au VoLTEが今、超人気? 話題のSIMフリースマホ新製品ZenFone 3やIDOL 4など続々と対応する理由

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SIMフリーのスマートフォン(スマホ)は、月々の携帯電話の利用料が安い"格安SIM"などを使えることで、認知度や使っている人が着実に増えている。

市場規模が大きくなるにつれ、発売されるSIMフリースマホ製品も急速に増えている。
10月以降だけでも、すでにASUSTeK ComputerやHuawei Technologies、Motorola Mobility、FREETEL、Alcatel、ZTEといった海外の有名メーカー・ブランドから続々と新機種が販売開始される予定だ。

ここ最近の製品で注目されるポイントは
「au VoLTE」
「デュアルSIMデュアルスタンバイ」
この2つの機能だろう。

今回は、そのうちのau VoLTEに、各社がこぞって対応する理由を紹介しよう。

そもそもどの携帯電話会社でも使えるということが売りのはずのSIMフリースマホ。
しかし、どれでも、au VoLTE対応というわけではない。

これはauのネットワークの特殊性に要因がある。
実は、auは世界的に見ても珍しいサービス展開をしているのだ。
・3GではCDMA 2000方式のみを利用
・通信サービスを4GのLTE方式のみに切りかえを目指す

他社サービスの場合は、
・4GのLTEおよび VoLTEに対応
・3GのW-CDMA方式の通話や通信も併用
と、いうケースが多い。

スマホ側もその仕様に合わせており、4Gだけで通話と通信をする仕様に対応していないモデルが多いのだ。
そのため、そもそもCDMA 2000に対応している製品自体が少ない上、LTEやVoLTEに対応していても多くの製品がこれまではauの回線では使えなかったというわけだ。

つまり、au VoLTE対応とは、NTTドコモやソフトバンクだけではなく、安心して「auの回線でも使えますよ」ということを意味するのだ。


発売されたばかりのau VoLTE対応「ZenFone 3 ZE520KL」


そして、今、そんなau VoLTE対応のSIMフリースマホが増えているのだ。
ざっと挙げるだけでも「ZenFone Go」や「ZenFone 2 Laser ZE500KL」がソフトウェア更新で対応したほか、新機種でも「ZenFone 3 ZE520KL」や「ZenFone 3 Deluxe ZS550KL / ZS570KL」、「IDOL 4」、「SHINE LITE」などがある。

また、Windows 10 Mobileを搭載したスマホ「HP Elite x3」もau VoLTEに対応しており、auのIOT(相互接続性試験)を取得している。

増えている理由には二つの側面があると思われる。
一つは、
au回線を用いた格安SIMなどを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)、特にKDDI傘下のUQコミュニケーションズが提供する「UQ mobile」が勢いをつけようとしている点だ。


UQ mobileの動作確認機種一覧。auの機種が中心だが、徐々にSIMフリースマホも増えてきている


au回線のMVNO、特にau VoLTEに対応したスマホの場合には、auから販売されているスマホでもSIMロック解除をしないと使えないのだ。

つまり、すぐに使えるスマホが少ないため、au VoLTE対応のSIMフリースマホを増やしていると見られる。

もう一つは、
SIMフリースマホ市場も競争が激しくなっており、差別化のためにより多くのサービスで使えることを売りにしたいというスマホメーカーの戦略が挙げられる。

au VoLTEへの対応は、ユーザーとして多様性が広がるため嬉しいことだ。
反面、
・au VoLTE対応でのコストが上乗せされる
・ただでさえ複雑なMVNOとSIMフリースマホの組み合わせが増えて、より難解になる
といったデメリットもある。

特にサービスの複雑化は、サポート面が手薄になるMVNOには厄介な問題となりそうだ。
これまでにもNTTドコモ回線のMVNOではSIMカードに「docomo」と記載があるため、サポート拠点が少ないMVNOではなく、ドコモショップに駆け込むといった問題も起きている。

au VoLTE対応と書かれていると、同じようにauショップに駆け込むケースも出てくる懸念もある。
安くて手軽なサービスが多いMVNOだが、こういった問題にもきちんと対処していって欲しいところだ。


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