年間200軒のカレーを食べ歩き、自身でも本を出版してしまうほどカレー好きな小宮山雄飛さん。そんな小宮山さんの審美眼に叶った、変わり種のカレー丼をご紹介しよう。



カレーかき揚げ丼 ¥ 750
『天重 本店』の「カレーかき揚げ丼」(平日ランチ限定)

たぶんみなさん食べたことがないだろう珍しいカレー丼がある! との雄飛さんの誘いで、オフィス街にある一軒の天ぷら店へ足を運んだ。

「かき揚げ丼にカレーがかかっている、おそらく日本でもここだけじゃないかなと思うほどユニークな組み合わせ。実はほかのお店でランチをする予定で向かっていた途中に、こちらの前を通りかかり、『かき揚げカレーって何!?』と衝撃を受けたのが出会いでした。その日の予定は即キャンセルして、すぐにトライしてみました」

「お蕎麦屋さんのカレーともまた違う、サラサラタイプのアジアンテイストなカレーというのも面白くて、想像をいい意味で裏切られました。サクサクに揚がったかき揚げと見事にマッチしていて最高なんです」



軽く揚がったかき揚げと、海老、鱚などが入ったコスパの良さが魅力の天ぷら定食 花¥1,200

ランチのみプラスして食べたい、ミニうどん冷(セットには+¥250 、単品¥350)

常に揚げたてを提供し、季節によって揚げ方を変える。職人の熟練の技が光る

創業1965年のこちらは、かの大物政治家にも贔屓にされ愛されたお店。現在は2代目店主が味を守り継いでいる。姉妹店で30年前にマネできないカレーを! ということで生まれた「カレーかき揚げ丼」は、今では本店のみの人気メニューだとか。

「見た目には想像つかないですけど、カレーはけっこうしっかり辛いんです。シャバシャバしたカレーに、一味唐辛子が効いていてやみつきです」

天ぷらの老舗にカレー目当てで通う…。この行動力こそが、食通たる所以なのかもしれない。



美味しい天ぷらの揚げる音が響き渡る、香り立つ店内

神田の名店『まつや』がつくる、珠玉の「カレー丼」とは?



カレー丼」 ¥1,000
『神田まつや 本店』の「カレー丼」

開店を待つ行列が名物でもある、神田須田町にある老舗蕎麦屋は、今回蕎麦目的ではなくカレーを求め訪問。

「蕎麦好きの父に幼少の頃からよく連れていかれ通っていた、これぞ東京の古き良き味というなじみのお店です。外観も内観も昔ながらの趣や風情が残っていて、素敵なんです。普通老舗の蕎麦屋へ行ったら、まず絶対にせいろを頼むと決めていますが、こちらでは、ついごはんモノのカレー丼を頼まずにはいられません」

聞けば昭和初期に横浜でライスカレーが流行った時代に、このメニューが生まれたとか。



手打ちと外二割にこだわった、もり¥650。蕎麦本来の香りを楽しめる

「さすが蕎麦屋だけあって、カレーの風味と蕎麦つゆの出汁の味と甘さが絶妙に調和していて、これぞ蕎麦屋のカレーの超見本的存在!単品で好きな焼き鳥と同じ柔らかい鶏肉がゴロゴロと入ってるのが、また旨い!カレー1本勝負もいいのですが、時間があるときは板わさで日本酒を1本、せいろを1枚平らげて、ビールでリフレッシュしてから〆にカレー丼っていうのが僕のスタンダード。昼間からの贅沢ってこういうことですね」



ふっくらジューシーな筑波赤根鶏を返しとみりんのタレに漬け込んだ焼鳥¥800は、酒のあてにも最適

ビル群の合間にある趣のある建物は、関東大震災のあとからそのまま残る