(写真=S-KOREA編集部)

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韓国で、とある銅像に「撤去しろ!」という怒りの声が集まっている。

韓国の名門・高麗(コリョ)大学に設置された金性洙(キム・ソンス/1891〜1955年)の銅像だ。金性洙は高麗大学の設立者であるため、同大学に彼の銅像があることは決しておかしいことではないだろう。

それなのになぜ、高麗大学の大学生たちは撤去を叫んでいるのか。それは、金性洙が“親日派”と判断されたからだ。

“親日派”と発覚して勲章も剥奪

実は2月13日、韓国政府は金性洙の建国功労勲章複章(現在の大統領章)を剥奪した。1962年に授与されたものなので、56年が経って取り消されたことになる。

韓国メディアによれば、関係者は剥奪の理由を「金性洙は独立運動によって勲章を受章したが、大法院(韓国の最高裁判所)が2017年4月に彼の親日行為を認定した。虚偽の功績で受けた勲章は、賞勲法に従って取り消される必要がある」と明かしたという。

高麗大学の総学生会は「民族を見捨てて戦争という残酷な行為に加担した罪は、そのどんな業績によっても晴れることはない」としながら、銅像の撤去を強く要求。高麗大学側は「まだ対応する考えはない」としているが、学生たちのみならず、今後は世論の声も高まっていきそうだ。

実際に関連ニュースを報じた記事には、「当然だ。国家と民族を売った人物の銅像を教育機関に置くなんて」「親日派が建てた学校自体が親日の象徴だ。廃校にしてしまえ」などなど、7500件ものコメントが書き込まれていた。

「スシ」など日本語も使わないように…

今回の問題は金性洙が親日派であることから広がったわけだが、つくづく思うのはこれも“イルチェチャンジェ”のひとつなのかということだ。

イルチェチャンジェを日本語にすれば「日帝残滓」となる。日本統治時代に伝わった日本の文化や文物のことで、韓国では定期的にそれを排除しようとする動きが出る。

例えば近年には、韓国海洋水産部が「スシ」や「ワサビ」といった“日本式の単語”を撤廃させようと働きかけたこともあった。韓国では「マグロ」「イカ」「アナゴ」「アジ」なども、そのまま日本語を直読みして使うケースがあるのだが、それを止めさせようという動きだ。

これには韓国の友人たちも「日本でもキムチはキムチと呼ぶのに…」とあきれていたが、国家行政機関も日帝残滓に敏感にならざる得ないことを示した例といえるだろう。

つい先日も、韓国の国会議員が日本語を口走った“ゲンセイ発言”が物議を醸している。別の国会議員は「三一節(1919年3月1日の独立運動を記念する韓国の祝日)を控えた今、公の場において適切ではない発言だ」と非難していた。

日本統治時代の遺構も撤去

また2015年には、1937年に朝鮮総督府逓信局庁舎として建設され、現代では国税庁別館として使われていた遺構を撤去したこともあった。


(写真提供=YEONSOO LEE)ソウル図書館も日本統治時代の遺構のひとつ


ソウルには日本統治時代、日本人によって建てられた建造物が多いのだが、そのひとつが姿を消したことになる。

以前インタビューした韓国の歴史学者は「それらの遺構は韓国人にとってマイナスの性格も持っていますが、同時に“韓国の歴史”でもある。残しておくべきだった」と嘆いていたが、後の祭りとしかいいようがない。

何よりも残念なのは、こういった流れのなかで、日本の文化と韓国の文化を過度に衝突させるような出来事も起こっているということだ。

日本の折り紙vs韓国のジョンイジョプキ

最近でいえば、「折り紙」の例がある。

韓国メディア『聨合ニュース』は「韓国のジョンイジョプキ、折り紙と“全面対決”」と報じていたが、「折り紙の起源は韓国のジョンイジョプキにある」という主張や研究結果も発表されているのだ。

【参考記事】日本の「折り紙」の起源は韓国!? 世界進出を目論む韓国伝統文化“ジョンイジョプキ”とは

歴史的事実や検証などは専門家の見解に任せるしかないが、過度な対立図式は両国にとってプラスにならないのではないかと感じてしまう。

いずれにしても親日派や日本由来の文物に対して、時に過敏なほどナーバスな反応と厳しい姿勢を見せる韓国。高麗大学の銅像に対しては、今後も「撤去すべき」という声が広がっていきそうだ。

(文=慎 武宏)