなハッチバックへと変貌を遂げた。

今回発表された新型Aクラスは、スタイル的には従来型を踏襲している。ディテールなどに関しては後述していくが、今回のAクラスにおける最大の売りは、対話型インフォテインメントシステム「MBUX」を搭載したことだ。それも、全グレードで標準装備している。

まずは、そのMBUXから解説していこう。

新型AクラスのMBUX

MBUXとは、「メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス」の略だ。最大の特長のひとつがAI(人工知能)による学習機能で、特定のユーザーに適応する個別対応能力を備えている。

MBUXの操作は、10.25インチ・ワイドディスプレイの高精細ワイドスクリーンをタッチして行う方法と、さらに自然対話式音声認識機能を備えたボイスコントロールなどがある。そのボイスコントロールは、「ハイ、メルセデス!」をキーワードとして起動する。

この自然対話式音声認識機能は、カーナビの目的地入力、電話通話、ミュージックの選択、メッセージの入力・読み上げ、気象情報など、多くのインフォテインメント機能に加えクライメートコントロールや照明などの調整機能にも対応している。

例えば、「ハイ、メルセデス! 暑い!」と言えばエアコンの設定温度を下げてくれるし、「ハイ、メルセデス! お腹が空いた!」と言えば、近くのレストランを提示してくれる、といった具合だ。

新型Aクラスのエクステリア

前述のように新型Aクラスのスタイリングは従来型とプロポーションは似ているが、ディテールはまったく異なるものとなっている。

CLSにも似た顔つきのフロントまわりは、低いボンネット、日本仕様では標準装備のLEDヘッドランプ(マルチビームもオプションで選べる)、風になびくトーチを想起させるデイタイムランニングライトなどで、魅力的な造形を創り出している。大型のスリーポインテッドスターとダイヤモンドグリルにシルバーのルーバーの組み合わせも、スポーティな印象を強調する。

従来型より延長されたホイールベースとキャラクターラインにより、全長は長く見える。ボンネットは傾斜をつけることで、ほぼ垂直のダイナミックなフロントエンドを際立たせた。

ショルダー部を強調してグリーンハウス下のくびれを大きくし、モジュール型2分割リアバンパー内蔵のリフレクターの間隔が広くなったことで、リアエンドは幅が広がった印象を受ける。リアコンビネーションランプは、ゲートで2分割されるデザインとなった。

また、タイヤやホイールまわりにも空力対策が施され、新型AクラスのエアロダイナミクスはセグメントトップのCd値0.25を達成している。

新型Aクラスのインテリア

インテリアは現代的で前衛的なデザインを採り入れ、エクステリア以上に大きく変わっている。そのユニークなアーキテクチャーの最大の特長が、ダッシュボードのデザインだ。

インストゥルメントクラスター上方のカウルを廃したことにより、翼のような形をしたダッシュボード本体は、フロントウインドウの下いっぱいに広がっている。ワイドスクリーンディスプレイはオンダッシュタイプで、タービン風デザインのエアアウトレットも目をひく。

キャビンスペースは前後とも従来型より広くなり、リアシートへの乗降性が向上。ラゲッジルームも従来型より29ℓ大きい370ℓへと拡大した。さらに従来型より開口部を広くしたり荷室長を拡大したことで、使い勝手が高まっている。室内は小物入れやカップホルダーも備わり、実用性にも優れている。

また、A〜Cピラーをスリム化することにより全方位の視認性を改善し、従来型に比べてピラーによる死角が10%減少したことも新型のトピックだ(数値はいずれも欧州仕様参考値)。

新型Aクラスのシャシー

高張力鋼板、超高張力鋼板、そしてアルミ材も多用した高剛性アーキテクチャーは、軽量で安全なボディをもたらしている。全体的な構造剛性の強化とともに、ボディ、サスペンション、パワートレイン間の接続部を特に重視したという。

これらの振動入力点の剛性については、ロードノイズに関して非常に重要なサスペンション取付ポイントで大幅な向上を果たし、室内に侵入するノイズがかなり低減された。NVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュ)に優れたシャシーは、プレミアムな走りを可能にしている。

サスペンション形式は、従来型はフロント:ストラット/リア:4リンクだったが、新型ではフロントのストラットは継承されたがリアはトーションビーム式とされている。

ブレーキは4輪ディスクで、ABSはもちろん、ホールド機能やヒルスタートアシストを備えたアダプティブブレーキや、アクティブブレーキアシストなども備える。

タイヤは、日本仕様では205/60R16が標準サイズだが、オプションで225/45R18も設定されている(限定車には225/45R19を設定)。

新型Aクラスのパワートレイン

日本仕様のパワートレインは、今のところ1.33ℓの直4ターボエンジン+7速DCT+2WD(FF)という組み合わせのみとなっている。

M282と呼ばれるオールアルミ製のエンジンは、排気量こそ従来型の1.6ℓよりダウンされているが、最高出力は136ps/最大トルクは20.4kg-mと、最高出力は14psアップされている(最大トルクは同じ)。

革新的にコンパクトなデルタシリンダーヘッドなどによって、大幅に小型軽量化を果たしながら出力を向上。NANOSLIDEシリンダーコーティングなどによる徹底したフリクションの低減や、電子制御ウエイストゲートを採用したターボチャージャーによる低中負荷域からの素早いレスポンスも実現。さらに吸気音のエアレゾネーターやダンパーなどによって高い静粛性も実現している。

ミッションは、7G-DCTと呼ばれるデュアルクラッチトランスミッション。パドルシフトでの変速も可能だ。

新型Aクラスの装備

前述のように全グレードに標準装備されるMBUXには、ナビゲーション機能やFM多重放送、12セグ/ワンセグ自動切り替えのテレビなど、オーディオ・ビジュアル機能も備えている。また、テレマティクスサービスの「メルセデスミー・コネクト」も標準設定。

さらにスマートフォンのコネクティビティ関連機能も拡張され、対応機種によるが携帯電話を無線充電できる「ワイヤレスチャージング機能」も前席に全車で標準装備している。

安全運転支援システムに関しては、昨年に発表されたSクラス・セダンと同等のシステムをオプション設定。ドライバーがウインカーを点滅させると、行き先の車線に車両がいないことを確認して自動で車線を変更する「アクティブレーンチェンジングアシスト」や、走行中にドライバーが気を失うなど万が一の場合に自動的に車線を維持しながら緩やかに減速・停止する「アクティブエマージェンシーストップアシスト」なども搭載している。

新型Aクラスの価格/スペック

日本仕様は、エントリーグレードの「A180」が322万円。パークトロニックやヒーター内蔵パワーシート、キーレスゴーなどの装備を充実させた「A180スタイル」が362万円。

さらに新型Aクラスの発表を記念して、イエローグリーンアクセント入り19インチAMGマルチスポークホイールやAMGスタイリングパッケージ、スポーツシートなどといった専用パーツを満載した特別限定車(500台)の「A180エディション1」が479万円(いずれも税込み)となっている。

スペックはすべて欧州仕様車の値車名新型Aクラス
グレードA180A180スタイル
価格322万円362万円
パワートレイン 1332cc直4ターボ 
ステアリング 右 
全長 4419mm 4436mm 
全幅 1796mm 
全高 1423mm 

ホイールベース 2729mm 
車両重量 - 
最高出力 136ps/5500rpm 
最大トルク 20.4kg-m/1460rpm 
燃料タンク 43ℓ 
最小回転半径 -