Image: Junji Morokuma, Allen Discovery Center at Tufts University


どっちが頭かわからなくなっちゃった。

宇宙空間は人間を含め動物の体にさまざまな影響を与えることがわかっています。とはいえ、生き物のしっぽが頭になるなんてちょっとやり過ぎじゃないでしょうか。タフツ大学の研究チームが、プラナリアを国際宇宙ステーション(ISS)に打ち上げてみたところ、上の画像みたいになってしまったんです。

といっても、ただ打ち上げただけではありません。そもそもプラナリアには、切断されても切れた部分を再生する性質があり、地球上でも双頭のプラナリアを作り出すことは可能です。じゃあ宇宙空間でも同じように再生されるのか、それとも何か違いがあるのかを確認すべく、今回実験が行なわれたというわけです。

2015年1月10日、数十匹のプラナリアがSpace Xの商用補給サービスミッションでISSへと打ち上げられました。そのうち3分の2ほどは、頭か尻尾、またはその両方を切断された状態です。ISSに到着後、プラナリアたちは宇宙で約5週間過ごし、重力も地磁気も極小の空間を体験しました。

地球に戻ったプラナリアを調べると、その中に頭がふたつある個体が見つかりました。それも上の画像の通り、尻尾の部分が頭になっているものです。このような個体はまれに発生することがあるものの、研究チームが過去に飼育していた通算1万5000匹のプラナリアの中では1回も発生したことがなかったそうです。しかもこのふたつの頭を両方切断したところ、両方からまた頭が再生されました。


切断しても再生可能なプラナリアが宇宙に行くと…こうなります2
Image: Junji Morokuma, Allen Discovery Center at Tufts University


宇宙に行ったプラナリアには、他にも変化がありました。宇宙に行ったプラナリアのうち、切断しないままだった10匹をミネラルウォーター(ちなみに銘柄はPoland Spring)の中に入れると、ショックを受けたように丸まってほとんど動かなくなってしまったそうです。その状態は2時間ほどで収束したそうですが、この反応はプラナリアが宇宙での環境変化に合わせて代謝の状態を変えていたために起きたものと研究チームは考えています。

また宇宙から帰還して20カ月後に行なわれた実験では、プラナリアのいるペトリ皿の半分を暗くし、半分に光をあて、プラナリアが明るい部分と暗い部分どちらにいたがるかを見ました。普通のプラナリアは「負の走光性」を持つ、つまり暗いところを好む傾向があります。が、この実験の結果、地球にいたプラナリアはすべてが90%前後の時間において暗い部分にいたのに対し、宇宙にいたプラナリアが暗い部分で過ごす時間にはばらつきがあり、中にはまったく暗い部分に移動しない個体や半分の時間を明るい部分で過ごすものも見られたそうです。

さらに宇宙空間は、プラナリアに寄生する細菌にも影響を与えたようで、代謝や分泌機能にも変化が見られました。「宇宙に行ってからお腹の具合がどうも…」ってことは、人間にもありそうですけどね。

ただこの実験全体的に、宇宙に行ったプラナリアと地球に残ったプラナリアの環境の温度を完全にそろえることは難しく、その点も影響している可能性があるとのことです。この研究結果は6月13日、学術誌Regenerationに掲載されました。

で、なんでぶつ切りのプラナリアをわざわざ宇宙まで連れて行ったのかっていうと、そこにはちゃんと大きな目的があります。この研究は宇宙の中での体の再生機能の変化について、より深い理解につながることが期待されているんです。「人類が宇宙に向かう中、医療と将来の宇宙研究のため、宇宙飛行が再生機能に与える影響を考えておくことは重要です」。論文第一著者でタフツ大学のリサーチ・アソシエイト、諸隈淳治氏はプレスリリースで語っています。

イーロン・マスク氏を始め、現在あちこちで火星移住に向けて準備中です。宇宙に行ったって人間の足に頭が生えることは(多分)ないと思いますが、より多くの人が長期間宇宙で過ごすことで、意外な変化がまだまだ見つかってくるかもしれません。

・宇宙空間で脳や遺伝子はどう変化? NASAや大学から意外な研究結果

Image: Junji Morokuma, Allen Discovery Center at Tufts University
Source: Wiley Online Library via Tufts University

Rae Paoletta - Gizmodo US[原文]
(福田ミホ)