日本三大ドヤ街で「東京・山谷」「大阪・西成」と並ぶ「横浜・寿町」に泊まってみた
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1泊1300円という安い部屋をみつけたのですが、日中はネットカフェに入り浸っていました。夜寝る分には構わないのですが、とにかく狭い部屋だったので、なるべく外で過ごしたいのです。これまでいろんな宿に泊まりましたが、かなり厳しい場所でした。
こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。2016年10月に横浜のドヤ街「寿町」に泊まる機会がありました。大阪の「西成」にも、東京の「山谷」にも泊まったことがあるので、横浜の寿町で日本三大ドヤ街制覇です。
◆ドヤ街とは
日雇い労働者が多く住む街です。横浜の寿町だと港湾労働者の集まる場所でした。ドヤ街には日雇い労働者の受け皿となる簡易宿泊所が立ち並んでします。「ドヤ」とは「宿(やど)」を逆さに読んだ言葉。ただし、近年のドヤ街の主役は生活保護を受ける高齢者で、セーフティネットの役割を果たす場所へと変わってきています。また、旅行者の宿泊に力を入れている簡易宿泊所もあります。インバウンド需要で外国人のバックパッカー向けのホステルがドヤ街にも増えつつあります。
◆寿町で泊まった部屋
見渡す限りに宿、宿、宿なのですぐに見つかると楽観視していました。でも、いいところを見つけても「数日だとちょっとね」とお断りの連続。寿町では西成、山谷と違って5日くらいじゃ相手してくれません。そんな中で街を彷徨っていると「兄ちゃん何しているの?」と声をかけられました。居酒屋を開ける準備をしていたおっちゃんでした。「5日間だけど泊まる場所を探しているんですが」と相談すると「その日数だとちょっと厳しい」と顔を曇らせます。でも、その条件でも泊まれそうな宿を教えてもらいました。リアルでRPGをしている気分になりました。
教えてもらった宿のうち1軒目は断られてしまい、2軒目へ。ここが駄目なら後はありません。「5日だけど部屋はありませんか」と話すと、受付の年老いた男性はちょっと考え込んでしまいました。これはまずいと「ちょっと街の人にここの場所を聞きまして」と、行き当たりばったりでないことをアピール。熱意が通じたのか、それとも紹介によるものだとわかってくれたおかげか、部屋を用意してくれることに。5泊で6500円、1泊1300円でした。
普通のホテルと同じように、廊下の左右に部屋が並んでいます。
私が泊まった部屋がこちらです。畳にして2つくらいでしょうか。ただ床が正方形なのは困りました。小柄な私でも体を思いっきり伸ばせない窮屈さ。
お布団も置いてあるのですが、衛生面に抵抗があったので自前の寝袋に使うインナーシーツを使っていました。寒いときだけ掛け布団を上から羽織ります。床のカーペットも微妙だったので手持ちのブルーシートを敷いていました。
こんな場所にすら液晶テレビが置いてあるのは日本のすごいところ。
部屋の照明は蛍光灯です。
ただし、スイッチが棒を押し込むことでオンオフが切り替わる、一般家庭ではほとんど使われないようタイプでした。
部屋にコンセントはなく、どこからか電源タップを引っ張ってきていました。
前の住人が洗濯物を干していたと思われるビニール紐。
カーベットがずれないように貼り付けたガムテープ。
丸棒ラッチと呼ばれるシンプルな内鍵。かなり錆びついていて、触れると鉄の匂いが手につきます。
外鍵も掛金を使った南京錠でした。
館内でタバコを吸う方がいるようで少し煙たいのが気になりました。窓を開けても、隣がすぐ建物なので部屋の空気はどんよりとしたまです。そんな部屋で日中を過ごすにはしんどく、近くのネットカフェで作業をしていました。
・館内設備
1階にガスコンロと電子レンジが備わっているので簡単な調理くらいはできそうでした。
古いトイレでしたが清掃しているので特に気にならなかったです。ただし、1階のトイレに限ります。部屋のあった2階のトイレはドアがなく、さすがの私も戸惑いました。
・シャワー
あまりに安い宿だったので、湯船もシャワーもありませんでした。街にはコインランドリーならぬコインシャワーがあるので、そちらを利用していました。
こちらも簡易宿泊施設なのですが、1階ではコインランドリーとコインシャワーが営業していました。
脱衣所を含めてユニットバスとなっています。大きなプラスティックの箱に入るような感覚。
7分で200円という値段でした。100円硬貨2枚が必要。体を洗うときなど、ストップを押すことでお湯も時間も止まります。出だしこそ冷たいですがすぐに熱くなって湯温も快適でした。
◆寿町の景色
古びた建物が並ぶ一画。路上に駐輪された自転車の数。街を歩くのは男性ばかり。しかも、目立つは高齢の方々。他のドヤ街と同様に近寄りがたい雰囲気があります。
どことなしか空気も重く感じる路地裏の景色。
寿町の安宿は東京の山谷と同じように1泊2200円が目立っていました。同じ値段でも東京の山谷よりは条件は良さげ。気になる場所も何軒かありました。ただ、短期滞在の可否は不明。
たくさんの簡易宿泊所が軒を連ねています。
ドヤ街には珍しいキャッチーな立て看板。
部屋を写真付きで紹介している宿泊施設。
こちらは1泊2200円ですが、4.5畳という広さは魅力的でした。日本のドヤ街では2畳〜3畳の部屋にしか泊まったことありません。
外国人バックパッカー向けのホステルも数軒営業していました。
ドヤ街に行くと確認したくなるのが激安自動販売機。寿町はこのような感じでした。
最安は50円から。プルタブの上がった空き缶が見本となっています。
どこか懐かしくなる雰囲気漂う、こちらの紙コップ式の自動販売機は70円。
ゴチャゴチャしている街だからこそ餌も寝床もあるのか、ちらほらと野良猫を見かけていました。
公園の片隅で香箱座り。
自転車の間に隠れてニャー。
ビルの谷間にも猫たちが潜んでいました。2匹います。
こんな場所にも保育園があるみたいで、保育士に連れられた幼児が歩いていたりしました。3歳ほどの幼児10人の集団がちっちゃな手を握り合っています。それを見ているおっちゃんたちの頬も緩みます。リヤカーのときもありました。箱に詰められたように6人くらいがキョトーンと立っていました。上機嫌な幼児は路上の人に手を振ります。手を振り返すおっちゃんも笑顔。そんな穏やかな日常も転がっていたりしました。
寿町というドヤ街も日本の社会の一部だったりします。
◆場所
寿町への最寄り駅はJR根岸線の関内駅と石川駅。
横浜といったら中華街を思い浮かべる人も多いでしょう。寿町からは歩いていける距離です。
横浜ベイスターズの本拠地である横浜スタジアムも近かったりします。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)
1泊1300円という安い部屋をみつけたのですが、日中はネットカフェに入り浸っていました。夜寝る分には構わないのですが、とにかく狭い部屋だったので、なるべく外で過ごしたいのです。これまでいろんな宿に泊まりましたが、かなり厳しい場所でした。
こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。2016年10月に横浜のドヤ街「寿町」に泊まる機会がありました。大阪の「西成」にも、東京の「山谷」にも泊まったことがあるので、横浜の寿町で日本三大ドヤ街制覇です。
日雇い労働者が多く住む街です。横浜の寿町だと港湾労働者の集まる場所でした。ドヤ街には日雇い労働者の受け皿となる簡易宿泊所が立ち並んでします。「ドヤ」とは「宿(やど)」を逆さに読んだ言葉。ただし、近年のドヤ街の主役は生活保護を受ける高齢者で、セーフティネットの役割を果たす場所へと変わってきています。また、旅行者の宿泊に力を入れている簡易宿泊所もあります。インバウンド需要で外国人のバックパッカー向けのホステルがドヤ街にも増えつつあります。
◆寿町で泊まった部屋
見渡す限りに宿、宿、宿なのですぐに見つかると楽観視していました。でも、いいところを見つけても「数日だとちょっとね」とお断りの連続。寿町では西成、山谷と違って5日くらいじゃ相手してくれません。そんな中で街を彷徨っていると「兄ちゃん何しているの?」と声をかけられました。居酒屋を開ける準備をしていたおっちゃんでした。「5日間だけど泊まる場所を探しているんですが」と相談すると「その日数だとちょっと厳しい」と顔を曇らせます。でも、その条件でも泊まれそうな宿を教えてもらいました。リアルでRPGをしている気分になりました。
教えてもらった宿のうち1軒目は断られてしまい、2軒目へ。ここが駄目なら後はありません。「5日だけど部屋はありませんか」と話すと、受付の年老いた男性はちょっと考え込んでしまいました。これはまずいと「ちょっと街の人にここの場所を聞きまして」と、行き当たりばったりでないことをアピール。熱意が通じたのか、それとも紹介によるものだとわかってくれたおかげか、部屋を用意してくれることに。5泊で6500円、1泊1300円でした。
普通のホテルと同じように、廊下の左右に部屋が並んでいます。
私が泊まった部屋がこちらです。畳にして2つくらいでしょうか。ただ床が正方形なのは困りました。小柄な私でも体を思いっきり伸ばせない窮屈さ。
お布団も置いてあるのですが、衛生面に抵抗があったので自前の寝袋に使うインナーシーツを使っていました。寒いときだけ掛け布団を上から羽織ります。床のカーペットも微妙だったので手持ちのブルーシートを敷いていました。
こんな場所にすら液晶テレビが置いてあるのは日本のすごいところ。
部屋の照明は蛍光灯です。
ただし、スイッチが棒を押し込むことでオンオフが切り替わる、一般家庭ではほとんど使われないようタイプでした。
部屋にコンセントはなく、どこからか電源タップを引っ張ってきていました。
前の住人が洗濯物を干していたと思われるビニール紐。
カーベットがずれないように貼り付けたガムテープ。
丸棒ラッチと呼ばれるシンプルな内鍵。かなり錆びついていて、触れると鉄の匂いが手につきます。
外鍵も掛金を使った南京錠でした。
館内でタバコを吸う方がいるようで少し煙たいのが気になりました。窓を開けても、隣がすぐ建物なので部屋の空気はどんよりとしたまです。そんな部屋で日中を過ごすにはしんどく、近くのネットカフェで作業をしていました。
・館内設備
1階にガスコンロと電子レンジが備わっているので簡単な調理くらいはできそうでした。
古いトイレでしたが清掃しているので特に気にならなかったです。ただし、1階のトイレに限ります。部屋のあった2階のトイレはドアがなく、さすがの私も戸惑いました。
・シャワー
あまりに安い宿だったので、湯船もシャワーもありませんでした。街にはコインランドリーならぬコインシャワーがあるので、そちらを利用していました。
こちらも簡易宿泊施設なのですが、1階ではコインランドリーとコインシャワーが営業していました。
脱衣所を含めてユニットバスとなっています。大きなプラスティックの箱に入るような感覚。
7分で200円という値段でした。100円硬貨2枚が必要。体を洗うときなど、ストップを押すことでお湯も時間も止まります。出だしこそ冷たいですがすぐに熱くなって湯温も快適でした。
◆寿町の景色
古びた建物が並ぶ一画。路上に駐輪された自転車の数。街を歩くのは男性ばかり。しかも、目立つは高齢の方々。他のドヤ街と同様に近寄りがたい雰囲気があります。
どことなしか空気も重く感じる路地裏の景色。
寿町の安宿は東京の山谷と同じように1泊2200円が目立っていました。同じ値段でも東京の山谷よりは条件は良さげ。気になる場所も何軒かありました。ただ、短期滞在の可否は不明。
たくさんの簡易宿泊所が軒を連ねています。
ドヤ街には珍しいキャッチーな立て看板。
部屋を写真付きで紹介している宿泊施設。
こちらは1泊2200円ですが、4.5畳という広さは魅力的でした。日本のドヤ街では2畳〜3畳の部屋にしか泊まったことありません。
外国人バックパッカー向けのホステルも数軒営業していました。
ドヤ街に行くと確認したくなるのが激安自動販売機。寿町はこのような感じでした。
最安は50円から。プルタブの上がった空き缶が見本となっています。
どこか懐かしくなる雰囲気漂う、こちらの紙コップ式の自動販売機は70円。
ゴチャゴチャしている街だからこそ餌も寝床もあるのか、ちらほらと野良猫を見かけていました。
公園の片隅で香箱座り。
自転車の間に隠れてニャー。
ビルの谷間にも猫たちが潜んでいました。2匹います。
こんな場所にも保育園があるみたいで、保育士に連れられた幼児が歩いていたりしました。3歳ほどの幼児10人の集団がちっちゃな手を握り合っています。それを見ているおっちゃんたちの頬も緩みます。リヤカーのときもありました。箱に詰められたように6人くらいがキョトーンと立っていました。上機嫌な幼児は路上の人に手を振ります。手を振り返すおっちゃんも笑顔。そんな穏やかな日常も転がっていたりしました。
寿町というドヤ街も日本の社会の一部だったりします。
◆場所
寿町への最寄り駅はJR根岸線の関内駅と石川駅。
横浜といったら中華街を思い浮かべる人も多いでしょう。寿町からは歩いていける距離です。
横浜ベイスターズの本拠地である横浜スタジアムも近かったりします。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)