自身の中では張本氏に満点回答とはいかず? カズ「チームが勝つことが一番の結果」

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[4.19 J2第8節 横浜FC2-2長崎 ニッパ球]

 横浜FCのFW三浦知良は19日、自身の持つJ2リーグ戦最年長得点記録を48歳1か月24日に更新した。前回、ゴールを決めた磐田戦の後には、テレビ番組内で張本勲氏から「もうお辞めなさい」と引退を勧告された。これを「激励」と受け取ったカズは、長崎戦でホームゲーム2試合連続となるゴールを決めて、錆びつかない得点力を誇示した。

 張本氏に対する満点回答にも捉えられるが、カズ自身はそう思っていないようだった。「本当はね、チームが勝つことが一番の結果。2ポイントを失って悔しいですけど、個人的に、FWとしてゴールという結果が出たことは良かったのではないかなと思います」とコメント。サッカーがチームスポーツであるため、2-2の引き分けに終わったことに満足していない胸の内を語った。

 さらに、あらためて張本氏のコメントに対して感謝する。「いろいろな考え方がありますし、そうやってサッカーのことで言われるというのは本当に幸せだと思います。言われて、やっぱり『頑張ろう』と思いましたし、厳しいことを言ってくれるのは、本当に幸せです。自分を人としても成長させてくれる言葉だと思いますので。そういうプレッシャーだったり、人から言われることがなくなったら、自分自身も甘えてしまうときもありますから。そうやって厳しいことを言ってもらえるだけ幸せなんだと思います」と、厳しい意見を歓迎した。

 もちろん、刺激となるのは厳しい意見だけではない。自身の年齢について、「もう50歳って書いちゃっていいですよ。区切りが悪いでしょ、48歳って」と冗談を飛ばしたカズは、前日に現役の日本代表選手たちが見せた活躍も刺激になったと話す。ゴールを取り続けられている要因を聞かれると、「取り続けているといっても、2点だけですから」と笑い、「ただ」と言葉を続ける。

「ただ、昨日、J1リーグもありました。フロンターレの大久保選手も素晴らしいゴールを決めましたし、日本代表の若い選手もゴールを取っていました。ドイツでは香川真司も、岡崎(慎司)も決めて、自分も決めたいなという気持ちが強くなりますし、少しでも追い付きたいと思ってやっています。ずっとゴールを取りたいと思いながらやっていることが、結果につながっているのではないかなと。ゴールを取りたいと思ってやり続けていることが大切なんだと感じています」

 ポジティブなこと、ネガティブなこと、すべてを受け入れて自分のプレーにつなげるカズは、まだまだピッチから離れることは考えられないようだ。かつてアメリカW杯予選を戦った高木琢也監督は、得点シーンについて「練習から取り組んでいた警戒した形だったが、うまくやられた」と舌を巻いたが、1歳下の高木監督からの称賛を伝え聞いたカズは「僕からすると、同年代が監督をやっていることが信じられない。名波(浩・磐田監督)も高木も、僕からしたら、そちらの方がすごい」と、いたずらっぽく笑った。

(取材・文 河合拓)