モンゴルの新鋭・照ノ富士が夏場所で初優勝、大関昇進を決めた。千秋楽結びの一番、伊勢ヶ濱部屋の兄弟子・日馬富士が援護射撃で白鵬を倒した瞬間、ある若手親方がこう呟いた。

「(白鵬の)時代、終わっちゃったかもね」

 事実、2つの面で白鵬の「落日」が見てとれる。まずは「力の低下」だ。前出の若手親方はこう見る。

「以前に比べて取り口に滑らかさがなくなってきた。激しい相撲では終盤に足が出なくなったし、ダメ押しをするのも土俵際で手を緩めるのが怖いことの裏返しだ」

 土俵際での弱さを物語るシーンがあったのは12日目、大関・豪栄道との一番だ。九分九厘有利な体勢から、豪栄道の捨て身の首投げを食らって土俵下へ転落。相手に上がった軍配に、物言いはつかないのかといわんばかりに立ち尽くした。

「豪栄道が勝ち名乗りを受ける間も立ったまま。一礼もせずに土俵を降り、負け残りの席にもなかなか座らずに花道を引き揚げた。審判部への不満が見えたが、ああやってフテ腐れるから、誰も助けてくれないんだよ」(別の若手親方)

 もう1つはこの「孤立」である。白鵬は審判批判などで協会から疎まれ、さらに力士仲間からも距離を置かれ始めているという。

「ケガを押して出場した遠藤と対戦した旭天鵬や荒鷲といったモンゴル人力士が、実にフェアな取組をしていたのが印象的でした。

 これまでは外国人力士ほど勝利にこだわり、相手のケガを徹底的に攻めることが多かった。もちろん弱点を攻めるのは勝負の常道ですから仕方ないのですが、それをしなかった。

 相手が日本人力士の“希望の星”ということで遠慮したのか、意図はわかりませんが、最近の態度でバッシングを浴びる白鵬を見て、日本人の中に溶け込もうとしているのは確かなようです」(相撲ジャーナリスト)

 巡業に出れば後輩の逸ノ城を本気で“かわいがる”白鵬とは温度差を感じる。白鵬の連覇を止めたのが照ノ富士と日馬富士という、モンゴル人力士だったのも象徴的だ。

「これまで一枚岩だったモンゴル勢が分裂して、その中で白鵬だけが浮いていることは間違いありません」(同前)

※週刊ポスト2015年6月12日号