湿度が増し、日差しも強くなり始める初夏。でもオフィスに入ると冷房がキツい……。この季節の通勤スタイルは、いつもにも増して「何をどう着ていくべきか」悩みがち。きちんとした印象を作りつつもおしゃれに見えるスタイルを、雑誌『Oggi』で活躍するファッションエディターの三尋木奈保さんに教えていただきます。

第5回は堅実女子の賢いセールとの付き合い方について。三尋木さんのショッピングルールとともに、失敗しない買い物術を教えていただきます。第4回は「30代、40代になったら止めたほうがいいスタイル」はコチラ。第3回の「Oggiエディターの三尋木奈保さんに聞く!雨の日の通勤靴はどう選ぶ?色・デザインはどんなものがいいの?」はコチラ

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セールでは「定価で買ってもいい」と思うものしか買わない

セールシーズンは、心が浮き立ちますよね。また、「何か買わないと損してしまう」という気持ちになってしまう人も多いかもしれません。でも、「半額だったら買うのに……」と思ったものを安くセールで手に入れても、意外と活用できなかったりするのでは? 私はセール品を買うときは、「これが定価でも買いたいものかどうか」を自問します。「安いから買うんじゃないよね?本当にこれが必要だから買うんだよね?」と一度自分に問いかけると、冷静な判断ができますよ。そう、定価でも欲しいと思える良品が、セールで安くなっていたらそれはもちろん「買い」。逆に「安いから買っとこう」なアイテムは、結局使いきれずに終わってしまう可能性が高いんです。

私はお店で選んだものをネットで購入することはありますが、基本的に「ファッションアイテムはお店で買う」派です。私的に、いちばん効率よく買い物ができると思っている街は新宿。好きなお店が多く入るショッピングスポットがそろっているからです。「こういうアイテムが欲しい!」と思ったら、オフの日に、それを求めて、伊勢丹、バーニーズ ニューヨークーヨーク、ルミネ1・2、ニュウマン、ZARA……とまさにローラー作戦(!?)で巡って下見をして、最終的に「これぞ」と思ったものを買います。20代の頃は、「欲しい!」が「買う」に直結していましたが、30代、40代になって、「勢いで買って後悔しないこと」を選択するようになりました。「まぁ、そこそこ似合うし値段も妥当だし……」というくらいの気持ちで購入してしまうと、そのあと、ふらっと別のお店に立ち寄ったら、もっといいものを見つけてしまった!となるのが、自分にとって、いちばんのストレスになるとわかったからです。でも、8時間ヘロヘロになって探しても見つからない……なんてこともよくあります(笑)。いずれにしろ、セールでも「定価でも欲しいと思っていたら、タイミングを逃してしまって買い物に行けなかった……そして、そのアイテムがセールになっていた!」というものだけを候補にするようにしています。

一見シンプルで、ごくごくベーシックなひざ下丈のストレッチタイト。でも、おなかポッコリが目立たず、地味に陥らず、ピリッとした大人っぽさがある。これは実際に試着してみないと絶対にわからないこと!

欲しいものより、足りないものを補うことでおしゃれの軸が決まる

また、「これ欲しい!」という直感だけで買ってしまわずに、自分に似合うのかどうか、手持ちの服との組み合わせができるかどうかも考える必要があると思います。たとえば、「流行っているから」と、チェックのフリルのブラウスをポツンと買っても、使いようがない……ということもありますよね。

私は、「自分らしいスタイルを作る」というのが、おしゃれの最終目標だと思っています。家にあるお気に入りの服たちが効率よくまわるように、足りないものを考える。そして、それを補うアイテムを見つけ出すことで、「自分のおしゃれの軸」ができていきます。吟味に吟味を重ねてみてください。当然、試着は必須。セール時期はお店も混んでいますが、「試着は並んででもする」。そして、「試着がめんどうだと思ったり、試着できないとなったら買わない」と決めるのも勇気だと思います。

もちろん、ショッピングは楽しいもの。自分の仕事へのモチベーションや気分を上げるために買うんだ!とか、3回使えれば十分!と自分が納得できるのであれば、それもひとつの考え方だと思いますよ。

「間違い探し」で「自分の足りないもの」を見つけていく

では、どうやって「自分の足りないもの」を意識すればいいでしょうか。それには、ファッション雑誌も有効です。雑誌をパラパラとめくってみて、「このコーディネートはかわいいな」「自分の持っているアイテムでもできそう」と思う写真があったら、そのコーディネートをじっくり観察してみてください。自分の手持ちアイテムの組み合わせとは、何かが違うと気付くはずです。

たとえば、「あれ? ボトムのウエストの位置が、手持ちアイテムとは数センチ違う」とか、「Tシャツのサイズ感がこっちのほうが少し緩めだな」とか、「同じ白いパンツだけど、これはツヤ素材なのか……」「私が持っている黒い靴は、この写真みたいにとんがってないや……」など、「間違い探し」の要領で楽しみながら続けていくと、どんどんセンスが磨かれ、自分が買い足すべきものがおのずとわかるようになってきますよ。

三尋木奈保:ファッションエディター

三尋木奈保:働く女性に厚く支持されている雑誌『oggi』のファッションエディター。大学卒業後の数年間、一般企業に勤務したのち、この仕事に。会社員経験を生かした“リアルで地に足のついた”おしゃれセンスは誌面に登場するたび大反響。2013年に発売した初の著書『My Basic Note「ふつうの服でおしゃれな感じ」のつくり方』は発行部数12万部のベストセラーに。第二弾の『My Basic Note IIイちんと見えるヂ膺佑良の選び方』も好評発売中。

『My Basic Note IIイちんと見えるヂ膺佑良の選び方』(小学館)

撮影:人物/嶋野旭、商品/佐藤彩