太田光の「生産性」発言、スタジオ一瞬凍りつく 「笑って言うことではない」
自民党の杉田水脈(みお)衆院議員(51)が、性的少数者(LGBT)は「生産性がない」などと主張した問題に関し、お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光さん(53)が2018年7月29日の「サンデー・ジャポン」(TBS系)放送中に述べた言葉で、一瞬スタジオが凍りつくような微妙な空気が流れた。
番組では、問題となっている杉田氏の「新潮45」8月号への寄稿内容などをまとめた映像を流した後、スタジオにカメラを転換。ここでVTR受けの発言をした太田さんに、インターネット上でも論争が起きた。
「安倍さんが『生産性』ないんだから」
杉田氏は寄稿の中で「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」「普通に恋愛して結婚できる人まで、『これ(同性愛)でいいんだ』と、不幸な人を増やすことにつながりかねません」などと主張。差別の助長につながると批判が殺到している。
「サンデー・ジャポン」ではこれら寄稿内容のほか、同性愛者を名乗る人物から杉田氏のもとに殺害予告があり、同氏事務所は警察と相談のうえ、LGBT関連のSNS投稿はすべて削除したこともVTRでまとめた。
その直後にカメラがスタジオに切り替わると、太田さんはVTR受けで、
「杉田さんもその、肝心の自民党の安倍さんが『生産性』ないんだから大変だよね」
と、安倍晋三首相を引き合いに出して発言。相方の田中裕二さん(53)は、
「何言ってんですか! そりゃまあ、お子さんがいらっしゃらないというのはありますけど...」
とツッコミを入れた。
するとスタジオは微妙な空気に包まれた。コメンテーター陣は、西川史子さん(47)やデーブ・スペクターさんはやや引きつったように苦笑いし、テリー伊藤さん(68)は真顔だった。
太田さんが同番組のVTR受けで、「ブラックジョーク」のような皮肉をきかせることは頻繁にあるが、今回は差別に関わるセンシティブな問題であることから、安易に個人名を出した太田さんの発言は物議を醸した。
「皮肉発言とやらで片付けていいものなのかな?」
ツイッターやネット掲示板では、
「太田今のは笑って言うことではない」
「芸人として笑いがすっごく低俗」
「これは皮肉発言とやらで片付けていいものなのかな?」
と、疑問視する投稿が相次いだ。
一方、「子供がいない」という点に絡めて、「これなあ...太田夫妻も一時は不妊治療に取り組んでいた事実を知るだけに、なんというか言葉が見つかんないよなあ」などと複雑な感情を抱いたユーザーも複数いる。太田さんの妻・光代さん(54)は自身の不妊治療の経過をツイッターで明かしていたこともある。
なお番組では、女装家のミッツ・マングローブさん(43)が杉田氏について、「『生産性』なんて言葉をわざわざ出して、さも、みたいなこと言ってますけど、怒るとか傷つくのを通り越して呆れちゃって、お粗末すぎて物が言えない。世の中には差別も偏見もある。国会議員なら冷静になってお考えになった方がいいんじゃないかな」と見解を述べた。
また、「当事者も冷静さを保ちつつ、『弱者至上主義』みたいなことに陥りすぎないようにしないといけない、今はね。自分も当事者として、気を付けたいじゃないけど思うところもある」「この先も、これに似たことは数々起きると思うけど、私たちは『生産性がない』と言われようとも粛々と生きている」と静かに憤りを表した。