ロードスター、カブリオレ、コンバーチブル、スパイダー。これ全部オープンカーの呼び方って知ってた?
クルマ音痴の東京カレンダー編集者・船山を一人前のクルマ担当に育てる本連載。
自動車を得意とするベテランライター・サトータケシが、全日本クルマ音痴代表の編集部員船山(通称ふなっしー)に、わかりやすくクルマの魅力を解説する!
今回のテーマは、「夏といえばオープンカー!これってなんのためにオープンなの?」
船山:いよいよ夏が迫ってきましたね〜。僕、ひとつ夢がありまして、いつの日かオープンカーで海辺の道をドライブ&デートしたいんですよ。夏の夕暮れにジャック・ジョンソンなんか聴きながら、潮風が助手席の彼女の髪をなびかせて……。
船山:も、も、も、もちろん知ってますとも!
サトー:ネイティブがオープンカーという言葉を聞くと、ドアが開いているクルマやカギをかけていないクルマをイメージするらしい。
船山:そりゃそうですよね。オープンカー、ヘンな英語です。
サトー:じゃ、ホノルルのレンタカー屋さんでオープンカーをリクエストする時はどう言う?
船山:……、ほ、ほ、ほ、ほら、オープンカーっていろんな言い方があるじゃないすか。ハワイだとどれを使うんだっけな。
サトー:へぇ、オープンカーにいろんな呼び方があるってよく知ってたね。クルマ用語って、もともとは馬車に使われていた言葉が多いんだけど、屋根のない馬車をロードスター、折り畳み式の幌が付いた馬車をカブリオレって呼んだんだ。
船山:ロードスターとカブリオレって、どう違うんでしょう?
【DAIHATSU COPEN】世界に誇れる、クルマ版“ニッポニア・ニッポン”。サイズからは想像できないほど高い完成度を誇る軽自動車のオープン2シーター。電動で開閉する屋根は、オープン時にはトランクに格納される。3つのデザインを揃えることも特徴で、写真はレトロな「Cero」。¥1,852,200〜
サトー:ロードスターってのは、屋根が開いている状態がデフォルトで、屋根を閉めることもできますよ、というクルマ。現代では、2人乗りで屋根が開くスポーツカーを指す場合が多いね。このダイハツのコペンや、マツダ・ロードスターみたいに。
船山:あ、コペンって、コンパクトでかわいいですね。
サトー:座高が高くて顔のデカい君が乗ると、肩から上がハミ出そうだね、ハハハ!
船山:(ムカッ)
よく見かける、カブリオレってなんだ!?
サトー:もうひとつ、カブリオレは屋根が閉まっている状態が基本で、開けることもできますよ、というクルマ。だから乗用車タイプというか、このメルセデス・ベンツのCクラスみたいに実用的なモデルで屋根が開くモデルをカブリオレと呼ぶケースが多い。
【Mercedes-Benz The C-Class Cabriolet】美麗、快楽、実用の3拍子が揃った欲張りモデル。スイッチ操作ひとつで50km/hまでの速度なら約20秒で開閉するソフトトップを備えた、エレガントな佇まいのカブリオレ。屋根を閉じればクーペと変わらない静粛性と快適性を提供、普段使いでもストレスはなし。¥6,110,000〜
船山:4人乗れるオープンカーっていいですね。前に、とあるバンドのMVでメンバー全員がこういうタイプのオープンカーに乗っていて、すごく楽しそうでした。
サトー:男4人で乗ってもいいし、女性4人もステキだし、女性2人と男性2人もカッコいいね。
船山:僕と女性3人で乗ってたら、どう思われますかね?
サトー:ん〜、場末のショーパブの店長がお店の女のコを連れて湯河原に慰安旅行、みたいな感じ?
船山:(ムカッ)
サトー:いや、Cクラスのカブリオレは上品だから、ちょっと違うかな。お嬢さん3人の温泉旅行の途中で、捨て犬を拾ったら君だった、とか。
船山:それ、あまりひヒドくありませんか?
サトー:ん〜、どうもふなっしーにはCクラスのカブリオレが似合わない感じがするんだな。もうちょいカジュアルに、DS3カブリオのほうがいいかな。
【CITROËN DS 3 Cabrio】シトロエンの高級ブランド、DSが送り出すプレミアムなコンパクトカーのカブリオレ。¥2,890,000
船山:これこれ、オシャレでいいじゃないですか。
サトー:頑張ってオープンに乗ってます、と気合いを入れるんじゃなくて、あれ、屋根も開くんだ、ぐらいの軽い気持ちで乗るといいんじゃないかな。
船山:これ、僕のハートにかなり刺さりました。
サトー:あとイタリア車に多いんだけど、ロードスターをスパイダーと呼ぶケースもあるね。
船山:スパイダーって、スパイダーマンのスパイダーですか?
コンバーチブルは、野球のあの用語から来ていた!
サトー:諸説あるんだけど、地面を這うように走る姿がクモみたい、だからスパイダーと呼ばれるようになったらしい。
船山:このアルファ ロメオ4Cのスパイダー、いかにもスポーツカーってフォルムですね。
【Alfa Romeo 4C Spider】ミラノの名門が久々に送り出したピュアなスポーツカー。クーペ版もラインナップ。¥8,490,000
サトー:乗ってもかなりスパルタン。アルファ ロメオを愛する人をアルフィスタって呼ぶんだけど、アルフィスタ感涙の1台だね。
船山:これもカッコいいと思うんですけど、僕にはマニアック過ぎるというか、もうちょい肩肘張らずにオープンに乗りたいです。
サトー:だったらこれかな、MINIの新しいコンバーチブル。
【サトー’s RECOMMEND】MINI COOPER S CONVERTIBLE。2018年、MINIが生まれ変わる。フロントマスクがさらに愛嬌のあるキャラクターになったほか、エンジンやトランスミッションが一新される。価格など詳細は間もなく発表される予定
船山:コンバーチブルもオープンカーを意味するんですね。
サトー:そうそう、野球で「ピッチャーから外野手にコンバートしました」とか言うじゃない。切り替えるって意味なんだけど、屋根を開いた状態と閉じた状態を切り替えられるから、コンバーチブルって呼ぶんだ。
船山:なるほど、切替可能ってことですね。
サトー:ちなみに、アメリカではオープンカーをこう呼ぶことが多いから、ホノルルでレンタカーを借りる時はコンバーチブルだね。
船山:ひとついいですか? 新しいMINIってことは、MINIはモデルチェンジしたんですか?
サトー:顔つきが変わって、中身もかなりアップデートした。ヨーロッパではこの春から新型が売られているから、間もなく日本にも入ってくるだろうね。
船山:オシャレで頑張り過ぎない、軽〜いキモチで乗れるあたり、まさに僕が求めるオープンカー。ペルソールのグラサンで、ちょっとレトロっぽく渋くキメて乗ります。
サトー:これなら慰安旅行に見られることもないと思うよ。
〜サトータケシ今回の教訓!〜
屋根が開く車に乗ると、心もオープン。ぜひ一度は体験すべし!