コンビニ業界の知られざる裏側を、内情に詳しいライターの日比谷新太さんがレポートする当シリーズ。前回の「セイコーマート、デイリーヤマザキの現状」に続き、今回取り上げるのは「コンビニを縁の下から支える業者」について。コンビニの24時間営業を維持するために日夜活動されている様々な人たちの、あまり知られていないご苦労の数々を日比谷さんが紹介してくれています。

配送ドライバー

コンビニには、おにぎり・お弁当・パスタなどの食料品を1日3回、配送業務を委託しているコンビニチェーンごとのロゴが入った配送トラックで運んでいます。

配送温度は商品ごとに適正化されていて、またこのような食料品温度管理された配送以外にも、雑貨・飲み物・菓子などの常温商品を配送するトラックも1週間に2〜3回配送しています。これら常温商品の納品は通常深夜時間帯に行われています。

基本的には全ての商品配送は、商品センターから一括して店舗ごとに納品される商品が仕分けられて、同じトラックで配送されます。しかし、1社だけこのシステムに反発している商品があります。

日本の小売業の勝ち組であるコンビニのシステムに巻き込まれない、骨のある配送(メーカー)が、実は山崎製パンです。山崎製パンのみ、自社配送システムで店舗に商品供給を続けています。

レジなどの店舗システムサポーター

コンビニは24時間、365日営業しています。商品発注は店舗のストアコンピューターで行い、買い物の精算はPOSレジで行いますが、店舗が営業を継続するためには、これらの店舗システムにトラブルが発生した際に、即解決できるようにしなければなりません。

仮に深夜の時間帯にシステムトラブルが発生しても店舗営業に支障がない様に、24時間365日態勢で対応するサポートセンターがあります。システム関連の問題が発生し、現地対応が必要と判断されると、おおむね1〜2時間以内には技術者が現地に派遣され、対応を取れるようになっています。

店舗設備の修理

コンビニにある冷蔵什器の故障対応も重要です。例えばアイスケースが故障し商品を冷やすことができなくなると、商品であるアイスが溶けていくことになり商品廃棄になります。

冷蔵什器以外にも、駐車場からガラスを突き破って車が飛び込んでくるような大事故も、コンビニには発生します。このような事態に陥っても、コンビニの営業は基本的に継続です。深夜時間に発生しても、すぐに対応しなくてはいけません。

コンビニチェーンによって対応フローは異なりますが、店舗から連絡が行くと、修理業者が緊急出動を行い数時間で復旧させます。

棚卸業者

コンビニには商品アイテム数が3,000〜3,500あります。商品棚卸し作業は基本的に四半期ごとに実施しています。

一般的な小売店舗ですと、棚卸し作業日を設定しその日は営業を休み棚卸し作業を行っています。しかしコンビにはいつ何時も休まず継続営業が基本ですので、店舗は営業しながら棚卸し作業を行います。

棚卸し作業は店舗・バックヤードにある商品数を確認する作業になりますので、おおむね作業時間は1店舗あたり3時間から半日程度かかります。この棚卸し作業を専門の棚卸し業者に委託することが多いのです。棚卸し業務のコストはかかりますが、専門業者に委託することで店舗は継続営業ができます。

清掃業者

コンビニではお店の従業員による日々の清掃作業のほか、1か月に1回などの頻度で専門清掃業者による清掃作業を行います。

一昔前ですと主に床のワックスがけ業務が中心でしたが、床材が進化したおかげで、最近は床清掃作業(ワックスがけ)はありません。

専門業者に委託している清掃業務は、店頭(ガラス窓・入り口ドア)や店舗の看板清掃作業などです。くわえて店内調理が増えてきていますので、空調・換気設備の清掃もあります。

このように、毎日いつでも利用できるコンビニには、数多くの「縁の下の力持ち」がおり、この人たちのおかげで多くのサービスを受けられることを私たちは忘れてはなりません。レジなどを扱う店員のほか、普段は見かけることのないところで働く人たちの努力によって24時間「あいてて良かった!」と思える便利さを享受できるのです。

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