HIV検査キットが自動販売機に(出典:http://shanghaiist.com)

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中国・四川省成都市にある大学構内に、非常に安価なHIV(ヒト免疫不全ウイルス)検査キットがお目見えした。若者のHIV感染者が増加の一途をたどる中国では、国をあげての対策が次々とスタートしており、検査キットもそのプログラムの一環であるようだ。

成都市郊外にある理工系大学「西南石油大学」の自動販売機に、HIV検査キットが登場し話題となっている。通常HIV検査キットは268〜298人民元(約4100〜約4600円)で販売されているが、大学内でカップラーメンやチョコレートと一緒に並んで売られているキットは、30人民元(約460円)と実に手頃だ。

『shanghaiist.com』によると、検査キットは国の機関「性感染症エイズ予防治療協会(STD & HIV Prevention Association)」が行っているHIV感染拡大予防プログラムのひとつで、高校や大学など若者が集う場所を中心に設置されたものという。

「国連合同エイズ計画(UNAIDS)」は昨年、中国HIV感染/エイズ発症者は50万人を超え、2010年から2014年の4年間だけで20万人が新たに感染したと報告している。男性同士での性行為の増加、適切な性教育の欠如、特に若者の知識不足が背景にあるとされ、中国では大きな社会問題となっている。

また感染者の半数が偏見や差別に苦しみ、4分の1は身の危険を感じたことがあるという調査結果も出ており、2014年には四川省南充市の学校に通う8歳男児がHIVに感染し、学校を追放されそうになったとして人々の関心を集めた。

政府は学校や家庭での教育の徹底に力を入れており、今年9月のG20杭州サミット開催中には、ファーストレディの彭麗媛夫人が浙江省の浙江大学を訪れ、HIV/エイズの予防とコントロールを国際社会に呼びかけた。ちなみに彭麗媛夫人は、世界保健機関(WHO)の結核とHIV/エイズ予防の親善大使も務めている。

近年の治療薬の進歩には目を見張るものがあり、HIV感染を早期に発見できればエイズ発症の予防が可能な時代になっている。「もしかしたら」と思う若者が気軽に検査キットを手に取り、感染予防や治療に専念するようになることが期待されている。

出典:http://shanghaiist.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)