馬英九前総統(左)、呂秀蓮元副総統(右)

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(台北 25日 中央社)日本による台湾統治の終結を記念する「光復節」に当たる25日、野党・国民党の馬英九前総統は台湾や澎湖諸島などの中華民国への返還を定めた1943年の「カイロ宣言」について、れっきとした条約であり、条約でないとするのはあまりにも門外漢だと語った。与党・民進党の呂秀蓮元副総統が先日、カイロ宣言は条約ではなく拘束力はないと発言したのを受け、自身の見解を示した。

馬氏はこの日、台北市内で開かれた抗日戦争勝利と台湾光復72周年を祝う国民党主催の記念式典に出席した。あいさつの中でカイロ宣言に触れ、条約は必ずしも条約と称されるとは限らないと言及。蒋介石・中華民国国民政府主席とルーズベルト米大統領、チャーチル英首相の3人によって共同で決定されたもので、公表後には米紙ニューヨーク・タイムズに掲載され、信用度にも問題はないと主張した。さらに、カイロ宣言の拘束力を強調し、「国際社会は全て条約だと認めている」と述べた。

呂氏は同日、台北市内で開かれた台湾光復に関する座談会に出席。カイロ宣言には蒋氏、ルーズベルト氏、チャーチル氏の署名や日時などが記されていないと指摘し、国民党と共産党がカイロ宣言に固執するのは、台湾が中国のものだとする理由がほかに見つからないからだと批判した。その上で、カイロ宣言はプレスリリースに過ぎず、法的拘束力はないと強調した。

【カイロ宣言】1943年11月に中華民国、米国、英国の各首脳がカイロで開いた会談を経て、12月1日に発表された連合国の対日基本方針。第1次大戦の開始以後に日本が奪取または占領した太平洋の全ての島の剥奪や、満州や台湾、澎湖諸島などの中華民国への返還、朝鮮の独立などが定められた。外交部は今年6月に発表した文書でカイロ宣言について、「中華民国はこれを条約としての拘束力を持つ法律文書とみなす」としている。

(謝佳珍、葉素萍/編集:名切千絵)