家電量販店「日替わり激安パソコン」は一般人に買えるのか? 転売目的の参加者の壁は厚かった体験記

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スマートフォンやタブレットが普及した現在、パソコンは完全に仕事用のマシンとなっている。
特にデスクトップPCは、パソコンの仕事をする人にとって仕事パソコンとして欠かせない。
ノートPCを仕事では使うことも多くなってはいるが、仕事を効率的に進めるためには、
・大画面
・自分の使いやすいキーボード、マウス
これらが必須となるからだ。

ところがデスクトップPCは、ノートPCほど頻繁には買い替えない。
筆者のメインパソコンも、ショップオリジナルのWindows 7のデスクトップだった。

ところがWindows 7は2020年でサポートが切れるうえ、筆者のWindows 7パソコンは起動が遅くなって10分ほどかかる。このため、そろそろ後継モデルを用意しなければならなくなった。

そんなときに家電量販店の広告に目がとまった。
Core i7で、メモリは8GB、ハードディスクは3TBの液晶一体型。
国内メーカー製で、Windows 10とOfficeのHome & Businessがプリインストールされている。
ショップパソコンのように別途Officeを購入する必要もないため、追加予算を気にしなくてもよい。

広告品は1年前の型落ちだが、価格.comの最安値よりも5万円近く安く、スペックも筆者の要望を満たしている。

「よし、これを狙おう」と考えた。

広告品は、「日替わり特価商品」だ。
つまり、
・販売される台数は限られている
・抽選券をもらい、当選すれば購入する権利が与えられる
という仕組みなのだ。

筆者は、チラシに小さく書かれた注意書きを熟読して挑戦してみることにした。

以下は、筆者の「特価商品購入への挑戦」の体験レポだ。

まずは8:30までに店頭に行き、抽選券をもらうことから始まる。
先着順ではないため、それほど早く行く必要はないと思い、8:00過ぎに現場に到着。
するとちょうど「パソコン購入希望の方はこちらへ」と促されたので、抽選券発行場所へ向かった。

先頭かな? と思ったが、現実はそう甘くはなかった。
すでに筆者の前には行列ができていた。
筆者は、ぐるぐると店舗の周辺を列について歩き、裏口の非常階段のようなところを2階ぐらいまで登って「券」をもらうことができた。

あとは抽選発表時に再び来ればよいのか? と思ったが、そうではなかった。
それからさらに4階ぐらいまで登ったあと、列はまったく動かなくなった。
もらった券をよく見ると、「整理券」と書かれていた。

これはまだ抽選券ではなかった。


まずもらったのは「整理券」だった


当日の「特価商品」は6製品。
この整理券をそれぞれ特定の機種の「抽選券」に交換するという手順が必要というわけだ。

筆者が待っている間に、後から後からどんどん人がやってくる。
係員が「8階まで登ってください」と指示しているのが聞こえてきた。
筆者は4階だったが、筆者の後の人は8階まで登るようだ。
先に並んでいる人数を勘案して、何階まで登らせるかを決めているようだ。
階段を利用して、歩道に人があふれるのを防いでいるのだろう。
うまい考えだとは思うが、階段の途中でのすし詰め状態のまま待つわけで、シニアには少しまだ早い筆者にも結構きつい。

40分ほど待ったところでやっと動き出し、やっと整理券の番号を確認して番号順に並ぶことができた。
パネルに色分けした広告商品が提示されており、自分の欲しい機種を指さすと、その色の抽選券が渡されるという仕組みだ。
筆者も、自分の欲しい機種を指さし、抽選券をやっとゲットできた。

ここまで、時間にして、約1時間20分が経過していた。


やっとゲットできた抽選券


筆者は、こうした「広告目玉商品」の購入が初体験だったせいもあり、かなり疲労を覚えた。
人は、先が見えないと不安になるし、同じ1時間でも疲労は増幅するからだ。
抽選券をもらうまでの流れがわかっていれば、飲み物などを用意するなどして、もっと疲労を軽減できたと思う。

筆者がもらった抽選番号は301。限定台数は100。抽選券が1から始まっているとすれば、この時点で競争率は3倍。筆者の後ろにもたくさん人が並んでいたので、競争率はさらに高いはずだ。

この時点で諦めようかとも思ったが、せっかくここまで労力をかけたで、一旦家に戻り、当選発表の11時にもう一度行って確かめることにした。

11時を少し回った頃に現着。当選発表のボードを見るも、筆者の希望する機種のボードはない。
そこで、ネットでチラシを確認してみると
「発表は11時以降、機種ごとに随時」
と書かれていた。

これは見落としていた。
そこから待つこと約1時間。
筆者の希望の機種の当選が発表されたのは12時を少し過ぎた頃だった。

1時間待った発表を、ドキドキしながら番号を確認する。
高校の合格発表より手に汗握ったかもしれない。
298、300、302……筆者の握りしめた紙に書かれている301はなかった。
外れてしまった。

発表された番号を見ると、抽選券は1から始まっていたようで、最後の当選番号は404。
少なくとも400人以上は希望者がいたようで、競争率は4倍を上回っていたことになる。


筆者が欲しかった機種の競争率は4倍強


しかし、イマドキ、デスクトップPCを求める人は、こんなにいるのだろうか?
と、思い返してみると、整理券をもらって並んでいるとき、
聞こえる話し声に、日本語が一切なかったことを思い出した。

おそらく、転売目的の業者に派遣されたアルバイトの人たちが多く並んでいたのかもしれない。
あちこちにアルバイト仲間がいる様子だった。

当選発表の場所には、抽選券を束で持っている人がいる。
当選した番号の紙を仲間に渡して、レジに並ばせているといった風景も見られた。
さらに購入したパソコンの箱をいくつも並べ、次の機種の当選を待っているグループもあった。

レジには、渡された現金を手に握りしめた人が大勢いた。
一般の人の場合、レジ前で財布から現金かクレジットカードを出して支払うのが普通なので、
ある意味、違和感のある眺めだった。

慣れているらしく、店頭で堂々とやっていた。
こうした「特売商品」の抽選を人海戦術で攻略するのは合理的ではある。
ただし、これを業者に実行されると、一般の人が当選する確率は大きく下がることは間違いない。

ノートパソコンが主流の今の時代、デスクトップパソコンを欲しがる一般人が100人も集うとはなかなか想像できなかったが、そこは利幅が影響しているのだろう。
価格が安い機種は競争率が低く、高い機種は競争率が高い。
おそらく利幅の大きい高額な商品ほど、競争率が高くなるのだと思われる。


希望者全員が当選していると思われる機種もあった


今回の筆者は、
そんなわけで目的のパソコンを手に入れることはできなかった。
したがって早急に、後継機種を用意する方法を考える必要がある。

それはされておき、今回はいい経験になったことは間違いない。
この体験に費やした4時間強の時間と体力は、勉強代と思うことにした。

「安いものを手に入れるには、代償(労力)が必要だ」
ということ、そして
「同じように求める人も多く、努力が必ず実るとは限らない」
これが、今回の教訓だ。


内藤由美